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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2022】

メディアに要望する

2022-10-10
  10月3日のこと、産経新聞の櫻井よしこのコラム記事「自衛隊強化 法整備急げ」を読んでいて、プーチンのことを「プーチン氏」と敬称を付けていることに強い違和感を覚えた。ノム通信では原則として氏名には肩書は付すが、「氏」は付けない。良いニュースの中で一般人の氏名が出てくる場合には「さん」を付けることもあるが、普通の記事ならば一般人にも付けていない。櫻井は、心の中ではプーチンに「氏」を付けたくないと思っていても、メディアの慣例に沿ったのだろうと推察する。このように、読者や視聴者に違和感を抱かせるメディアの慣習というものが多すぎることに、これまでも何回か苦言を呈してきたが、今回はそれらをまとめてみようと考えた。メディア界への警鐘の一端となれば幸いである。

1.記事の中の氏名には、原則「氏」は付けない。良いニュースの中で一般人の名が出てくる場合はその限りではない。一般人の大人の場合は「さん」をつけた方が違和感がない場合もある。また子どもの名に「君・ちゃん」を付けた方が良い場合も多い。最近は子どもでも「さん」を付けて男女差別を無くそうという雰囲気があるが、常識的判断で行えば良い。たとえば犯罪容疑者には決して氏名に「氏・さん」などを付けないし、プーチンのように世界から批判されている政治家に対して「氏」を付けるのは非常識である。ノムの記事でバイデン大統領や岸田首相を呼ぶ場合に「氏」を省いても違和感はない。メディアの記事では個人に対して敬称を用いる義務は無いと考える。

2.主語を最初に明示し、つぎに関連する組織名なりを挙げるべき:例えば読売新聞が10月2日付で「ロシアと対決すれば破滅…「紛争当事者」避けたい米欧、ウクライナのNATO加盟に慎重」というタイトルの記事を書いていたが、これを「米欧はロシアとの対決を避けることを優先・ウクライナのNATO加盟に慎重」と変えれば、記事の趣旨がよく分かるし、主語が明瞭になる。

3.最近、地名・人名に英語表記などが付されているが、これは日本メディアの記事には必要ないので表記しないでほしい。それでなくても記事が冗長になりがちであり、それよりも年月日は「22年10月」というような略した形でなく、「2022年10月3日」というようにフルスペルで日にちまで表記してほしい。英語表記が最近になって現れ始めたのは、恐らく世界的な通信社(ロイター・AFP)が送ってくる記事をそのまま掲載しているからではないであろうか。日本人にはそのようなものは必要ではない。それよりも年・月・日をフルに表記してくれた方がどれだけ助かるかしれない。

4.日本の場合、元号表示でなく、西暦(元号)の形で表示してほしい。「4年度予算」は「2022(R4)年度予算」というように表記すべきだ。

5.時制の表記は、特に長い記事の場合フル表記してほしい。「昨年」・「昨日」・「27年」・というような表記は、後々に調べる時にいちいち調べなければならない羽目になる。「27年」という表記が西暦なのか和暦なのか判断しなければならない場合もよくある。記事は将来的に調べることを予想して、フル表記するのが常識だと考える。

6.「複数」という表記は止めるべきだ。某ニュースで、親露派幹部が「複数の集落から撤退」と言い、ウクライナのゼレンスキー大統領は「450以上の集落を奪還」と表明。まるでイメージが異なる。2以上を全て「複数」と表記するのは、読者を詐欺的に惑わしている。災害の被害情報においても、「数十人・数百人・数千人・多数」という表記の方がより真実に近い。

7.記者の責任を明らかにするためにも、記事を書いた記者名を最後に付すべきである。寄稿記事の場合は最初に示しておくべきである。ノムは寄稿記事をまとめる際に、いつも最後の部分を見て寄稿者を確認しているが、それはとても手間の掛ることであり、不合理だと感じている(21.7.11「利便性はどこまで求めるべきか?」)

8.画像を用いる場合、日時・場所・発信社を必ず明記すべきだ。テレビというものは映像が無いとニュース性が損なわれると思っているのか、あまり関係が無い画像をいきなり表示することもあり、視聴者に偏ったイメージを与えてしまうことがある(モンタージュ効果)(9.17「プロパガンダ」)。それが短い時間であればあるほどモンタージュ効果は著しくなる。ネットニュースでは全く関係のない写真(「イメージ写真」と称している)を掲載することもよくあり、そうした写真によって読者を惑わしている。

9.記事では男女別をはっきり分かるようにしてほしい。たとえば産経新聞の1面を飾っている「朝晴れエッセー」には一般読者からの投稿が載っているが、頭から読み始めてその内容や文体などから男女を区別するのは難しい。だが読み手からすれば、男女が不明のまま記事を読んでいて想像を巡らすのは非常に困難であり、男女・年齢が最初に分かっていれば文章もスラスラ頭に入ってきて納得もできる。結局途中で記事の最後に付されている名前と年齢を確認する羽目になる。最初にこれが書かれていればこうした違和感というか不便も無くなる。学校では、作文するときに最初に「題名」・「筆者氏名」を書くように習ったが、なぜメディアはそうした市井の慣例を無視しているのであろうか?

10.競争を煽るような記事は掲載しないでほしい。ノムは未来世界で悪い競争を厳に慎むよう提言しているが、現代でも競争を煽る記事は悪い影響しか与えないと考えている。インフォシークやその他のメディア記事のタイトルに「世界の国力ランキング、韓国が日本を上回り6位に」というものがあったが、これなどは典型的な競争を煽る記事である。

11.ネットニュースなどは発信年月日をはっきり表示してほしい。ネットでは月日が最小の文字で隠すかのように表示されている。これは大きく見やすく表示すべきだ。

12.ネットニュースサイトでは少なくともその日に発信したニュースタイトル一覧を全て見えるようにすべきだ。インフォシークでは20までしか表示されず、ノムはニュースを追跡できず、【時事通信】に一部漏れが生じている。

  未来世界では、新聞記事に対しては記者名を筆頭に記し、記事の最後にはQRコードを付し、その評価ができるようになっている。評価は記者・デスク(紙面編集者)・新聞社に反映される。テレビ番組に対しては、リモコンを用いて①番組自体の評価・②番組の中での発言に対する評価ができるようになっている。このような直接民主主義の考え方に基づいて、メディアを評価し、権力化を防いでいる(1.12「直接民主主義」・9.28「権力化するメディア 」)


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