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【時事評論2020】

NHKのニュース報道に違和感

2020-05-12
  最近の報道には違和感を何度も感じた。特にNHKの報道は国民に不安と恐怖を煽っているとしか思えない。本日のニュースでは、「衝撃的な事態が明らかになりました」という言葉で始まった。何を言うのかと思ったら、トヨタなどの業績不振についての報道であった。経済全体に大打撃を与えるような政策を採っているのであるから結果が悲惨な状況になることは分かり切ったことである。それを今さらながら余計な不安と恐怖を与えるような報道は許されない。戦時と同じだと考えれば、国民に対して対策を示し、鼓舞するのが公的報道機関のなすべきことなのではないだろうか。
 
  国民はこのような自堕落な報道に晒されて自己中心主義に陥った。それを証明するかのような調査結果がある。英国の世論調査会社ユーガブが世界26ヵ国・地域で実施した調査では、コロナ対策として「通勤・通学を避ける」と回答した日本人は18%に留まり、フィンランドと並び最低であった。つまり全体の問題に対して個人主義が強い傾向がはっきり出た。一方「感染を恐れている」とした日本人は87%と高水準であり、メディアの影響をもろに受けていることを物語っている。
 
  この調査は日米欧・中国・アジアなどの計約2万7千人を対象に行われたもので、日本では日本リサーチセンターが3月13日~4月13日まで5回に分けて調べた。「通勤・通学を避ける」と答えた国で最高の高率を示したのはマレーシアとインドの68%で、中国56%が続いた。イスラム教・ヒンドゥー教・誇り高い中国という背景があるのかもしれない。自由主義国の米国では32%であった。日本は強制力を伴わない措置であったせいかもしれないが、それにしても18%とは情けない。他の人のことを思い遣ると言われてきた日本人とはとても言えない。
 
  もう一つの調査はギャラップ・インターナショナル・アソシエーションが3月に世界30ヵ国で行った世論調査である。「感染防止に役立つなら自分の人権をある程度犠牲にしても構わないか?」という設問に、オーストリアの95%をトップに平均でも75%の国の国民が「そう思う」と答えた。だが日本ではなんと最下位の32%であった。これは公徳心を失った現代日本人の様をまざまざと見せつけた結果となった。日本財団会長の笹川陽平は「日本の良き伝統である自助努力や共助の精神は希薄になり、権利意識と義務・責任感のバランスも崩れつつある」と危機感を表明している。「日本人がいつここまで劣化したのか、不思議な気さえする」と慨嘆している。
 
  だがNHKのような報道を毎日聞いていたら、どの国でも同じように自分の事しか考えない国民、生命絶対優先主義に基づく考え方を持つ国民しか育たないであろう。日本人の劣化は明らかにメディアの姿勢にあるのであり、戦時にも「客観的報道」と自称する第三者的報道によって国民を不安・恐怖に導く報道の仕方が影響していることは間違いない。笹川は「非常時とはいえ外国からの入国を禁止し、国内でも他府県からの訪問を拒否せざるを得なかった一連の対応は大きな傷跡を残した」とし、「そういう時だからこそ、互いに助け合ってたくましく生きる日本人の強靭な精神を誰もが取り戻す必要がある」と説く。まさにこのような報道がメディアに求められているのである。

 
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