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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2021】

分断と分裂

2021-12-24
  世界中で国民世論の分断が起きている(6.9「自己組織化と自己崩壊化 」・9.1「ストレス崩壊論 」)。それぞれの国家でその歴史と伝統に基づいた教育がおこなわれているはずなのに、こうした分断が生じるのは一重に偏狭なイデオロギーや宗教を信じる人がいるからであり、それが外国由来のものであれ、最新の人間哲学なり国家哲学によるものであれ、一部の付和雷同グループが民主主義という基本原理を悪用して好き勝手な主張を繰り返し、ネットでこれを拡散させて世を不安定にしている。生活的な問題から国際的外交問題にまで、そのイデオロギー・宗教に基づく主張は国民の間に分断をもたらし、国力を削ぐとともに、ときには内戦という分裂状況を生み出している今日ほど内戦状況が激しい時代はなかったのではないかと思われる(内戦:アフガン・シリア・イラク・トルコ・リビア・イエメン・チェチェン紛争・ミャンマー・etc)。国家内の世論分断状況もほとんどの国に見られ、特にイスラム国家に著しい。民主主義を標榜するアメリカでさえ、すでに暴力的にさえなってきている(9.3「イスラムは邪教集団か? 」・10.24「アメリカで民主主義の弱点が露呈 」)。多くの国では内政を揺るがす国民世論の分断を独裁という形で抑えようとしており、一部の特権階級層や受益者層がこの独裁を支え、支持している。

  こうした不安定な状況が生まれたのは、民主主義というものが愚衆政治(ポピュリズム)に陥ったからであり、「民主」の名の下に独裁を志向する一派が自由奔放に主張を繰り広げているからであり、中国はその危険を察知して先手を打って「愛国者」以外の国民を排除しようと始めている(1.4「民主主義は集団幻想 」・10.9「現代の民主主義は本当か? 」)。だがそれは正常な民意に反した、体制維持の目的で行われ始めたため、市民・国民の文化まで破壊しようとしており、誤った方向に向かっている。個人主義全体主義もその最善の形を実現しようという方向に向かっておらず、最悪の方向に向かっていると言えよう(4.22「全体主義と個人主義 」)

  多数の国民を抱える国家という存在は、必然的に多数意見を集約して体制を決めなければならない(9.15「個人と国家の動物性 」)。その多くは歴史的な民族性や思想によって決まるが、中には外国由来の思想(マルキシズムやデモクラティズムはその典型)によって左右され、歴史性や民族性が無視されて、イデオロギー(固定観念・固定理念)が支配することになる。中国がその典型であり、文化大革命を通して過去の遺産をことごとく否定して破壊した。だが強い者に従う、という伝統的民族性は残り、一党独裁を100年間支持し続けてきた。その一党独裁は強固な意思を発揮し、多くの犠牲を払いながらも国民全体の生活向上を成し遂げた。そしてまだそれが末端まで行き届く前に野望を抱き、中華思想というイデオロギーを基に世界制覇へと歩みだした。2021年10月、タリバンというイスラム原理主義に基づく一派がアフガンを占領した。これもまた国内のあらゆる仏教遺跡を破壊し、あらゆる人物像をも破壊した。この勢力は現代のアフガニスタン国民の意思を無視してイデオロギーに走ったため、自滅の途を歩んでいる。ISも同様であり、イスラム原理主義に基づき、あらゆる殺戮と破壊を行った。今ではその表向きの存在は消滅し、裏社会の存在となっている。宗教が政治を左右する状況は最も恐るべきものであるが、これもイデオロギーに含まれることから、イデオロギーが世界を支配することにも恐れを抱くべきである。

  現代の世界は中国の動きに大きく影響されている。経済的な問題がその主たる要因であるが、貧困国や独裁国の多くは中国のしたたかな経済戦略に取り込まれ、わずかな支援に寄りすがって中国の属国になり果てた。その多くはトップの地位の安泰、国家の近代化への渇望によって為された。そのため相変わらず貧困に喘ぐ国民との間に乖離が生まれ、国民世論の分断を招いている

  先進国の中でも一部のエリートが中国に触発され、賄賂やリベートを受け取って中国支援を積極的に受け入れようと画策しており、それによって国内に意見の分断が生じている。国家がその国独自の価値観でまとまっているという事例は、グローバル化によってごくわずかになってきていると言えよう。ブータンはその稀なる存在だと称賛されていたが、ブータンにもスマホなどが侵入していることから、いずれは外国の豊かな生活に憧れる若者などが、自国の状況に目を向けることで反旗を翻す日が来るであろう。日本は大正期のデモクラシー運動や、戦後の左翼運動などに晒されてきたが、日本人らしい賢明な取捨選択で安定化を成し遂げた日本ではデモや、それによる暴動・破壊がほとんど起こらないことからもそれは証明されている。だが国内には沖縄で反米運動が盛んであり、政権の中にも親中派が多いために、世界情勢の変化に追いつけず、憲法さえ改訂できないことから、これから大きな国民分断の時代を迎えることになる

  未来世界では組織的に国家は連邦の下に管轄され、国家は主権を持たない。国家はそれぞれその国の歴史と文化に根差した国家運営を行うが、基本的に連邦の精神と組織構造を教育課程で徹底的に教え込まれるため、どの国の国民も連邦に対する敵対意識は持たないだろう。連邦はノム思想に基づいて運営を行うため、それは時に非情なものに思えることもあるだろう。だがその科学的精神は各国でも徹底されているため、未来人は連邦の決定を受け入れる準備ができている。感情的憤怒が動物的衝動から来るものであり、人間はそれを克服して冷静で科学的思考を優先しなければならないと、自然に思えるようになっているであろう。そうした世界や社会では、自ずと協調と融和が図られ、競争も無くなっていることから人々は意見の一致に最大の価値を見出すようになるであろう。そのような人間関係が生まれれば、昔の村社会と同様、人々の間に分断が生まれようがない。分断はイデオロギー(固定観念・固定価値)がもたらすものであり、ノム思想はそうしたイデオロギー(マルキシズム・デモクラティズムなど)は採用せず、地球環境を守る科学的合理性と人間の情緒安定を志向する社会性を最も重視した政策を採用する。そこには意見の多様性はあっても、対立と分断はもはや無くなり、ましてや分裂はあり得ない。もし分裂が起きたなら、その癌を未来世界は取り除くであろう(12.10「未来世界の破壊者の殲滅 」)


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