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【時事評論2022】

未来世界の情報統制システム

2022-12-27
  今日では「情報」というものが占める重要性が過去より遥かに重要になっている。北朝鮮ではサイバー攻撃により、今年上半期に放った31発のミサイルの費用を、たった1回の攻撃でせしめたとされる(《国際》12.26「北のハッカー集団が韓国の保安専門家ら892人にサイバー攻撃」)。情報がデジタル化されてきた時代では、その重要性は経済的に計り知れないものとなっている。そもそもマネーがデジタル化し、仮想通貨というものも出てきていることから、未来世界では情報というものを一元化してそのセキュリティーを確実なものにする必要があるだろう。

  タイトルに掲げた「情報統制システム」という言葉から連想されるものは、戦時下の抑圧された状況と似たようなものであろう。ネット上には「日々強まる情報統制! 世界の検閲・情報統制はどうなっている ...」などと、「情報統制」という言葉自体への拒否反応が見られる。だがノムの掲げる「統制」の意味は「一元化」であって「抑圧」ではない。以下でそのことを論証してみたい。

  「百家争鳴」という言葉があるように、情報源がそれぞれ不明であって信頼性が確認できない場合、世の中は混乱の渦と化すであろう。たとえば通貨がその一例であるが、国家が通貨を統一していないで、色々な通貨がバラバラに使われるような状況では国家の経済は混乱し、経済運営に支障を来すことになる。防衛に関しても同様なことが云え、国家の方針が地方自治体と食い違いを見せた場合、国家の方針に合わせなければ防衛など成り立たない。ウクライナでは少なくともロシア派を除いて全国民が一致して防衛に当たっており、反戦デモなど見られない。会社組織にしても、トップの方針が末端にまで徹底していないと、各部門でバラバラな運営が為され、会社は倒産するだろう。

  情報に関しても、その信頼性が担保されていなくては、どの組織の、誰の発言なり情報を信頼していいか分からなくなる。ネット(インターネット:以下「I.N.」と略す)の匿名性や不完全性から、ハッキングやサイバー攻撃が可能となっている現代では、冒頭に述べたようなことが起こって当たり前なのであり、まずはネットの信頼性を確立することが優先されなければならない。だがそうした議論を提起する専門家や政治家は誰も居らず、世界の叡智とされる知識人もそうしたことを提起していない。ノムはそのことに大きな疑問を以前から抱いてきた。そこで「ノムネット」と呼ぶ新たなネットの構築を提案している(21.2.1「ノム世界の情報システムの提唱」)。ノムネットでは情報発信者は特定されており、その信頼度が表示される。発信された情報にはウイルスがないことが保証されており、誰でもそれを安心して閲覧できるし、それに対して返信することもできる。だがこのようなノムネットは未来世界が到来しないと実現は不可能であるが、少なくともその方向に向けて現在から議論が起こっていかなければならないと考える。

  I.N.(インターネット) は科学者と軍事関連から生まれた。それは純粋に相互信頼を前提に作られたものであり、「匿名性」を基本に据えた。本来なら発信者の氏名・所属なりを明記した上で相互の情報交換が行われるべきであったが、当時のI.N.の発明者らはそうしたことよりも、情報発信の自由性を重んじたそれが後になって重大な欠陥になることを予想しなかったと思われる。北朝鮮のハッカー集団は高度な技術を駆使して、26ヵ所のサーバーを経由する形で発信元が分からないようにした。これは情報の一元化がなされていないことによる当然の結果であり、その結果が単に北朝鮮の不正行為による経済的損失だけであったならば、正常に行われている経済取引に比べたら取るに足らないものであろう。だが今やI.N.上ではトランプ以来とは言えないかもしれないが、「フェイクニュース」で溢れている。それが世情を不安定にしていることは間違いないことであろう。

  情報を一元化するということはどういうことかと言うと、その情報の信頼性を向上させるために、①発信者と所属を明らかにする・②情報発信時にその情報の信頼性をAIが判定する・③各所のサーバーはその信頼度に従ってAIが情報伝達をするかどうか判断する・④情報発信者は人格点の高い者に限定される、というようなシステムにするということに他ならない(20.8.30「未来世界における人格点制度」・12.10「AIは信頼に値するものになってきた」)。そして未来世界では、その情報の信頼性を連邦が一元的に監視し、異常な送信があった場合にはノムネットに介入が行われ、発信元を直ちに公表し、その位置情報が全世界に報知されるだろう(細かいことはここでは述べないので、上記参照項を見てもらいたい)。そもそも未来世界ではネットを用いて情報を発信できる者は人格点の高い人でなければできないため、どこの馬の骨か分からないような人間が悪用することはできない仕組みになっている。

  また発信された情報は国家と連邦の両者によりその信頼性が絶えずチェックされるため、その信頼度に従って国家的規模および世界的規模で統計が作成され、データはクラウド(現在の企業による「クラウド」とは異なる)と呼ばれる連邦ストレージ(情報集積庫)に蓄積されていくことになる(7.2「AIによる世界統計 」)情報はチェーンブロック技術により信頼度と紐づけされ、それが到達する先々で評価・選別されることになる。信頼度の低い情報はその時点で除外されるため、フェイクニュースというものがメディア上に跋扈する事態は避けられることになる。たとえばプーチンの発言は嘘だらけであることが世界中に知られているが、彼が何を言っても信頼度が低いために、世界には伝わらないであろう。独裁者の多くは見栄やハッタリの発言をするが、それもまた信頼度が低いために世界に伝わらない。情報を信頼度という物差しで一元的に統制・制御するというのが、未来世界の情報統制システムなのである。あるいは伝達する自由は確保されるが、その際には情報に「信頼度」が必ず付記されることになる。

  このシステムが情報を制限していることにはならないことははっきりしている。また抑圧していることにもならない。正しい信頼できる情報であるならば、それが国家や連邦に不利になる不都合な情報であっても正々堂々とノムネットに載せることができるのである。そのためには発信者である個人および組織が信頼性が高くなければならず、そのために人格点や組織格(国格を含む)を高める必要が出てくる(8.1「国家の国格」)。こうして世の中全体が善の方向に向かうことになる。すなわち、真実を基に、人には誠意・人徳が求められ、組織には真摯・誠実が求められることになる。


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