本文へ移動
【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2023】

メディアは報道をAIで修正せよ

2023-06-15
  毎日、ニュースを編集していると、報道の仕方が下手くそであり、文章が粗雑であり、読者に読ませようと意図的で分かりにくいタイトルにしていることを感じる。最近流行りの、チャットGPTの文章は非常に自然であり、違和感がないことは誰もが認めているが、メディアもタイトルや文章をAIで添削してもらったらどうか、という考えが思い浮かんだ。以下では事例を交えて、その必要性と実現性を考察してみたい。

  6月13日付の時事通信社のウクライナ情勢についての記事は以下のようであった。

反攻で7集落奪還=大統領「厳しいが前進」―ウクライナ
時事通信 / 2023年6月13日 6時12分

 ウクライナのマリャル国防次官は12日、通信アプリ「テレグラム」で、南・東部で進める反転攻勢について、この1週間でロシア軍から集落7カ所を奪還したと明らかにした。ゼレンスキー大統領も同日、「厳しい戦いだが、前進している」とビデオ演説で戦果を誇示した。

 マリャル氏は、ウクライナ軍が6.5キロ前進したと強調。南部ザポロジエ州ロブコベや東部ドネツク州ストロジェベなどの集落を含む計90平方キロの領土を奪い返したと述べた。 

[時事通信社] 

  この266文字の記事をノムは以下のように編集し直して203文字に縮めた。

2023年6月13日:ウクライナがロシア軍から1週間で集落7ヵ所90平方キロを奪還・6.5キロ前進/(時事通信) ウクライナのマリャル国防次官は12日、通信アプリ「テレグラム」のビデオ演説で、南・東部で進める反転攻勢について、この1週間でロシア軍から集落7ヵ所を奪還し、6.5キロ前進したと強調。南部ザポロジエ州ロブコベや東部ドネツク州ストロジェベなどの集落を含む計90平方キロの領土を奪い返したと述べた。

  どういう意図でどういう方針で編集し直したかを以下に列記する。

1.発信日は事柄が発生した年月日とする。報道された年月日ではない。
2.発信者を明確にするため、タイトルの後に()書きで入れる。
3.タイトルでは主語や主体を最初に持ってくる。
4.記事の最も重要なポイントをタイトルに込める。
5.タイトルだけであらましが分かるようにする。
6.単語や表現の重複をできるだけ避ける。
7.行間や折り返しは入れない。
8.全体としてできるだけ短くし、不必要な部分と判断した部分は省く。
9.事象の発生と年月日の記録を重視するため、長文記事は要点だけにまとめる。
10.記事に登場する人物・組織の主張や主観的表現は、読者に影響を与えると判断した場合は省く。
  (今回の記事ではゼレンスキー大統領の言は省いた。)

  以上の再編集で良くなったとノムが自認する点を挙げてみたい。

1.事象の発生日に統一されているので、調べやすい。時系列に並べやすい。
2.主語・主体が明確で、目で探す場合に探しやすい。
3.タイトルが客観的でかつ主体的(ノムの主観)なので、日本人として違和感がない。
4.発信者が最初に明示されるので、記事の信頼性を判断できる。
5.要点だけが書かれているので、読むのに楽で、分かりやすい。時間的にも負担が少ない。
6.記事の形が統一されているので、すっきりしている。
7.詳細を知りたい場合はネットで別に検索して探し、他社のニュースやウィキペディアなどを調べれば良い。
8.タイトル以外の記事が報道と異なり、ノムの主観が入る場合は、(ノム通信/○○参考)と表示している。

  ノム編集の欠点も挙げておこう。

1.年月日の時系列には並んでいるが、事象の発生時刻、あるいは最初に報道された時刻ではない。
2.そのため同日内に起こった事象の時系列的関連性を調べることはできない。
3.タイトルにノムの主観や評価が入るため、多少なりとも心理的影響を受ける可能性がある。

  ノムの取り上げるニュースのタイトルの多くは上記したノムの基準から大幅にずれているため、ほとんどのタイトルは編集せざるを得ない状況となっている。なぜメディアがより公平で分かりやすいタイトルにしないかと云うと、最初に持ってくる言葉なりフレーズで読者を惹きつけようとするからである。つまりより多くの人に読ませようという魂胆が働いており、客観性を重視した姿勢は後回しになっている(21.5.18「メディアは利益優先に毒されている」)

  試みに、Bingのチャットで上記時事通信の記事にタイトルをつけるよう頼んでみたが、あいにく回答は示されなかった。通信社が自前で、記事にタイトルをつけるようなアプリを開発するかすれば、客観的で合理的なタイトルにすることができるだろうし、記事も無駄を可能な限り省いた簡素なものにすることができるだろう。上記したように、ノムの再編集では24%の無駄を省くことができた。メディアは「生成AI」をこのような目的のために活用することを考えるべきである。

(6.13起案・起筆・終筆・6.15掲載)


TOPへ戻る