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【時事評論2022】

素人やアウトサイダーにのみできること

2022-05-23
  今日のニュースの中に、ウクライナのゼレンスキー大統領の名セリフについての記事があった。彼の言葉の端々に出てくる愛国心と、国を守ろうとする情熱に心打たれた人が多く、全世界に感動が伝わっている。ロシアのプーチン大統領の卑劣極まる悪行と対比されて、増々ゼレンスキーの人気は高まるばかりである。すでに『ゼレンスキー勇気の言葉100』という本も出ているそうだ。だがノムはその全てを称賛しようとは思わないし、ウクライナの全てに同情するわけでもない。事実、戦争前には、ウクライナもロシア同様、汚職にまみれていたとも言われる。現在は汚職や賄賂どころの話ではなく、全国民が一致団結して国難に対処しているようだが、以前の体質はロシアにかなり近かったと観ることもできるだろう。だがそうした些末なことよりも、政治の素人である芸人・プロデューサーが、非常時の大統領として本領を発揮したということが、最も大事な点であろうと思う。そこで、タイトルにあるように「素人やアウトサイダーにのみできること」という内容で一文を書いてみる気になった。

  ほとんどの専門職というものは、政治家を含めて経験者や学識者が好まれる。だがそうした経験者や学識者(以降、「専門家」と略す)は、平時には立派にその役割を果たすが、予想外・想定外の事態が起こるとしばしば判断を誤ることが多い。今回のウクライナ侵攻についても、米国・日本だけでなく、多くの国の専門家が判断を誤ったとされる。ノムは歴史に疎い人間であり、政治の経験も全く無い一素人であるが、ロシアは侵攻するという予測をした。それは見事に当たった(2.22「22年2月22日は大災厄の始まりとなるか?」)。そこで別項に、「識者・専門家の予想はなぜ外れるのか?」というタイトルで一文を書いた(3.15「識者・専門家の予想はなぜ外れるのか?」)。それとほぼ同趣旨になるが、素人が時には専門家よりも明察を発揮することがしばしばあるという事実について触れたい。

  専門家がなぜ誤るのかについては上記した論文で示したが、改めて繰り返すと、専門家は自分の経験や学識に囚われてしまうこと、下手に真実を明かしてしまうと世論から叩かれることがあるため、自論をオブラートで包むこと、などが理由である。すなわち職業として専門家を務めている限り、生活の糧を失いたくない、地位を損ねたくないという思いが働いてしまうのである。一方、素人やアウトサイダーはそんな心配は皆無であり、言いたい放題ができるところに優位性がある。ノムもその一人であり、営利的・地位的な立場を持たないことから、専門家が言いたくても言えないような極論を平気で書けるのである。だがその放言が無責任なものであるならば、誰も「2チャンネル」の話として相手にしないであろう。であるから、ノムは匿名ではあっても責任の一端を自覚しつつ、プライベートサイトの記事としてこのブログを立ち上げた。そこには一貫した論理性があり、整合性もある。さらに専門家が書けないような大胆な仮説も披露できるし、それが真実に近いと確信している。

  歴史上にはそうしたアウトサイダーが登場して歴史を変えてきた。ここに事例を挙げられないのは浅学非才のゆえであるが、有名なのはコペルニクスの地動説や、アインシュタインの相対性理論、などがあるだろう。キリスト教が天動説を信じていた時代、コペルニクスは副助祭という立場を持ちながら地動説を唱えたことから異端者であった。だがそれを強く主張しなかったために排斥されることはなく、反って大学教授が弟子になりたいと申し出たほどであり、司祭の中にも興味を抱いた者がいたという。友人からの強い勧めで著書を出版しようとしたところ、折悪しく脳卒中で倒れ、校正刷りが届いた日に亡くなったという。アインシュタインも物理学者ではあるが適職に恵まれず、特許局に勤めながら相対性理論を発表した。ニュートン力学が支配していた時代に、この理論は衝撃を与えた。その理論を数学的に理解できない学者も多く、やはり当初は異端的とされた。ノムがアインシュタインをアウトサイダーだと考えるのは、彼が大学教授なりの職を得ておらず、むしろ学者というよりは技術的専門家であったことが理由であると考えるからである。また別の例として、レストランの皿洗いとして働きながら、物理学を趣味として研究していたチェコのアマチュア科学者のルディ・マンドルが、アインシュタインに頼んで「重力レンズ説」を論文として発表した例がある。

  学者が平気で嘘を付くことをノムは度々知見してきた。3.11東日本大震災の際には東大の某原子力の権威がテレビに登場し、間違った原子炉の構造図を前にとくとくと解説した。学者の一人として原子炉建屋が爆発した時に、風向き情報を流すよう進言した人は居なかったようである。既にチェルノブイリ原発事故で風向きが非常に重要であることは知れていたのにもかかわらずである。当時のことはノムが「地震災害記録」として残しており、テレビ報道の誤りに激しく怒りを覚えたことを書いた。

  こうした素人やアウトサイダーの意見やアイデアを、未来世界では何とか生かしたいものだと考えている。そのためには、情報世界、あるいは情報システムというものを根底から変える必要があり、権威者(国家・学会)から上位下達方式で流される情報だけでなく、下位者から上位者に伝わる情報システムというものを組み込む必要があるだろう。それは別項でも論じているためここでは詳細は論じないが、「ノムペディア」・「ノムメディア」というような構想を持っている。このアイディアが情報の混乱や錯綜といったことを起こさないよう、そこには適切なAIによる評価というものも組み入れている。そういう新たな情報の上下流動性ができることによって、世の中がもっと理知的で賢明になり得ると思うのである(21.2.1「ノム世界の情報システムの提唱」)


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