本文へ移動
【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2023】

ノム思想は右翼的か左翼的か?

2023-07-11
  ノムが標榜している「ノム思想」というものが、果たして世間で云うところの「右翼的思想」なのか、「左翼的思想」なのか、を考えてみた(20.9.7「ノム思想(ノアイズム)とは何か?」・21.8.28「ノム思想の特徴」)。自分でも時々疑問に思うことがあったからである。以下にそれを箇条書きにまとめてみた。

 《 右翼的傾向 》

1.古き良き時代を回想し、それを良しとする傾向がある。
2.世界が産業革命前の人口に戻るべきだと主張している。
3.昔ながらの生活の仕方を推奨している。

 《 左翼的傾向 》

1.科学的思考をし、先進的である。
2.全体主義を唱えている(真社会主義)。 
3.民主主義や資本主義を否定している。
4.環境保護を第一に掲げている。
5.国家主権の否定と世界連邦の樹立を提唱している。
6.安楽死を推奨し、性欲の解消を提唱している。

  ノムの主張の多くは現状否定であるところから、保守的とは言えないが、人間性を容認(本能の肯定)しているところは、古い価値観を保持していると考えられなくはない。一方、左翼的と思われる要素は上記したように非常に多く、一見すると左翼傾向が強いと見られがちである。だがノム思想は旧来の保守的考え方とも現代のリベラルな考え方とも一線を画しており、全く異なる新思想であると見做せば、矛盾はない。つまりノム思想は保守的思想や革新的左翼思想の一部は認めているが、その根拠となる根底的な発想の源泉は全く異なるのである。発想の源泉は科学的事実にある。

  他項でもしばしば強調してきたことだが、ノム思想の根底は、①人間の存在を地球における”癌”的存在だと見做しており(21.5.15「多細胞生物の癌化と人間によるガイアの癌化」)、②そうなった原因として人間に知的本能が加わったためであるとし(20.10.5「人間本能の制御は可能か?」)、③人間の思考のもたらしたイデオロギーを否定し(22.11.10「科学的議論を阻害している現代イデオロギー」)、④人間の動物的本能の存在を認めつつ、それを制御する(21.1.7「制御思想」)、という考え方を採っている。

  ①の人間を”癌的存在”と見做す思想は、誰も主張したことがないと思われる。自己否定に繋がる思想であり、誰もこれを支持したがらないからである。だが科学はそれが事実であることを我々に教えている。つまり人間は生命界の天敵であるが、自然界においては必然的に現れた生命体であると認めるべきなのである。これは決して人間を否定しているわけではなく、その存在を肯定しながらも、人間に対して”治療を要す存在”だと考えていることになる。癌化した人間に対する治療方法は、基本的には制癌効果のある方法で人口を減らすことに尽きるだろうし、人間のもたらす災厄を最小限に抑えることが治療に繋がるだろう。それは世界人口の低下人間活動による環境影響の最小化を意味する(20.9.7「人間活動の無駄はどの位省けるか?」・3.23「人口減少は問題なのか?」)
  
  原理的にはこの趣旨に賛同する人はいても、それは不可能だと考えている人がほとんどであり、グレタ・トゥーンベリのような純粋な環境活動家でさえも、自己中心的思考から逃れ切れておらず、ましてや体系的な環境保護思想にはなっていない。そうした中でノム思想は、世界にほとんど知られていないが故に、誰も支持しようとは考えない。だがノムは、たとえ広がりがないことでこの思想が闇に葬られ、人類が滅亡の危機に陥ったとしても、人類が最高の叡智に達していたことを証明したいと思って、ノム思想の普及に尽力している。それは非常に自己満足的なものであることは確かであり、某友人は「それはマスターベーションだろう」と喝破した。その通りであるが、そういう批判があることを十分見通した上で、ノム思想が顧みられるのは今ではなく、人類が大災厄を被った後であることを見越しているのである。

  そうした意味で、ノム思想が右翼的か左翼的か、などという些末な議論はノムとしては全く問題にしていない。ただ本項を設けたのは、読者の方の疑問に多少なりとも答えておく必要を感じたからである。答えにはなっていないと重々承知の上で、以上の議論を以て弁明としたい。

(7.2起案・7.10起筆・終筆・7.11掲載)



TOPへ戻る