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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2022】

【緊急提言】地下駅のシェルター化と住宅のシェルター化

2022-08-02
  日8月1日の産経新聞の朝刊に、北朝鮮のミサイルを想定した地下駅・地下街のシェルター化を政府が極秘に検討していたことが分かったとの報道があった。2017年から始めたものだが、既に5年間も政府は秘匿していたことになる。問題なぜ国民を守る政策を「極秘」扱いにしたのか、また核兵器を持つ国々やその周辺国では核シェルターを冷戦時代にすでに多く準備してきたのに、核を持たない日本がなぜ遅れたのか、そしてソ連では住宅にまでシェルターを設けることを法律で決めていたのに、日本政府は未だに公共設備にしかシェルターを設けることしか考えないのか、という3点にある。従前からシェルターの重要性を、「核シェルター」ではなく、「環境シェルター」として提案してきたノムとしては、政府認識のズレを感じざるを得なかった。政府は「核シェルターの研究」というと周辺国に影響を与えると考えたのだとするならば、未来の灼熱地獄に対応できる「環境変動対応シェルター」という名目で、まず一般住宅から研究を進めるべきではないのか、という観点から、本項で議論したい(6.24「ジオシティー(未来の地下都市)」)

  国は、地下駅舎のシェルター化については、核弾頭や生物化学兵器が使われた場合には機密性が求められるが、それは困難だと判断したという。だが検討を始める前の2016年に北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返したのが検討の切っ掛けだったとすれば、それは事が起こってから備えるという日本政府の余りの小手先政策ではないだろうか。当時から地球温暖化が問題になっていたことは明白であることから、むしろ近い将来(数十年後)に気温が上昇して日常生活が困難になってくることを予想していれば、「100年の計」を以て2000年頃から環境シェルター開発を進めておくべきであった(7.26「「異常気象」報道の欺瞞」)。なぜ日本がそうした先進的な考え方をできなかったのかについては、ノムは日本の持つ「平和主義」というイデオロギー(固定観念)のせいであろうと考えている(21.7.7「平和主義は間違っている」)。平和と相反する「戦争」・「攻撃兵器」を想定すること自体を拒否し、防衛的であることが明白な「核シェルター」・「防空壕」さえも考えることを拒否したのである。その結果、世界でも最高レベルの経済力・軍事力を持ちながらも、まるきし防衛に適していない日本というものが出来上がった(3.24「ロシアのウクライナ侵略に学ぶ日本の防衛」・3.31「軍兵侵攻に対抗できる防衛強国を目指せ! 」)

  ノムは従前から、人間が永続的に地球に住み続けるためには、以下の条件を満たさなければならないと訴えてきた。

 1.人口爆発を防ぐために、人間は地下に住居を移さなければならない。つまり経費の掛かる地下住宅は
   そう簡単に増やすことができないからである。
 2.人間の棲息圏を地下に移行させることによって、地上は緑の楽園となり、地球温暖化は解消される。
   (21.2.9「田園都市構想」)
 3.人命を過度に尊重するのは止め、自然の摂理である死を受け入れる。
 4.化石燃料使用を止め、自然エネルギー・再生エネルギーで賄える人口規模に抑える(21.1.7「制御思想(1.24・4.20・5.3追記) 」・21.3.24「人口制御の視点の必要性」・21.5.22「人口限界説の変遷」・21.10.29「人口爆発の脅威」・7.12「世界は人口爆発を脅威と捉えていない」)
 5.シェルターを気密化するのではなく、土壌浄化により大気を清浄化して使う。
 6.雨水を各家庭で貯水槽に貯め、必要に応じて土壌浄化と炭浄化、殺菌を組み合わせて利用する。
   (21.5.8「水文明崩壊の予兆」)

