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【時事評論2023】

人間の洗脳やホルモンによる制御は可能か?(7.8追記)

2023-07-07
  ノムは人間世界の安定的制御について長いこと模索してきた。世界が安定するためには、その主体である人間がまず安定しなければならない。現代の世相を見ていると、世界が不安定であるのは、人間そのものが不安定であることに起因すると思わされることが多い。プーチンのような妄想人間が指導者になれば、世界は何時でも核戦争による人類滅亡の危機に晒されるだろう。人間はその育った環境により、考え方(宗教を含む)や民族性が大きく異なり、それはその国家の歴史にも大きく影響されている。未来世界ではそうした考え方の統一民族性の統一についての可能性について考えていかなければならないし、それが統一できないのであれば、統一に向けた強制的洗脳や性格制御としてのホルモン制御も考えなければならないだろう。これまでに得られている知見を基に、その可能性を探ってみた。

  人間を洗脳するには、①教育・②情報提供の制限・③強制的洗脳環境での拘束・④未来世界での脳洗脳、が考えられる。①の教育による洗脳は各国が行っている歴史教育や愛国教育に見られる(20.11.28「教科書による洗脳は是か非か」・3.26「愛国心は必要か?・愛国教育は必要か?」)。北朝鮮が最も極端だと思われるが、中国・ロシアといった権威主義国家は押しなべて教育で洗脳を行っている(22.11.24「中国の紅い教育の是非」)。洗脳が行われるのは、歴史・社会・道徳、といった科目で行われることが多く、科学的学科では少ない。すなわちその国家の価値観が反映される科目で行われ、事実に基づいた教育とは言えない。時には捏造情報によって教育される。これは明らかに間違っているので是正しなければならないが、現代は国家に主権があるため。それは不可能である。未来世界に委ねられることになるだろう。

  ②の情報提供の制限という手法は、たとえば北朝鮮などで個人が衛星放送を受信するのを禁止しているというのもその一つである。そもそも国営放送などの特殊メディアは情報そのものが偏っていることが多く、これもこの一例に入るだろう。だが現代は、ネットが自由に解放されているのが普通であり、民間メディアが自由に情報を提供しているので、この手法は余り有効とはなっていない。だが国家によっては権威主義国家などが情報源を絞ることで事実上制限をしている場合が多い。未来世界ではノムネットは人格点で使用の可否・使用範囲の制限がある(21.2.1「ノム世界の情報システムの提唱(ノムネット)」)

  ③の強制的洗脳環境での拘束とは、たとえば牢獄に閉じ込めて洗脳的教材しか与えない場合がこれに該当する。だが現代では牢獄に入ってもテレビを観るのもネットを使うのも自由な場合が多く、ロシア反体制派のナワリヌイでさえ監獄からメッセージを発信できているようだ。現代では事実上、この手法は無いに近いと云って良いだろう。未来世界では、犯罪者や犯罪予備軍と目される心身不安定な者に対し、強制的に再教育などの更生措置が取られるだろう。

  ④未来世界の脳洗脳とは、現代で進みつつある情報技術が脳へ直接情報を送り込むことができた場合に可能になる手法であり、事実上どうもそれは成功しているようである。ただまだ、具体的な文章などを記憶させることに成功しているかについてはノムにも知見がない。実験的には、Aさんの筋肉運動をBさんに伝えて連動させることには成功している。また微弱電気信号で筋肉を収縮させて鍛える器具が既に販売されている。そのうち脳に微弱電気を流して脳を活性化するような製品が販売されるかもしれない。未来世界でこのような直接的脳への情報伝達が可能になれば、それが脳洗脳に応用される可能性があるだろう。洗脳は決して悪い意味だけではなく、良い意味で洗い清めるために使われることになる。

  つぎにホルモンによる制御について考えてみたい。たとえばオキシトシンという「幸せホルモン・絆ホルモン」と呼ばれるホルモンを強制的に人間に投与した場合、その人は幸せな気分になり、世の中に対して敵対的ではなくなり、協調的になるのであろうか。また逆に、テストステロンという男性に多い攻撃性を増すと云われるホルモンを強制的に与えて、攻撃的で残虐的な兵士に仕立てることができるのであろうか?こうした研究は人体実験に相当するため禁じられているので、公には公表されることは無い。だが動物実験は可能なので、いろいろな実験が行われている。鬱病患者の中にはテストステロンがゼロの人もいたりして、テストステロンは必ずしも無くして良いものではないようである。また逆に、投与すると、脳下垂体がホルモンを抑制するように働いてしまい、その結果精子の形成も抑えられてしまうという。男性に対する避妊薬のような効果がある。またテストステロンを投与することによって、肉体的に女性化(乳房肥大)が起こったり、社会的に適応が向上(鬱病治療)することもあるという。

