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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20)

【現代寸評】

23-2 NHKの画面構成の問題

2023-07-11
  NHKは公共放送と称して視聴料を強制的に徴収しているが、いろいろと問題があると普段から感じている(【時事評論】20.5.12「NHKのニュース報道に違和感」)。どこかの国の国営放送ほどひどくは無いが、公正性を強調するためか、日本の関わるニュースでも日本の立場を明瞭にしておらず、まるで他国のことを放送しているような内容になっていることがしばしばあり、非常に違和感を感じてストレスになっている。なぜ日本の立場に立って、あるいは日本の国民の感情に沿って、たとえばロシアの非を非難するような内容にならないのだろうか? そしてなぜロシアのプロパガンダを無視するようにしないのだろうか?

  今回はNHKの豊満体質と画面表示の問題を結び付けて、視聴料支払い者としての権利を行使して、文句を言いたい。NHKの歳入がここ4年連続して減少しているという。2022年の受信料収入は前年度より76億円減の6725億円であったようだが、この額は貧困国の年間予算に匹敵するのではないかと思うほど巨大である。だが受信契約数・支払い世帯数とも減少しており、それが歳入減に繋がっている。一方で、訪問営業の縮小に伴う営業経費の削減や設備投資の抑制で支出を抑えた結果、事業収支は263億円の黒字となったという。だが後述するように、無駄の削減に関しては不熱心と言わざるを得ない。日本の企業でこれほどの黒字を出しているところはそれほど多くないと思われることから、NHKは企業体としても日本有数であり、メディアの世界に限れば、世界有数と評しても良いだろう。

  ノムはNHKの抱える諸問題については関心がない。それよりも、NHKの番組を見た時に感じるストレスの方に問題を感じる(【時事評論】20.11.30「ストレス論」)。それは画面をどのように構成しているか、ということになる。以下にそれを列挙してみたい。

1.スタジオを頻繁に大改造する。
2.必要な情報が表示されないことがある。
3.番組での画面変化が速すぎる。
4.番組での背景を動かして注意をそらしている。
5.背景に番組内容に関係のないものが多すぎる。

  論点は5点に絞ってみた。まず1.のスタジオについてであるが、ニュース専門スタジオや特定定例番組スタジオが、しょっちゅう変わる。およそ数年ごとに変わっているのではないだろうか。庶民的感覚から言えば、新築した家の内装を数年ごとに変える人はいない。馴染んだと思ったら一生涯変えないのが普通である。時代変化が激しいことも一要因なのだろうが、スタジオを変えなければならないほど著しいとも思えない。せっかく番組として馴染んできた風景を変えることに何の意味があるのだろうか。それはNHKには「いくらでもカネと予算があります」と公言しているようなものではないか。そうした無駄を省いて、国民に馴染んだスタジオ風景を維持すれば、視聴料ももっと減額できるのではないか、と思われる。企業や店舗でもそのイメージを高めるために、建物を数年ごとにリフォームしているところはない。NHKもそうした庶民感覚に基づいた常識を働かせるべきだろう。

  2.の必要な情報が表示されない問題についてだが、ノムは囲碁番組を楽しみにして観ているが、囲碁番組のでは数年前からAIが登場し、予想勝敗確率や予想手の表示がされるようになった。だが予想手が黒手番の予想なのか白手番の予想なのかが分からない。途中目を離したりすると、次に黒が打つのか白が打つのかが分からなくなるのである。また番組を途中から観始めた人には、対戦者の名前が分からない場合もある。なぜ対戦者の名前を常時表示しないのか、解説者の名前を常時表示しないのか、理由が分からない。それを表示するスペースは十分にあると思われるからである。NHKに限らないが、スポーツ番組を見る場合に、対戦チームは必ず常に表示されており、得点も表示されている。多分、打者の名前も表示されていると思われるが、スポーツは見ないので分からない。問題は、途中から観た人でも、誰にでも番組内容が分かるようにしてほしいということである。ニュース番組にはしばしば過去の映像が表示されることがある。現在のニュースなのに過去の映像を表示する際に年月日が大きく表示されないのは誤解を与える可能性がある。ネットでも同様で、過去の写真や全く関係のないイメージ写真が掲載されることがある。一応画像の下に注釈が小さな文字で表示されているが、読者の印象はこれらの画像で大きく影響される。つまりテレビでもネットでも、印象を強くして視聴率を上げようという魂胆が見え見えなのであり、これは情報業界での競争原理に基づくものであって、視聴者優先の考えというものはない(【時事評論】22.8.10「競争原理」)

