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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2023】

人間生活から乖離した、人間を滅ぼそうとしている科学

2023-11-23
  前項で現代物理学の現状を述べたが、そもそも現代科学全体が狂った方向にむかっており、人類を滅ぼそうとしているという現状にだれも気付いていない。あるいは一部の物理学者や生態学者、そして生物学者がそうした危機を感じてはいても、競争の世界の現状から、正直な声を反映しようとはしていない(20.9.7「人間は競争を克服できるか?」)

  ノムは科学番組の主要なものは見逃すまいと、予約をして録画し、時には記録している。だが多くの科学者や哲学者は、現状を肯定して将来の夢を語るか、あるいはそれとは真逆に、現状を否定的に評価して、将来に警告を発しているか、そのどちらかである。世界の知者とされる有名な学者らの多くは、警告派であるが、それでも現状の数年先か数十年先を見ているだけで、数百年、数千年先を見据えている学者はかなり少ない。その少ない学者の中にユバル・ノア・ハラリがいるが、彼はどちらかといえば将来の夢を語っており、言うことに警告の意味合いは少ない(20.12.12「ハラリの特別講義」)

  現代物理学が人間の存在も物質の存在も否定するようになり、我々が見ていることは幻想に過ぎないと思わせるようになったことで、人間は自身の存在の意味を探る意義を見失った。ここに至るまで、現代物理学が発見した核分裂という現象は、原爆を生み出すための理論として軍事利用されたし、現代科学が生み出したあらゆる技術が、化石燃料の消費を飛躍的に増やしたことで、地球温暖化を招いている。大局的に見れば、産業革命以来の科学がもたらした人間への恩恵は、地球から見れば「癌の増殖が始まった」と見えたことだろう(21.5.15「多細胞生物の癌化と人間によるガイアの癌化」)。いったん開発された技術は止めどなく進歩し、時には革命的な革新(イノベーション)をもたらした。その渦中で育ったノムには、その変化は余りにも急激であるため、ついていくことすらできない状況にある。

  ノムはその変化の本質を探ろうと、思考し、思索して多くの論文を書いてきた(20.12.17「世の中の変化と時間資源の喪失」)。世に問うたものは1冊であるが、学術論文としても1つ書いている。どちらも共著であるが、書いたのは私である。それからは自分の論文集をまとめている。トップページでも紹介しているが、その量は莫大なものになっており、書籍にすれば8600ページを優に超えており、このブログだけでも450万字(書籍にすれば5000ページ)以上となっている。この2つを合わせただけでも1万ページを優に超えた論文を書いていることになる。だが世界の科学技術論文はこれを遥かに凌駕しており、とても太刀打ちできるものではないことはよく解っている。だが、それでも警告を発せざるを得ないのは、人類が滅びようとしていることを知っているからであり、それを知らせるのが自分の使命であると思っているからである

  今日のニュースでは、中国の1企業が倒産したそうだが、その債務額が6兆円を超えるそうだ。もしこれだけのカネがあれば、地球環境を少しでも改善することができたのではないかと思う。企業活動だけではなく、科学そのものに人間は莫大な投資をしてきたし、現在も桁外れの規模で行っている。世界が科学技術の進歩で覇権を握ろうと競争している時代だからである。特にノムが杞憂しているのは宇宙開発である。何万というロケットが打ち上げられ、オゾン層を破壊し、さらに地上からの天体観測が不可能になるほど多くの衛星が地球表面近くを飛び回っている。軍事衛星がさらに多くなることは、北朝鮮の動きを見るまでもない。

  ドローンはノムが予感したように、強力な兵器となった(21.8.10「東京オリンピックで使われたドローンの恐怖」・1.5「自衛隊は民生用機器を使って対ドローン兵器を開発せよ」)。これからの通常戦の主力になると思われる。だが本当の脅威はこれから起こる要人暗殺としての手段に使われることであろう。平和な国家においても、日本で起きたように手製の銃でも要人(安倍元首相)が暗殺された。動機が明瞭でない個人的逆恨みでもこうした事件が起こったのであるから、テロリストや各国の刺客によるドローン暗殺事件はこれから多発するであろう。こうした技術は平和的利用でも絶大な有益な成果をもたらすが、悪用されれば甚大な脅威となる

