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【時事評論2021】

ノム世界の情報システムの提唱(4047文字)

2021-02-01
  現代のインターネットなどの通信手段が多くの問題を抱えていることは読者の方々もよくご承知であろう。それはネットの最初の創設時の設定が現代に合わなくなっているために起こっている副作用であり、それを正すためにはネット自体を全く新しいものに入れ替えなければ不可能である。インターネットが余りに世界に普及してしまったために、現状では入れ替えが極めて困難な状況となっており、誰も新しいネットの仕組みを考えようともしなくなっているようにノムには見える。だが未来世界にそれを実現するためには、現代においてこそその準備を始めなければならない。その仕組みの概要をノムは提唱しているが、それを「ノムネット」と称している。またメディアと呼ばれる情報媒体組織についても全く新しい組織作りを考えており、それを「ノムメディア」と称している。さらに進んで、知識の総合体として「ノムペディア」というものを考えており、これは現在のウイキペディアと趣旨が異なるため、併存させることが好ましいとも考えている。ウイキペディアは非常に理想に近い精神によって創設されたものであり、その役割は非常に高く評価されている。筆者もわずかながら毎月寄付させてもらっており、その使用頻度はかなり高い方だと自認している。

  まずノムネットから説明していこう。ノムネットにはアクセス可能層という概念があり、誰でもどのサイトに自由にアクセスするということはできない。これはたとえば、幼年から青年までの範囲の年齢層にポルノサイトにアクセスできないようにすることと同じ趣旨であり、適切な年齢に適切な情報が届くように配慮されている。その基準は年齢だけでなく、人格点・組織格点・国格点によっても制限が設けられる。また現代に見られるサイバー攻撃やハッカーによる情報操作を防ぐために、ネットへのアクセス自体に制限を掛けている。これは現代の自由放任主義からみれば抑圧的に思えるかもしれないが、未来的思考で言えば制御であって、抑圧ではない(1.7「制御思想」参照)。つまりネット全体の安定と安全・安心を確保するために必要な制限であると理解してもらいたい。その制限は、①プログラミング技術者は国家資格保持者でなければならない・②ネット接続可能な端末(デバイス) を所持する者は一定以上の人格点を保有していなければならない・③ネットへの情報発信はその資格保持者にのみ可能である・④全てのネット接続機器(デバイス) は国家に登録しなければならない(登録番号が付与されて初めて起動可能)・⑤全てのネット接続機器は連邦の指定工場において生産されなければならない、という何十にも施された制限となる。またアクセスサイトの制限については、①年齢層に応じた制限・②人格点に応じた制限・③機密性に応じた制限、の3つの制限がある。

  以上の制限について順に説明していく。アクセスへの年齢制限であるが、年齢を大きく幼年層・青年層・準大人(たいじん)層・大人層に分けると、幼年層(0~6歳:小学校入学前)ではテレビによる躾・共助に関する特別プログラム、および一般ニュースや幼年向け娯楽番組にのみ限定される。大人と一緒に見る場合にのみ一般番組の視聴が可能である。大人向けのアダルト番組やアダルトサイトを幼年に見せた場合はその大人は罪に問われ、一切のネット接続資格を失う。認証は指紋、もしくは体内埋蔵ICにより行われることになるであろう。青年層(6~15歳)ではこれに学習に関する番組、もしくは学習ネットサイトが開放される。さらに準大人層(15~18~20歳:就業前)では性教育番組や一般番組、ネットでは同様なサイトが開放される。大人層では全ての番組・ネットサイトが開放される。
  人格点制限では、健全層(人格点60点以上)では全ての番組・ネットサイトが閲覧可能であるが、人格点60点以下の未熟層では現実を伝えるシリアスな番組・ネットサイトは閲覧できない。これは醜悪な情報を受け止める能力にまだ達していないと判断するからである。社会ニュースの中には醜悪な世相を伝えるものも沢山あるが、これらを健全な精神で咀嚼できない者にも伝えてしまうことは、決して人間形成から言っても良い結果をもたらさない。これは人間心理学の点からの視点であって、人権問題云々という問題ではない(未来世界では人権という概念はない)(1.2「メディア報道における良いニュースと悪いニュース」参照)。賢人レベル(人格点80点以上)には真実や事象の本質を掴むために必要なあらゆる情報が提供される。これには国家機密(そのようなものが未来世界には無くなると考えたい)に該当するような情報も含む。逆に言えば、未来世界からは機密事項というものが無いと想定する。あらゆる不都合な情報も公的に明らかにされなければならない(密談・談合というものは禁止される)。正しいと信じる方策は全て説明可能なものでなければならない。テレビ制作会社やネット発信者は以上の制約に配慮しながら、適切な番組・適切な情報を提供しなければならない。

