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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2023】

【時事短評】イスラエルとハマスのどちらに大義があるか?

2023-10-14
  世界で戦争が拡大している。これはノムの予想通りの展開であり、逆に言えば、予想よりも展開が遅い位だ(21.12.13「ノムの予言の意味」)ロシアによるウクライナ侵攻は今のところ、終わる気配は見えない。新たに中東で第5次中東戦争が起これば、その影響はアラブ世界全体に及び、どういう展開になるかは全く予想はつかない。だが戦争が拡大していくということに変わりはなく、中国も動きを急速化しており、チャンスと見れば台湾に侵攻することを辞さないだろう。

  世界の多くの人が、イスラエルとハマスのどちらに大義があるのか、という問題に頭を悩ましていると思われる。ニュースにはそうした報道は少ないが、米国で年長者はイスラエル支持者が多く、若者は半数以上がパレスチナを支持している、というものがあった。だがその記事はアンケート集計によるものであり、そのアンケートはハマスによる侵攻と攻撃の前に行われたようだ。つまり今回の事態を受けて、米国の若者にもイスラエル支持が増えた可能性が大きい。ニュースはよく記事の裏側まで読み込まないと、間違ったものになる。

  同じことを、日本の沖縄県知事・玉城デニーが9月18日に国連の人権委員会で訴えたことにも感じる(日本9.18「売国沖縄県知事玉城デニーが国連で基地問題批判の主張」)。玉城は5年前の県民アンケートのことを持ち出し、自分の意見は沖縄県民の意見を代表するものだ、と述べた。だがロシアによるウクライナ侵攻は昨年に起こったことである。それによって沖縄県民も心を変えた可能性は十分にある。もし玉城が自分は沖縄県民の気持ちを代弁していると言うのなら、少なくとも今年に改めて県民投票をやり直して、沖縄県民の意思を確認してから国連に乗り込むべきであった。5年も前のことをよく平気で持ち出したと、その欺瞞振りにあきれ返るしかない。

  世界各国によって中東状況の判断の仕方が違い、またイスラム教徒であるかないかによっても意見は大きく異なる。日本はどちらかというと宗教的には中立を取っており、日本国内では宗教による差別はほとんど見られない。日本国内のイスラム教徒は、今回の事態を受けて、「イスラム教徒全体の印象が悪くなった」と危惧している。つまりハマスの過激で残酷な攻撃が、世界から批判的にみられていることを自覚しているようだ。だがおかしなことに、イスラム教徒は決してハマスのことも、他の過激派のことも非難していない。「自分たちは平和的な信者だ」と言い訳はしても、他国で行われているイスラム教徒による過激行動をなぜ批判しないのか、不思議である。

  昨日もフランスで、若いイスラム教徒(20)がナイフで母校の教師を殺害し、もう2人を傷つけた(国際10.13)ハマスによる「全世界のイスラム教徒は蜂起せよ!」との呼びかけに応えたものと思われる。だがなぜ母校の教師を狙ったのかは不明であり、その動機には全く別な怨恨の可能性がある。いずれにしても、世界各地でこのような騒動や事件が起こっている。そしてさらにイスラム教徒への不信や不安が募っていくであろう。

  ノムは、偏見を持っていると言われるかもしれないが、イスラムという宗教そのものに疑問を持っている。それはたった一人の暴虐者が創設した宗教だからである。ムハンマドという宗祖は、商人でありながら権力を得て、武器を以て周辺の国々を征服しつつ、イスラム教化していった。イスラム教には元々そうした征服欲が内包されている。何か事があれば、宗教指導者の掛け声とともに聖戦(ジハード)が唱えられ、身勝手な論理の下に戦争を始める。今のところイスラム主義国家で力を持っているのはイランくらいなものであるが、そのイランがイスラムの大義を振りかざして世界に躍り出てきた。今回のイスラエル・パレスチナ紛争(戦争になることは確実)はイランが裏で手をまわしていると噂されている。もしイランが世界のイスラム教徒を束ねて世界の征服を企図しているとしたならば、それは共産主義者・中華思想主義者である習近平が世界を征服するよりも恐ろしい事態を引き起こすだろう。

  幸いなことと言うべきか、イスラム教ではムハンマドは教祖ではあっても神ではない。しばしば過激派は「アッラーの神(太陽神)」を唱える。「アッラー アクバル!(神は偉大)」というのが過激派が唱える呪文である。そしてこの宗教の後継者は、その出自によってスンニ派とシーア派に大別されている。この2派は憎悪の念を以て対立しており、イスラムが1つには決してまとまらないのは、こうした宗派対立があるからである。イラン(シーア派)は決してイスラム世界の盟主にはなり得ない。

  イスラエルはご存じの通り、ユダヤ教を国教として建国された新国家である。パレスチナの地に建国したことは、当時の西欧で認められた。そしてそこに住むイスラム教徒は阻害され、迫害を受けたと言われる。だがノムは過去に遡ることはしたくない。現実にイスラエルが国家を築いており、しかもかなり軍事的にも経済的にも重要視されており、核兵器も持っているとされている。つまり中東の強国である。そのイスラエルに対して、宗教的怨念を持つハマスというイスラム過激派集団が攻撃を仕掛けたこと自体は、仕方のないことだと受け取られる。だが、その残虐性はロシアを上回るほどであり、幼子も容赦なく撃ち殺したとされる。イランから供与されたのかどうかはまだ不明だが、3000発ものドローンを使って攻撃したとされる。これに世界が反発したのは道理であろう。

  ノムは「どちらに大義があるか?」という問いに対しては、大義の考え方からすれば、イスラエルに大義があると考える(21.8.21「大義論」)。つまりハマスは明確に他国に侵入して攻撃を行ったからである。パレスチナはまだ国家として承認されておらず、ハマスは単なる過激派集団に過ぎない。その集団が他国を脅かしたとすれば、侵入された国家が防衛のための権利を主張しても当然だと考えるのが普通であろう。ノムは戦争に大義はないと考えるが、もし一方的に攻められた国があるとすれば、その国(ウクライナ・イスラエル)が防衛するのは人間組織として当然のことであり、防衛に大義があると考えれば、イスラエルに大義があると考えるのもまた当然であろう。パレスチナの人々が抑圧されているとしても、彼らはクルド人と同様国家を持たず、暫定自治政府のアッバス議長はまるで人形のごとくに統治能力を失っており、ハマスに国際支援の資金を横流ししていた。政府とは言えないし、そう呼ばれる資格もない。16日に中日パレスチナ大使が東京都内の日本記者クラブで会見してイスラエルを「あらゆる法に違反しているのに、世界は沈黙している」と非難したが、世界から同情が集まらないのは当然である。なぜパレスチナ大使がハマスを非難しなかったのか、不思議な位だ。

  今後の推移に注目していきたいが、イスラエルが全面的にハマス殲滅作戦を取るのは当然のことと考える。今回はガザ北部の住民110万人に避難を呼びかけた。それは現実的に無理な話であるが、イスラエルがいきなり報復戦争を始めなかったことは幸いであった。自動車があれば、退避は可能かもしれないが、パレスチナ人で自動車を持つのはかなり裕福でないとあり得ない。イスラエルは形の上で人道的措置の手続きを取っているが、それは事実上不可能な話である。戦争である限り、こうしたことを論じても意味がないであろう。要は今後、この戦争が世界にどう波及していくのか、そしてそれは何を意味するのかを、日本人は考えていくべきであろう(22.6.30「人類史から観た第三次世界大戦の必然性」)

(10.14起案・起筆・終筆・掲載・10.16追記)


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