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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2024】

エネルギー論

2024-03-31
  これまでエネルギー問題に関してはいくつかの論を書いてきたが、総合的視点に立ったものが無かったので、改めて「エネルギー論」として書くことにした(21.2.19「人間の時間エネルギー代謝と必要カロリー」・21.4.25「未来世界における再生可能エネルギー」・22.6.2「世界的エネルギーショックにどう対応するか?」・22.9.20「エネルギー不足は問題か?」・23.4.11「核融合は理想の究極エネルギーなのか?」)。本項では人類の初期から人間がエネルギーとどう関わってきたかを考察してみる。それによって、人間にとってのエネルギーというものの本質を探り出すことができるだろうと考えている。

  「エネルギー」というものを改めて定義しようとすると、それは物理学的な無味乾燥なものになってしまう。人間にとってのエネルギーという視点で考えると、人間の生命を維持するために必要なものであり、それは食物から化学的・生理的に得られるものも指すが、本項では「人間活動における動力源」という意味で使いたい

  原始人類は、動物を飼育していなかった時代においては、自分の力=人力火力しか利用できなかった。やがて数万年前に動物を家畜化したことで、1万年前から始まったとされる農耕に牛などを使ったことが考えられる。これをノムは「動物力」と呼んでいる。またいつ頃からかは不明であるが、水力を使うことも学んだ(水車)。そして比較的近年になって、技術というものを科学から生み出すことを学んだ人間は、火力から動力を生み出す方法を発明した。いわゆる外燃機関と内燃機関である。これは通常「エンジン」と呼ばれているが、これは絶大な進歩をもたらした(自動車・船舶)。そしてこの時代は「産業革命」と呼ばれるようになる。イギリスが発祥の地とされ、それは瞬く間に世界に広がった。

  やがて米国のエジソンによって電気が実用化されると、世の中は「電気の時代」に入る。照明には電灯が使われるようになった。それ以前にもガス灯というものがあったが、それは人類の火力利用を少し進歩させた程度のものであった。火力による発電も行われるようになり、電気はあらゆる分野に応用され、モーターによって動力化することもできるようになった。エンジンからモーターの時代に入ったことを意味する。さらに電気現象は電子現象に応用されていく。リレーは電子回路に置き換えられ、電子制御というものが可能になり、装置は極端に小型化が可能になった。「電子時代の到来」とも言えよう。その最も輝かしい成果は、コンピューターの発明であった。これも最初は電気的なもの(真空管)であったが、デジタル化されたことで極端に小型化された。電子時代には人間は情報を制御できるようになった。現代は「量子化の時代」に入ったとも言われ、量子コンピューターや量子通信も実用化が見えてきている。

  これら技術の進歩をノムは、制御技術の進歩と捉えている。物を制御し、機械を制御し、エネルギーや情報をも制御していると思われるからである。だがエネルギーの制御は誤った方向にも進んだ。原爆の発明である。また情報の制御でも誤りを犯し、幼稚なネットシステムを構築したために、サイバー攻撃という手段の余地を与えてしまった(21.2.1「ノム世界の情報システムの提唱」)。さらには仮想通貨・AIという、人間の制御の及ばないものをも創り出してしまった(20.7.24「AIの適切利用」・20.12.19「仮想通貨」)。ノムはこのことから、人間はもはやエネルギーや情報を制御できなくなったと考える。その端的な事例が「地球温暖化」である技術の進歩は莫大なエネルギーを消費する産業と人間生活様式を生み出した。その結果、人間はエネルギーを制御できなくなり、地球温暖化によって棲息域を失いつつある(20.11.23「地球温暖化と動物窒息死の問題」)一部の人間はそのことを予知しており、宇宙にその生息域を移そうとしているが、それは愚かな試みとしか言えない宇宙開発そのものが、莫大なエネルギーの消費を促進しており、その結果として、人類の絶滅を速めているからである(21.3.19「宇宙開発はグローバリズムを破綻させる」)

  それはつまり、一部の権力者や技術者だけを救おうという企みを意味している。我々庶民は、宇宙開発という夢に踊らされているだけであり、そのツケを自ら被る立場にある。なぜ世界の人々がそうした企みを絶賛しているかと言えば、それは各国の技術競争という形に置き換えられているからである(20.9.16「競争はいつ芽生え、何をもたらしたか?」)。自国のロケット打ち上げに喜々として喜んでいるというのが実情であり、為政者や研究者に騙されていることに気が付かない愚民の姿は実に哀れにノムには見える(21.9.26「愚民論」)

  未来世界があるとすれば、その世界ではエネルギー循環の法則が適用されるようになっているであろう。すなわちエネルギーを完全に制御下に置き、自然エネルギー(再生可能エネルギー)と化石燃料エネルギー、そして原子力エネルギー(核分裂炉・核融合炉)の適切なバランスの取れた使用により、地球温暖化を引き起こさないように制御されるであろう(21.1.7「制御思想」)人間力が見直され、動物力も復活するだろう。そして数千万年から数億年掛けて貯蔵されてきた化石燃料を数百年という短時間に消費している現状によって引き起こされている温暖化を回避するために、化石燃料の使用は最小限に抑えられるであろう。また原子力エネルギーは地球の表面におけるエネルギーバランスを崩す可能性があることから、これもまた制御下に置かれることになる。決して無制限に使用してよい夢のエネルギーではないのである(23.4.11「核融合は理想の究極エネルギーなのか?」)

(3.26起案・3.30起筆・終筆・3.31掲載・追記)


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