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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2021】

ノムの予言の意味

2021-12-13
  ノムはおよそ40年前(1970年頃)に、地球環境の甚大な変化や戦争の勃発などによる人類の大災厄が2020年頃にあるだろうと予測した。そしてそれを学生の前でも公言した。それ想は人口曲線から割り出した結論であったが、当時としても地球の支え得る人口規模は100億人程度であろうと予想されていたことから、70億を超えたら危機的状況だと考えたからである(2021年現在は77億人)。1970年の人口は37億人であったが、人口曲線から割り出した危機的状況が訪れる年代を2020年頃と推定したわけである(70億人に達したのは2011年で予想より人口爆発は早く進んでいる)。それと同時に、この危機を乗り越えるためには、環境シェルターが必要になるだろうと考え、人類の住居を地上から地下に移行するプランを考えた。それを「シェルター計画」と名付けて、その構造をいろいろ考えた(7.17「水害地に環境シェルターの設置を! 」)。主として空気浄化と水浄化を主体として取り入れようと、学校でもその研究に取り組んだ。さらに一歩進めて、二酸化炭素濃度を減らすための地上森林化計画から、「田園都市構想」を描いた(2.9「田園都市構想」)

  もしこのシェルターが実現していれば、この度アメリカを襲った巨大竜巻(最大直径4キロ 風速130メートル)による人的被害を最小にできたかもしれず、最近全世界各地で起きている水害や熱波から逃れることもできたかもしれない(7.17「水害地に環境シェルターの設置を! 」)。コロナ禍に対しては、隔離空間として有効に使えたかもしれない。将来的には二酸化炭素濃度増加による窒息死から逃れる空間として利用されるかもしれない。正に未来を予測した地下住居としてのシェルターは、環境汚染・災害から人間を守る砦としての役割もあるのである。この構想を考えた1970年代は、核戦争を予想した核シェルターが流行った時期(1950-1960年代)でもある。だがノムはそうした発想とは全く目的も動機も異なる発想から環境シェルター計画を考えた。実際に半地下の箱型シェルターを建造し、実験的に使用しているが、非常に満足した結果が得られている。2020年4月には「MONEY VOICE」が、「米国では地下シェルター都市が大人気。富裕層もコロナ禍からの生き残りに必死」というタイトルの記事を載せている。現代では「核」の脅威よりも「コロナ」の脅威の方が主流になっているということなのだろう。だが本当の脅威は、全面核戦争による環境破壊なのである。

  だがその実験的シェルターの建造の目的は、全ての課題をチェックできたわけではない。空気浄化は実験設備として備えることはできたが、水浄化は残念ながら実験できなかった。また防災機能を完全に満たしているわけではなく、特に入口の耐火性は考慮されていない。最大の課題は、湿気によるカビ対策であり、また年間を通しての温度変化の確認にあった。その両方について、ほぼ満足した結果を得ている。その結果を踏まえて発表した1985年の学内論文では、「バブルに浮かれている日本(1986-1991年)は、未来を見据えて備蓄にカネを掛けるべきだ」だと書いた。その翌年の1986年に研究会の発表として「シェルター構想」を提唱している。残念ながら日本にはそうしたビジョンは生まれず、現在の日本は後手後手に世界の問題に対応しているだけで、未来のビジョンは全くない。

  今考えても、40年ほど前に抱いた危機感がその通りに現実になってきたことは、ノムにとっては当然のことだと受け止めているが、かなり学者らよりも早く未来を予測したと言えるだろう。学者らもそうした警告を発してはいたが、有効な対策を提案することは出来なかった。その意味でノムの予言はほぼ当たったこともあり、また備えるべき手段が終始一貫して変わらないという点でも注目されてしかるべきところだろう。そこでノムの予言について、改めて検証するとともに、その意味を再考してみたいと考えた。ノムは「予言」という言葉は嫌いであり、他に適当な言葉として「予知」・「予想」などがあるが、敢えて今回は予言という言葉を用いた。それは読者が興味を引く言葉である、ということが理由であり、大きな動機でもあった。筆者が提唱する不可知論では、予言という概念をそもそも持っていない。だが不可知論故に予言ということに関してもそれを否定することはできない。我々はまだ世界のことも、その奥義(おくぎ)についても何も知らないのであり、神秘主義についてもそれを否定することはしないという立場をとる。

  予言のほとんどは当たらないとされている。筆者も「予言」と称される事案をいろいろ調べて当確率をチェックしたが、やはりほとんど当たっていない。そうしたことから、科学的予測に基づいたノムの予言は当たるのが当たり前ということであり、予言と言えるようなものではないのかもしれない。だが「ソヴィエトの崩壊」を前年に予言したという人がいることから、政治的予測を予言と呼ぶなら、環境的予測もそう呼んでいいのではないかと思う。ノムの予言は神秘的直観に依るというよりも、科学的予測なのである。

  その予言の内容は、「2020年頃に人類にとって大災厄となるような出来事が起こる」というものであった。当時も現在も、その大災厄が第三次世界大戦勃発を意味するのかどうかは決め付けない。筆者の予想外の出来事として、2020年(実際は2019年末)にCOVID-19によるパンデミックが起こった。今ではこの出来事は続く世界の緊張の前兆に当たると考えている。そして政治的には、2022年初頭にロシア・中国による局地戦争が始まると考えている。それは確実に第三次世界大戦(全面核戦争)となるだろう。その意味ではこの予言は、「2020年代に起こる大災厄」ということになる。その切っ掛けは図らずも自然の脅威から生まれ、人間の愚かな対応としての対立の結果として自滅の道を歩むことになる。


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