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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2024】

メディアニュースは何をどう書くべきか

2024-04-20
  3月22日のJNN(TBS NEWS)では見出しのタイトルを "「日本で悪性伝染病拡散」と報道” としたニュースがインフォシークに掲載された。正式なタイトルは"北朝鮮、日本で「はしか」や「悪性伝染病」拡散と報道 " というものであったが、見出しでは主語(北朝鮮)がない。「どこの誰がそんなニュースを流したのか?」という疑問を起させ、記事を読ませようという魂胆であることは明瞭である。見出しタイトルは15文字の範囲らしく、もし "北が日本で悪性伝染病と恣意的報道 "  と書こうとすると16文字になってしまう。難しいものだが、 "北が日本で悪性伝染病と悪意報道 " とすれば、本質的で正確なタイトルとなるだろう。内容がある程度推測でき、読み飛ばすことが可能なタイトルにすべきである。それが読者側の視点や利便性を考えていることになる(23.5.25「未来世界の利便性」)。ノム通信ではほとんどの記事タイトルを書き換えている。

  3月22日のロイター記事では、ブラジル大統領の支持率低下について書かれていた。3ヵ月で3%下がったというものだが、その理由、背景について何も触れていない。「だからどうだというの?」という面白くないものだった。大した意味のない記事はニュースにすべきではない。他に読者として知りたいことはいくらでもある。また同日のAFPニュースは “ブラジル大統領のジョギング動画が人気” という下らない記事を載せていた。こうした読者をおちょくるような些末報道を呑気に見ている暇はないはずだ。これもまたメディアが読者や視聴者の目を引こうとしている商売戦略である。

  3月22日のAFPニュースに、「米国の脱獄囚に殺人事件関与の疑いがある」というものがあった。これなどはなぜ国際ニュースとして取り上げなければならないのか、理解できない。この脱獄囚が他国に渡ったとでもいうなら国際ニュースになるが、米国内の事件を国際ニュースにするというのは常識から外れている。これはインフォシークが記事選択を誤った事例として挙げることができるだろう。

  3月22日のKORIA WAVEは、国立公園でイノシシが出没していることをニュースとして取り上げた。国内ニュースなら分かるが、なぜ国際ニュースに取り上げたのか、インフォシークの常識を疑う。こうした些末なことを取り上げるほど世の中は悠長な状況にあるとは言えない。世界的危機が迫っている中、本質的な論点を持つ識者の評論などを積極的に取り上げて、読者に危機感を持たせるように働きかけるべきである。戦争関連・環境関連など、その原因を本質論から探るべきであり、そうした論者は世の中にいくらでもいるであろう。メディアがそうした意見に耳を傾けているかどうか、という問題がある。

  ほとんど毎日のように英王室のゴシップ記事を世界ニュースとして載せているインフォシークの良識が疑われる。誰ももう英王室には関心を寄せてはいないのに、読者に興味があるだろうと考えるメディアの意識のズレというものを感じる。

  トランプの発言に関して、メディアは異常なほどに報道をしている。まるでトランプの「掲示板」のようだ。プロパガンダまがいの事も載せており、選挙に影響を与えている(22.8.29「メディアのでたらめさを斬る!」)。飽くまでも米国のことであり、日本は選挙結果には影響を受けるが、選挙中の記事は最小限に絞るべきであろう。もし載せるにしても概要を書くだけで報知義務は満たされているはずであり、読者を洗脳したり、バイアスを与えたりすることは止めるべきであろう(22.9.21「社会にとって有害なメディア報道」)

  以下にニュースの書き方について、注文したいことを挙げてみる(22.10.10「メディアに要望する」)

1.人名・地名に英語表記を付け加える必要はない。日本人には日本語表記だけで十分である。記事を短くするために努力すべきである。最近英語表記が加えられるようになったが、これは配信記事をそのまま引用しているからであると思われる。利便性が向上したのはメディア各社だけであり、読者には何もメリットはない。

2.記事の基本的事項を守るべきである。何時・何処で・何が・何を・どうしたか、という基本項目である。最近の記者のレベルが下がったのか、こうした基本的な事項が抜けてしまっている記事を時々見かける(23.6.15「メディアは報道をAIで修正せよ」)

3.背景説明を含め、時系列的な書き方にしないと、読者が混乱したり誤解したりする恐れがある。記事を読んで納得がいくような書き方にすべきであり、そのためにも時系列的な書き方が重要である。

4.通常の記事は、ノム通信で行っているように、100文字から300文字以内に収めるべきである。忙しい現代に於いては、ニュースは概略を知るだけで十分であり、解説的な記事であっても、300~500文字以内に収めるべきである。より詳しく説明するための記事はリンクで引用できるようにすべきであろう。ノム通信では公開記事を可能な限り短く編集したりすることが多い。長い記事は読まないことにしており、ニュース性の薄いものは取り上げないこともある。

5.特定の言葉を取り上げて「言葉狩り」をするような記事は書くべきではない(21.2.6「メディアによる言葉狩りに怒り」・21.7.30「言葉狩りへの対応」・23.11.12「メディアが視聴者を意図的に扇動」)。文章全体や発言全体を取り上げるなら良いが、一部を切り抜いて批判するようなことはしてはならない。

6.メディアは海外からの通信社からもたらされる、特定の国のプロパガンダと思われるような記事や、ダークフェイクと思われる記事は敢えて掲載しない方が良い。それが掲載されることで、日本国民の脳の中に潜在的に痕跡が残るからである(23.9.8「メディアはなぜ中国のプロパガンダに加担するのか!」)。確実な正しい情報だけを選択するように努めるべきだ。たとえば戦争当事国に於ける戦果報道などは、敢えて載せない方が良い場合が多い。公式発表だとしても、それは誤った数字であることが後に検証されることが多いからである。

  以上から分かるように、読者を惹きつけるための工夫を凝らしたタイトルや記事を優先すべきではない(21.5.18「メディアは利益優先に毒されている」)。内容の概略が分かるように工夫すべきであり、そのためには上記したような努力が必要である(22.7.19「メディアの役割と責任」)

(3.22起案・起筆・4.20終筆・掲載23:05・追記)


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