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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2023】

干ばつ期を乗り切る環境シェルターの考え方(7.16追記)

2023-07-13
  地球温暖化のため、世界各地で異常気象が続いている。もはや異常という事態ではなくなり、常態化していると云った方が適切であろう。6月21には北京で41℃を記録し、7月16日には日本だけでなく欧米でも熱波が襲来した。カリフォルニア州のデスバレーでは、16日の気温が54度に達する可能性があると見込まれているという。気象異変は大雨による洪水、逆に干ばつによる飲料水や農業用水不足に表れており、いずれにしても食糧生産にとって打撃となっている。これまでにこうした被害を受けたことのない地域も被害を受けているところに特徴があるのかもしれない。7月4日にはエルニーニョ現象も重なって、世界の平均気温が最高の17.01℃を記録した。熱波による死者も出てきており、このまま推移すれば、10年以内に平均気温が18℃を超え、国連が目標としてきた2030年まで産業革命以前より1.5℃上昇以内に収めようと考える試みは失敗するだろう。

  6月8日には科学者が、ここ10年での気温上昇が過去最高を記録し、0.2℃上昇したと発表した。気温上昇が加速度的に大きくなっているとすれば、もはや希望的観測でこの事態推移を考えるわけにはいかないだろう。つい2年前の2021年8月、地球温暖化の原因は、人間の活動だと初めて断定した上で、2020年までの10年間の世界の平均気温が、すでに1.09度、上昇していると発表している。この平均気温については1850年から2000年の平均気温からの上昇のことを言っているのであるが、ほぼ産業革命以前と比較していると云っていいだろう。1970年頃に一時寒冷化が起こったが、これは産業から出る排気ガス中のエアロゾルが太陽光を反射したために起こった現象であると云われている。現在は逆に各国の大気汚染が改善方向に向かったことで、気温上昇が加速化されていると考えられている。

  本項は気候変動について考察するものではないため、現状と未来予測については以上で切り上げるが、そうした事態が起こった時に、どう対処するかを課題として挙げたい。それにはノムの主張する、人類の住居の地下への移行しか手段はない(21.2.9「田園都市構想」・22.9.26「地下生活へのいざない」)環境シェルターであるため、火災・洪水などの一時的被災に対しては備えができているが、長期に干ばつが起きたときに、果たしてシェルターだけで危機を乗り切れるのであろうか(7.12「シェルター断熱法の考察」)。そうした疑問について、現時点でノムの考え方を述べたいと考えた。

  干ばつが起きたときには、まず水が決定的に不足するだろう(21.5.8「水文明崩壊の予兆」)。また農作物が高温に晒されたり、水不足で枯れたりして食糧難に襲われるだろう。酷暑に対しては地下生活は強靭であり、未来世界では産業等についても地下化を進めている前提なので、作業についても問題はないと考えられる。そこで問題を、①水不足対策・②食料不足対策に絞って考えたいその期間はおよそ半年と考える。四季の無い国でも雨が完全に無くなるという地域は少なく、冬になれば雨雪によって水不足は改善されると考える。以下では3つの点について考察してみたい。

 《 水不足対策 》

1.干ばつはある程度予測可能なので、その恐れがある年は年初から節水対策を徹底する。これは個人努力ではダメなので、国家が非常態勢宣言をして、節水を奨励するとともに、その方法を教育・宣伝し、節水達成世帯には奨励金を出したり、人格点を引き上げたりしたら良いだろう。

2.雨が降っている間に、シェルターの貯水槽(およそ1棟の家の体積から想定:地下2・3階部分に相当)には8割以上の貯水があるようにしておく。2500年から3000年に掛けて、シェルター住宅は地下1階だけでなく、地下2階部分も出来ていることを予想している。シェルター住宅はおよそ500年ごとに上に積み増していくことになっているからである。使わなくなった古い部分の構造体に内張りを施し、全体を貯水槽にする住宅の古い部分の不使用部分は主として貯水槽・物品保管庫・食料貯蔵庫として用いられる。記念物の保存庫として利用することも可能であろう。

3.1日の水使用量を節水を条件に1人当たり約50Lとすると、4人世帯では年間に70トン程度の貯水が必要となる。これは70㎥に相当するが、標準的規格シェルターの床面積を仮に200㎡(約60坪)とし、床から天井までの高さを3mとした場合、その総容量は600立米となるので、およそ床面積の1/10を貯水槽にすれば、ほぼ間に合うという計算になる。実際には1/5の床面積を貯水槽にすれば、120㎥の貯水が可能になり、1年間は雨が全く降らなくても生活は可能であろう。だが、家庭菜園や家畜への給水を考えると、ノムとしては1/2の床面積を貯水槽に割り当てるという考え方の方が安全率が高いとみている。その場合は200~300トンの貯水量となる。環境シェルターはこの重量に耐えられる設計施工をしなければならない(22.2.22「環境シェルター住宅の設計指針」)