  現代のネットを悪用している人間の状況を考えれば、以上のような厳しい規制が必要なことは言うまでもないことである。現代では誰でも自由にプログラミングを書店に売られている書籍やネット上の情報から学ぶことができ、またその知識を悪者同士が自由に教え合うこともできる。そのような自由な環境と空間があるからこそ、後進国のテロリストであっても自由にネットを悪用できるのである。これを阻止するには、連邦情報省の管理の下で、世界的に統一的な規制が敷かれなければならない。そうすれば現代の遊び半分のハッカーや悪質なハッカー、そして国家ぐるみのサイバー攻撃組織というものは根絶される。またそうしなければ、必ず悪意のある者が網の目をかいくぐるようにしてネットに侵入してくるであろう。

  ノムメディアについて述べたい。情報発信に関係する一般の組織を全てメディアと呼ぶとすれば、ノム世界ではメディアを統一的に管轄する省庁が創られる。世界的には連邦の情報省が管轄し、各国ではそれぞれの省庁が管轄する。そのようなシステムを全体的にノムメディアと呼ぶことにしよう。ノムメディアは勿論賢人が社主とならなければならない。社主だけでなく、取締役に相当する役職者は全員賢人レベル(80点以上の人格者)でなければならず、不正や悪だくみはトップのレベルにおいて排除される。彼らは人間界で最も大きな責任を負っており、それなりの知見と経験を経た者でなければならない。単に資力や人脈を持っているからというだけでは会社のトップにはなれない。その代わりにその報酬は最大のレベルとなるであろう。年俸で言えば、最高レベルの5000万円以下のクラスとなるであろう。首相とほぼ同レベルである。これは情報というものを未来世界では最高に重要だと考えるからに他ならない。それだけに責任も重いのである。ノムメディアには、①テレビ・②情報配信社・③新聞雑誌・④書籍出版・⑤ネット配信、などに関係する会社及び公官庁が含まれる。ノムメディアは以上に述べた、年齢・人格・国情に合わせた適切な情報を区別して作成して配信しなければならない。

  ノムペディアというものは、情報を客観的に分かりやすく、かつ専門分野に合わせた形にも加工して配信するネットの統一的サイトである。ここではあらゆる情報がユーザーの知識レベルに合わせて提供される。そのカテゴリーはたとえば、①生活・②健康・③仕事・④コミュニケーション・⑤社会の仕組み・⑥医療・⑦技術・⑧趣味・⑨政治・⑩経済・⑪司法・⑫学術・⑬文化・⑭芸術・⑮歴史・⑯学習、というように多岐に亘り、人の知的欲求に合わせてカテゴリーは細分化される。ユーザーはカテゴリーと知的レベルを選択すれば、それに適当な記事がAIによって選別され、直ちに検索可能になる。使い方はこれまでのウイキペディアと同様であるが、その信頼性・客観性・検証性は格段に向上している。一つの記事についてさらに深く検索できる多層検索が可能であり、無駄な記事検索が極力省かれる。勿論一般記事も検索可能であるが、全ての検索の第1番目にノムペディアが出るようになる。そして重要なことは、このノムペディアの記事は全てノム思想に基づいた信頼できる記事になっているというところにある。つまりノム思想が科学的に網羅的に事象を捉えていることから、記事を書く上での視点がノム的であるという点に特異性がある。これを嫌う人はウイキペディアなり、別のサイトを探せばよい。検索と選択の自由は保証されている。ただし、未来のノムネットでは邪悪な意図に基づいた情報は禁止、または削除され、発信者にも人格点や組織格点の減点があるため、邪悪なサイトはほとんど無くなっているであろう。またサイトごとにその信頼性をAIが判断して信頼度を表示するため、ユーザーは安心して選択をすることができる。学会の専門論文もここから検索ができるが、その閲覧には料金を支払わなくてはならない。これは受益者負担原則に基づくものであり、また一般人にも専門領域へのアクセスを可能にするものとして画期的なものになるであろう。サイトによってはこのような賦課金制度を取り入れることが可能である。業界情報などはこれに該当するであろう。また専門雑誌を含めた雑誌や書籍も、現在でも一部おこなわれているように有料で閲覧が可能になる。未来世界では形としての書籍をできる限り減らす方向に行くであろう。それも含めてノムペディアとして統一的スタイルで提供されることが望ましいが、全く別個に民間主体の形で情報発信することは可能である。ただし、ポルノに関しては、ノムの考えでは健全なポルノというものに限り大人に対して開放されるべきであると考えており、それをノムペディアに含めるかどうかは今後の議論に委ねたい。



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