  うがった観方をすれば、現代の科学技術は、人間生活には本来必要のない高度な技術であるがゆえに、必ず悪く使われることによって人間を滅ぼすことになるであろう。既に第二次世界大戦後の世界はその脅威に常に晒されてきた。キューバ危機が有名であるが、あの時代にはまだ人間の意志で核戦争を止められたし、事実フルシチョフがキューバから核兵器を撤退させたことで解決した。だが現在は当時とは全く状況が異なる。もはや人間の意志が介在する余裕が無くなったのである。先進国の核戦略では、先制攻撃、もしくは攻撃を受けた際の「相互確証破壊」を前提としており、そのために報復のための判断時間が人間には10分ほどしか与えられていないため、判断をAIに任せるようになっている。生成AIが判断を与える時間はより短くなっていくであろう。

  ノムは科学主義者であるが、それは当然、科学を正しく使うことにのみ価値を見いだしており、悪のために使おうとは考えていない。だが技術の持つ宿命から、その応用が善に向かうか悪に向かうかは、人間が制御しなければならないのである(22.12.9「科学技術の両面」)。これまでのところ、人類はその制御に失敗した。各種の核兵器削減条約や、核兵器開発阻止のための、核拡散防止条約は事実上破綻しかけている。そして事態は悪い方向にエスカレーションしている(22.11.13「エスカレーション原理」)。これを止める機構や能力を人間は持ち合わせていない。結局、人間は科学の恩恵を受けて成長し、人口を拡大してきたことから、科学礼賛主義に陥り、その制御を忘れてしまった。そしてもはや現代の競争時代にあっては、その制御は不可能になっている。核兵器のほとんどを使い尽くす第三次世界大戦が避けられないのは、最早誰にも分かっていることである。ただ、誰もそのことを認めようとはしないし、議論の対象にしようともしない。議論しているのは各国の政治家や戦略家だけであり、しかも彼らは自国に有利になるようにしか、世界戦略を立てようとはしていない

  ノムは現代に人類終末戦争と呼ばれる核戦争が起こることを全ての著作の中で予言し、警告してきた(21.12.13「ノムの予言の意味」)。それは特に、産業の発展の様を見ていれば分かることである。すべてが競争の下で行われていることが明瞭であり、その競争の行きつくところが墓場であることも明瞭であるからである(20.9.16「競争はいつ芽生え、何をもたらしたか?」・20.11.23「地球温暖化と動物窒息死の問題」)。だがここでそれを繰り返しても、せんのない話であるから、未来世界について述べてみたい。

  未来世界では、科学も技術も、人間などの生物が最適に地球上に分布するように設計するために使われる。人間がそれを主導することになるのは当然であろう。人間のみが知恵のある存在として、生物界に君臨しているからである。だが人間はその特権や権力を、もはや支配や独占のために使おうとはしなくなる。知恵が智慧になるからであり、能力が制御力になるからである(21.1.7「制御思想」)。そのためには、人間が知的により進化しなければならない。ノムはその進化型人間をネオサピエンスと仮称している(21.4.8「ホモサピエンスからネオサピエンスへの進化」)。進化した人間は自制力と事象の制御能力を身に付けるであろう。そして科学をも制御し、知的好奇心も制御することになる。野放図に知的好奇心を放置することはない(20.12.24「人類の好奇心と冒険心(その1)」)研究や開発は連邦と国家の監視の下で行われる(21.9.30「未来に向けての研究テーマ」・21.12.11「研究の創出」・22.8.27「未来世界の市民研究」)。もしオンブズマンが企業や公社を監視する中で、人類全体にとって脅威である可能性を見出したなら、それは報告されて賢人によって議論されることになる(21.5.1「賢人政治は成り立つか?」・21.11.20「賢人とは?」・3.12「オンブズマン制度」)。賢人は国家を代表する者ではないため、客観的立場からその是非を議論し、否定の意見が多数を占めたなら、研究や開発は禁止される。善用のための研究でさえ、そうした総合的判断が下される可能性があるだろう。そこまでやれば、人間界から悪の処方箋が出されることは無くなるだろう。

(11.20起案・11.23起筆・終筆・掲載・11.24追記)


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