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【時事評論2020】

仮想通貨(2877文字)

2020-12-19
  12月16日に、ビットコインが初めて2万ドルを突破した。ビットコイン(BTC)は2009年5月に中本哲史 と名乗る正体不明の人物によって投稿された論文から広まった仮想通貨であり、言ってみれば日本人の発明なのであるが、今や世界に何千とある仮想通貨の一つになってしまった。ビットコインが登場した当初は、通貨の価値が認められず、発行のための電気代が想定されて1BTC=0.07円だったという。BTCを用いて初めて決済が行われときも、1BTC=約0.2円であった。ということは現在の価格はほぼ2000万倍以上に増大したということになる。だが現実はそう甘いものではなく、2009年に日本で運用が始まったが、フランス人が日本で運営していた「マウントゴックス」は2014年2月に破綻した。この正体不明の悪貨が未来世界では、連邦が発行する世界で唯一の正貨となると筆者は予想しており、その仕組みも考えている。以下ではなぜそうなり得るのかを説明していきたい。
 
  仮想通貨は難しいコンピューター用語で言うと、公共トランザクションログ(データベースにおいて記録される処理過程)を利用しているオープンソースプロトコル(公開手続き)に基づくPeer to Peer型(個人対個人)の決済網及び暗号通貨であるとされる。ネット上の情報の遣り取りに使われるブロックチェーン」技術が用いられる。簡単に言えば、誰かがそれを発行(マイニング=Mining:採掘)し、それが取引に使われた場合に、その通貨にはタグが付いて回るため、どこからどこに渡されたかが明確になる性質を持っている。発行者はこれを無制限に発行すれば仮想通貨の下落に繋がるところから、一定の制約の下に発行することになる。仮想通貨の信用性はそれを使用する人や団体の多さに掛かっており、無限連鎖講(ねずみ講)と同じような仕組みになっている。日本のねずみ講を世界に適用すれば、世界中でネズミ講が流行っているという表現ができるであろう。開発者の意図に拘らずこれは悪用されることは必至であるが、現に国際的な金融機関やネット販売業者が関心を強めており、2013年11月には上院公聴会においてFRBのバーナンキ議長がこの通貨に期待するような発言をした。2017年4月にはビックカメラが購入決済に導入を始めた。ビットコインを使える店舗は数えきれないほどに増えている。米国ではネット通販や大手チェーン店舗、そして不動産関連取引にも通用するようになっている。2019年4月には40以上の世界銀行が導入の検討を始めた。世界銀行は8月にブロックチェーン債を発行している。
 
  仮想通貨の悪用事例を挙げてみよう。まず挙げられるのがマネーロンダリング(資金浄化)と呼ばれる不正に得た現金の出所を不明にする手法である。本来は「どこからどこへ」という流れが明らかになるはずなのが、どういう仕組みか分からないが回路を変えることで誤魔化せるようだ。最近では過激派が身代金をBTCで要求するという事例も出ている。またサイバー攻撃によって略取されることが現実に起きている。昔で言えば銀行強盗による現金強奪に等しい。上記マウントゴックス破綻の原因は某国(多分北朝鮮)からのサイバー攻撃で、ビットコイン(評価額で480億円相当)が盗まれたためであるという。さらに現在は仮想通貨による取引には課税されないという特権を享受しているため、決済手数料ゼロ・送金手数料ゼロ、という有難い事態も生じている。価格(正貨との交換比率=為替)上昇時には一獲千金も狙えるため、多くの個人がこれで億万長者になったり自殺したりしているという。人生を狂わせるに十分な魅力を持っているということである。
 
  世界の仮想通貨の数は今や数千~数百万とも言われ、実態を掴むことすら困難になっている。なにしろ発行者はほとんど資金が無くてもネット環境さえあれば、理論的には発行可能であるからである。その中には有象無象の悪質業者がゴマンとある。その理由に「トークン」という仮想通貨発行プラットフォームの存在があるという。会員は手数料を払えば独自の「トークン」という仮想通貨に似たものを発行できるという。他にも有名な仮想通貨プラットフォームとして「Counterparty(カウンターパーティー)」・「Etherium(イーサリアム)」「Waves(ウェイブズ)」などが挙げられる。これらのプラットフォームは、企業の資金調達(ICO)などにもよく用いられるという。
 
  それではこの仮想通貨を未来に応用するというメリットを挙げてみよう。未来世界では連邦の下にネットワークは「ノムネット」に変わっており、通信の発信者には資格が必要となり、またその通信内容は、①発信元のコンピュータ・②分岐点のサーバー・③受信コンピュータ、の3段階でチェックされ、不正がAIによって判定されて通信にブロックが掛かるとともに、通信元のコンピュータがシステム的に破壊される。そのような強力な不正防止対策が講じられているため、この良好なネット環境では仮想通貨の優位性が存分に発揮される。それは上記したように、①通貨の出入りが明確に記録され、また通貨自体の個別流通ルートが明確化される・②手数料はゼロとすることが可能だが、受益者負担の原則から多少の手数料を付加すべきだろう・③為替自体が無くなることで為替手数料も発生しない、などの利点を持つ。
 
  世界通貨は「仮想通貨」という名称では呼ばれず、「ブロックチェーン正貨/BC正貨」と呼ばれる。その具体的名称は「世界通貨(Universal Currency=UC:筆者提唱)」となるだろう。この通貨の登場によって、これまでコインを鋳造するために使われてきた金属資源が他の用途に振り向けることが可能になり、通貨の汚損や破損、そして逸失が無くなる。そのデータは個人IDとリンクしており、いつでもどこでも公的に明白に把握されるため、個人財産とその出入り・事業遂行のための資産の出納などが明確化される。つまり不正をしようにもできなくなるということになる。これらのデータは自治体・各国政府・連邦の共有となるため、不正はあらゆるレベルでAIチェック可能となる。それは超ビッグデータとして各国に分散されたスパコンのストレージに分散保管される。それへのアクセスには手続きが必要であるが、書類手続きではなくネットでのクリック操作で済むため容易であり、アクセス資格のない者の閲覧は不可能であり、AIにもそれは不可能である。またアクセスはやはりブロックチェーン技術を応用して全てアクセス者を辿ることができる
 
  こうして未来世界では世界通貨というブロックチェーン正貨を手に入れることで、カネにまつわるあらゆる不正を事前に防止できることになるだろう。そうすれば、人は不正を考えるよりも、真面目に働いて人格を高めることに優位性を見出すようになるだろう。ここに来て「良貨は悪貨を駆逐する」という昔からの諺が実現することになる。
 
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