  3.の画面変化の速度の問題であるが、特に天気予報などで強く感じる。自分の住む地域の予報を見るのが精一杯であり、他の地域の予報を見る暇はない。また表示の仕方が結構頻繁に変わるので、その表示に慣れるのにも時間が掛かる。少なくとも数年は表示の仕方を変更しないでもらいたい。また表示時間を少し長めにして、老人でもストレスがなく見れるようにしてほしい。若い人はこれを問題無く見ることができるのだろうが、これもまた人間に対して認知時間の短縮を強いていることから、人間性に対して性急性をもたらしていると思われる。それは物事に対して、すぐに結論を求める姿勢や、解決を求める姿勢をもたらす。ゆったりと事態の推移を観察するという心の余裕を失うことにより、国民全体がストレスを増すことになるだろう。とくに幼少期からこうした変化に対する認知速度の速さを求められることで、人間が精神的な余裕や、思考における熟考を失うことが懸念される。

  4.の画面背景の動きの問題は、より深刻な「注意散漫」をもたらしている。ある番組では、討論の最中に後ろの背景に虹のような波模様が絶えず動いており、討論の中身に集中できなかった。このような背景が動くという画面構成は、人の思考に散漫化をもたらす。虹模様を見ても何の意味もないのだが、人は動くものに注意が向いてしまうという生理的な反応をする。ネットのインフォシークニュースには最近、右側に動画ニュースが常時表示されるようになった。ノムとしては左側のニュース項目を選択している最中に、右側に動画があると注意がそちらに向いてしまい、集中力が落ちることを明確に感じている。ニュースや討論では、背景は可能な限り無地にするか静止背景にすべきであり、人間心理・人間工学の視点からしてそれが当然のことであろう。

  5.の無駄な背景の問題であるが、趣味の番組などでしばしば、個室のような背景が用いられ、そこに所せましにいろいろな雑貨が飾られていることが多い。番組内容に関係のないものが並べられている場合、その雑貨の意味を考えてしまうことがある。「なぜ、壺があるのだろう?」というような具合である。また囲碁番組のスタジオが変わった今回の事例で云えば、背景に碁盤のような四角の模様があり、その線の交叉するところに碁石のようなものが所々に置かれている。それは碁石でもなく、赤色であったり、銀枠がある○模様であったりしている。ノムは「なんで、こんな模様があるのだろう?」と考えてしまう。こうした余計な思考を促す”背景”は、3.で指摘した人の注意力の散漫化に繋がることであり、視聴者の心に”不安定”をもたらしているのではないかと懸念される(22.10.22「心の在り様」)

  以上、いろいろな不満をぶちまけたが、NHKは視聴料を徴収するという特殊なメディア(世界に同じようなメディアがあるかどうか知らない)である限り、国民の要望に耳を傾ける必要がある。試みにチャットGPTで「視聴料を徴収する国営メディアはあるか?」と質問してみると、「はい、日本には国営放送である日本放送協会(NHK)があります。NHK受信料と呼ばれる料金を受信契約している人が同協会に支払う必要があります」という回答が返ってきた。NHKは国民に媚びるのではなく、またアピール性を向上させようとするのでもなく、ひたすら日本国民の精神性向上のために、その役割を果たすべきであろう(【時事評論】22.7.19「メディアの役割と責任」)

  では未来世界ではこうした問題は起こるのだろうか。未来世界ではメディアは国営と民営の2つになり、NHKのような中途半端なものは無くなるだろう。また放送は全て国民による評価を受け、それはリアルタイム評価であるため、アナスンサーの喋り方からその内容まで、さらにスタジオ背景などまで評価されることで、他局との比較が為される。もし放送内容に問題があれば、それはリアルタイムでデータサイトに表示されるため、視聴者はより良いメディアを選択することができるようになるだろう(【時事評論】21.2.1「ノム世界の情報システムの提唱」・21.3.16「評価主義の効用」)

(7.11起案・起筆・終筆・掲載)


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