4.水の汲み上げやその他の動力に用いる電力は、太陽光発電で十分賄われるだろう。ノムは建物を利用した風力発電も構想に入れている。勿論、蓄電設備を付設していることが条件となる。現在でもEV(電気自動車)用リチウムイオン電池の容量は、いざという時の家庭使用ができるほどであることから、将来的にもっと容量の大きい蓄電池が開発される可能性が高い。唯一の心配は、こうした機器に使われるリチウムなどの金属や希少金属の埋蔵量や価格であるが、人口が20億人に減ることで、ノムはそれほどには心配はしていない。海底から資源を得る時代に入っていると考えられるからである。

5.貯水槽による貯水以外に、ポリタンクによる水の確保実験も行っている。安全性よりも生命維持の方を優先しているため、保存容器にはこだわっていない。あらゆるプラスチック材質の空容器を使って、水道水を入れて保存している。中には除草剤容器もあるが、これは何度も念入りに洗った。いざという時には水汲みをする必要がなく、移動にも便利なため、大いに助かるだろう。我が家は消毒用アルコールを多用しているので、まとめ買いしているが、この空容器は規格が揃っているため水の貯蔵には好都合である。

 《 食料不足対策 》

1.地下部分の平均温度はおよそ17~20℃と予想しており、この温度で保存可能な食料を地下の貯蔵室に貯蔵しておくことが基本的な考え方となる。貯蔵食料品は基本的には乾燥状態にあることが望ましい。ノムはコメを20年以上(1995年から開始)保存しているが、まだ開封していないので、それが食べられるかどうかは不明である。だがタンクが爆発していないところをみると、腐敗していないことは確かであろう。また多くの乾物(乾麺等を含む)・インスタントラーメン・フルグラ・レトルト食品などを常温貯蔵するとともに、冷蔵庫でもパックソーセージ・小麦粉・そば粉、等々を保存実験している。多くは1~20年近く経っているが、食べられないということはなさそうだ。

2.冷蔵庫の保存の場合は電力が失われたときのことを覚悟しておく必要がある。できるだけ常温保存できる食品の方が望ましい。

3.畑の根菜類には地中保存できるものが多い。ニンジンは前年に育てたものが、翌年の5月まで食べられた。ビーツも7月頃まで食べられる状態であった。特に推奨するのがヤマイモであり、前年栽培ものが翌年7月まで食すことができた。通常4月末頃から発芽するが、根の部分は食べられるのである。収穫は通常10月からであるので、食べられない期間は夏の3ヵ月程度だけである。ジャガイモは年に2回収穫でき、春物は6月頃に収穫、秋物は11月下旬頃から採れるが、秋物はそのまゝ土中で越年させることができる。その他サトイモなどもあるが、切りがないのでここまでとする。

4.問題は青物野菜である。保存が難しく、変質しやすいのが難点だが、その方面の研究がどれほど為されているのか、不勉強のため知らない。たとえばチマサンチュを茹でて保存袋に入れておいても、1週間は食べられるがその後変色してしまう。可能ならば水耕栽培のような形で、通年収穫できる方法が編み出されれば良いがと思っている。

5.ビタミン不足に陥らないよう、総合ビタミン剤を備蓄しておくことが賢明だろう。米国製の120錠入りのものが販売されているので、家族人数に合わせた半年分くらいの備蓄を地下貯蔵室にしておくと良い(22.3.28「シェルター籠城におけるサバイバル術」・23.1.10「絶対飢餓でのサバイバル」)

 《 燃料不足対策 》

1.食料は保存できても、これを調理するエネルギー源が無いと人間は非常に辛いことになるだろう。人間は調理を始めたことで進化できた生物だからである。太陽光発電で電気コンロ・電子レンジなどを稼働できれば、ほとんど問題は無いと思われるが、電気設備の故障に備えて、貯蔵燃料を蓄えておくのも一法である。薪・練炭・炭などは昔からの燃料であるが、現代ではカセットボンベという便利なものがあり、カセットコンロを使えばほとんどの調理はできるだろう。ただ、カセットボンベの可能貯蔵期間というものを知らないので、1年間の使用本数を想定して、古い順に使ったら良いだろう。問題はボンベのガスを封じているパッキングの劣化にあるらしい。経験から1年間は大丈夫である。

2.発電機を持つ人は、その燃料の用意が必要となる。ガソリン使用のものもあるが、軽油使用のものが多いだろう。またカセットボンベ使用の発電機もある。いずれにしても貯蔵には危険性が伴うため、法律的な許可が必要になる場合がある。詳細については個別な問題であるので、自分で解決してほしい。  

(6.23起案・7.12起筆・終筆・7.13掲載)


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