  オキシトシンは動物実験では未交尾のメスのマウスに、仔マウスへの関心と関与を引き出すのに成功している。未交尾マウスは母親のような反応を見せ始めたというのである。神経信号も母親の脳に通常見られるような秩序立ったパターンに変化した。これによってこのホルモンが神経ニューロンの挙動パターンを変化させることが分かった。人間では、動物と目を合わせたときにオキシトシンが増加することが分かっている。動物を撫でた時にも同様であり、発表はないようだが、男女の恋や性交でも大量に分泌されているのだろう。もしこれを、国家間の友好親善のために両国民に注射したとしたら、失敗する可能性もあるという。人は自分の集団に愛着を増すが、他集団に対しては敵対心を持つ場合もあるからであり、戦争の原因にオキシトシンを挙げる説(愛国心の高揚)も浮上しているそうだ。オキシトシンの作用は限定的(家族内・自国内)であり、普遍的なものではない(世界的ではない)ことが指摘されている。

  ある意味で、テストステロンは「社会性ホルモン」と呼ぶこともできるようである。テストステロンと同様な筋肉増強剤としてステロイドがネット上で販売されており、健康への悪作用が多くて社会的問題となっている。総じてテストステロンは胎子のときに強く影響し、大人になってからは生涯変動しないため、影響は小さいと云われる。一般の人はその血中濃度を気にする必要はないという。むしろ性格への影響や、逆に性格によるテストステロン濃度への影響があるという。投与によって攻撃性が増すのか、社会適応性が増すのかは結局不明である。テストステロンの90%が精巣で作られるが、去勢された男性は明らかに攻撃性は減るようであり、中国の宦官というシステムはそれなりに合理性があったようである。狂暴犯罪者の囚人に対して、同様に去勢するのは大いに検討の余地があるだろう。

  現代では人権という意識が強くはびこっており、人間の洗脳やホルモンによる制御などもっての外というのが常識となっている。だがそれは人間中心主義から出てくる人命尊重主義などが元になっており、かつ社会論としての近代思想(人権思想)が元になっており、それらはいずれも西欧の思いあがったイデオロギーである。それは自然界の掟からして科学的根拠があるとは言えず、むしろ極端に偏った偏向思想となっている。そしてこの人間の傲慢から発した権利主義・民主主義・資本主義というようなイデオロギーが、自然界を破壊していることが明らかになり、それについては知らない人はほとんど居なくなったが、相変わらず人間は自己中心的なモノの考え方を続けており、誰も真剣に環境破壊が人間の存続を危うくしているということを考えない。だが本来、人間界のことは人間が責任を持って制御をし、環境に対して過剰な負荷を掛けないことが求められている(21.1.7「制御思想」)

  その制御の方法は科学的に考えられるものだけでもいくつもあり、ノムは「洗脳による思想の統一」・「去勢による人間性制御」を提唱したい。洗脳については上記した中で、①~④の全てが用いられる。去勢については、現代では「優生保護法」は間違っているという認識が普通だが、それ自体が間違っているというのがノムの認識である。人間界では悪いことをした人間に対して罰を与えている。最高の罰は死刑であるが、ノムは逆に死刑制度には反対しており、同趣旨の「人間界追放制度」を提案している。人間界で死刑を認めておきながら、去勢は人権侵害だとする論理はノムには理解できない。死刑自体が人権侵害なのではないだろうか。ノムの追放制度は、悪人にも三分の理があると考え、なおかつ人間界では「あなたの悪行を人間界では許容できないので、人間界から追放します。どうぞ自由に生きてください」として文明から遮断する制度である。悪人にもちゃんと人権を認めているという点で、現代の死刑制度とは根底から異なる。

  洗脳や去勢は、およびホルモンによる制御は人間を生かしながら最善に導く手法であり、殺す手法ではない。犯罪者や矯正が必要だと考えられる人間に対して取られる最善の方法である可能性もあり、結果的に処置を受ける人間はより幸せになるだろう。その意味で人間に施される医療と同様なものであり、事実未来世界では、こうした措置は医療の一環として行われることも想定される。それは未来世界が、人間界全体の問題を優先的に考え、それに対して最善の科学的手法が行使されるからである。それを「真社会主義」と称しているが、現代の個人主義は否定されることになる(20.12.23「真社会主義」)。個人の自由はある程度の制限を受けるが、それは決して不満をもたらすようなものではなく、より人格的に向上を目指す方向に転化されるだろう(20.9.4「自由のはき違え」)。そして犯罪や犯罪者が減り、そして社会への弊害も減り、犯罪などへの対処のための社会コストが大幅に減ることになる。その余剰は、勿論民の福祉のためや社会インフラ整備に使われることになる。  

(7.4起案・起筆・7.7終筆・掲載)


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