  地下駅や公共施設(スポーツ施設を含む)をシェルター化するには、上記に書いたように、発電設備(太陽光発電・メタン内燃機関による発電機)・食料備蓄設備・貯水設備・水浄化設備・空気清浄化設備、が必要であり、これは現代でいえば戦時や核兵器が使用された場合に使用されるが、未来世界では各戸住宅自体がシェルター構造となっているので、公共的なシェルターというものはそれほどの必要性・重要性はない。そのため都市計画に於いて、最後に計画されるべきものである。上記設備を備えていない政府の考えているシェルターは、核戦争では全く役に立たず、一時的避難所としての役割しか果たせない。核爆発が起きた後の地上に脱出したとしても、高放射能被曝で様々な障害を後に受けるであろうし、退避シェルターに残ろうとすれば、水不足・食料不足で生き地獄となることは必定だからである。最後は人肉食を経て全員餓死するか脱水症で死ぬであろう。

  現在の駅舎などのシェルター化が可能かと言えば、それはできないことはないだろうが、余計な費用が生じることから莫大な予算を必要とし、主要駅にそれを備えることは差別化をもたらすために、反対意見も続出するだろう。それに対して、個別住宅のシェルター化は個々の家庭の資産状況次第なので、不公平感は生じないと思われる。そのため現状では、まず個別住宅のシェルター化指針を示し、その設計図は建設主と設計士にだけ公開するようにすべきだろう。いずれは設計図は敵国に盗まれるにせよ、その盗取は犯罪とすることによって、拡散は最小限に防げると思われる。ネットに公開する者が出た場合、重罪(未来世界では「人間社会追放」)とすべきである(20.12.7「刑罰と追放・死刑廃絶に向けて」)

  2024年2月27日の追記になるが、産経新聞の産経抄が初めて核シェルターの必要について書いた。第二次世界大戦時にロンドン空襲で地下鉄が防空壕の役割を果たした事例を挙げ、日本でも大戦前から議論があったということを取り上げた。結局具体化せず、市民の避難は禁止されたという。ただ大阪大空襲では、市営地下鉄が一部の駅を開放したらしい。産経抄はウクライナ・ハリコフでの地下鉄の駅での学校開設記事や東京都が都営地下鉄麻布十番駅のシェルター化というニュースを読んで、急にこの問題を取り上げたようである。「水や食料を備蓄し、非常用電源・通勤装置などを備えて、住民がある程度の期間滞在できる地下シェルターの建設は、安全保障上の喫緊の課題である」と机上論を展開しているが、現実的ではない。公共シェルターに市民が殺到すれば、大混乱に陥るだろう。それよりも各戸住宅をシェルター化していく方が混乱もない。その際に重要なのは、シェルター基準を設けることであり、守備可能レベルに応じた規格を打ち出すべきであろう。抄子はもっと現実的に考えるべきだ。

  以上の理由から、これから建てる住宅をシェルター化することが最も合理的で法的問題もなく、社会的不公平も最小限に抑えられると考える。必要ならば、国民に対して資金状況に応じて補助を出し、かつ税法の考え方を単年度制から複年度制に切り替えて、返済を無利子・100年返済から始めれば良い(未来世界では500年)。現在の予算のうちおよそ10兆円規模から開始し、年々増加して、年間30兆円規模(年の国庫歳出300兆円のおよそ10%)にまで増やせば良いだろう。シェルター型地下住居の建設費用はおよそ1億円(土地価格を含めない)と算定しており、ノムの実験シェルター(およそ100㎡)は2200万円(30年前)であった。初年度の10兆円の予算ではおよそ10万戸から30万戸が建設可能と思われる。これは100年以内に国庫に戻ってくることになる。建築主の負担は年に100万円となるが3代に亘って返済していくことになる。シェルター住宅の耐用年数は500年と見積もっている(2.22「環境シェルター住宅の設計指針」)。インフレ率を考えないとすれば、国庫は定常的(恒常的でもある)に運営することが可能である。いのちを無駄に引き延ばしている医療・介護などの福祉予算(2019年では124兆円)からこのシェルター化予算を回せば良い(20.2.27「高額医療は国家を破綻させる」・20.4.15「いのちの優先順位 」・20.12.5「老人の悲劇」・21.5.22「病気と介護」・21.10.26「未来世界の医療」・3.19「日本精神を壊す疑似生命尊重主義」)

(8.1起案・起筆・終筆・8.2掲載・24.2.27追記)


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