本文へ移動
【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2022】

日本の歴史に学ぶ未来社会のあり方

2022-05-14
  日本の歴史は世界でも独特なものがあり、その原因は、①縄文時代の安定性・②最初の権力により天皇家が擁立された、ことの2点が挙げられる。1万年続いたとされる縄文時代の安定性は採集社会であったことによってもたらされたもので、人々は家族単位の小さな集落を形成するにとどまり、そこには権力というものが生まれなかったのではないかと想像する。そのことによって人々は毎日の生活を安定的に送ることができ、集落での争いは長(おさ)による調停で解決できた。集落全体が恐らく全員顔見知りであったことが、そのような調和社会を作り出したと思われる(21.11.5「縄文人の文化と現代への継承」)。外来の民族がこの縄文社会にも時々入ってきたが、縄文人はこれら外来人をもてなしこそすれ敵対者として排斥することは無かったようで、外来人は縄文社会に溶け込み、その持てる技術や芸術性を縄文社会にもたらし、さらに発展させることになった。その証拠の1つとして現在の成田市周辺など北総一帯に見られるユダヤ埴輪がある。代表的なものに椎名崎古墳群の一つに人形塚古墳があるが、そこではユダヤ埴輪が多く出土している。

  ユダヤ民族の神話として書かれた旧約聖書では、年代は正確には特定できないが、「出エジプト記」と呼ばれる章がある。2番目に位置し、かなり古い時代の神話が書かれていると思われる。ひょっとすると日本の縄文時代にエジプトから逃れたユダヤ民族が長い旅路を何代にもわたって重ね、日本に辿り着いた可能性もあると思われる。ノアの箱舟伝説にあるように、ユダヤ人はかなり高い造船技術を持っていた。恐らく海路により東京湾や千葉県の利根川を見つけて、川沿いに内陸に向かい、適当な場所に落ち着いたと思われる。ユダヤ人の姿をそのままコピーしたかのようなユダヤ埴輪が作られ、多く発掘されている。これもまた縄文人がユダヤ民族と融合した一例であり、他民族を受け入れるという縄文人の特質が顕著に表れている。旧約聖書の「天地創造」と称される神話は、日本の古事記や日本書記の神話と似たような部分があり、日本の神話が出来る過程でユダヤ神話が取り込まれた可能性もあるとノムは考える。

  そうした仮説はともかく、日本民族は他民族に対して非常に融和的である反面、その純粋性(?)を保とうとして移民受け入れ政策を積極的には進めてこなかった。また江戸時代の鎖国令もあって、明治維新までは他民族が流入することは稀であった。逆に増えすぎた人口を調整するために、海外移民を積極的に行ってきた。言ってみれば日本はガラパゴス化したことにより、独自の文化を継続できたのであり、それは現代にまで継承されている(21.11.5「縄文人の文化と現代への継承」)。このことから未来世界を展望した場合、多くの教訓を学ぶことができるだろう。以下にそのことを羅列してみたい。

 1.平和を保つには、グローバル化は良くない結果をもたらす。

 2.同じ民族が同じ場所に住むようにした方が、争いは少ない。

 3.他民族との交流・混交がある場合は、共生する考え方が必要であり、略奪であってはならない。

 4.自然界の掟を破った現代の科学技術は、自然を破壊し、人間の存在自体を危うくしている。

 5.結論として人間は可能な限り民族的には閉鎖的にすべきであり、技術も制御していかなければならない。

  この主張をもう少し詳しく説明していきたい。まず1.についてであるが、現代のグローバル化は人類の発展・繁栄に大きく寄与したが、その目的が先進国の技術による利益獲得のためであり、経済植民地主義と呼べるような歪(いびつ)な世界を作り出し、貧富の格差や紛争を生み出してきた。そして科学技術と成長主義に基づく発展・繁栄は、地球の許容範囲を超えて汚染をもたらし、人類の生存を危うくする状況を生んだ。さらにグローバリズムは東西の体制の間で確執をもたらし、今やその文明の衝突が起きている(21.12.30「東洋文明と西洋文明の衝突」)。プーチン戦争はプーチンの懐古妄想から生まれたものであり、共産党独裁と同様な独裁をもたらしている。中国は言うに及ばずである。その衝突は第三次世界大戦をもたらす可能性がほぼ95%であり、交渉による調和は不可能となっている。

  2.の同民族同地域居住による安定性確保は、プーチン戦争でも明らかになった。プーチンはヒトラーのナチズムと同じ論理から、ウクライナの南部に住むロシア人救済を唱えてクリミアを強奪し、現在東部を同じ理由から強奪しようと戦争を仕掛けている。いつの時代も同民族同地域居住を求める口実が作られてきた。その弊害を無くすためには、各国が地理的な理由から国境を定めるだけでなく、民族的構成から国境を定め直す必要があるだろう。未来世界では貿易がほとんど無くなることから、経済的理由で国境を変更する必要はほぼ消滅する。連邦制度の下では、国境は文化圏・民族圏を基に定め直すべきであり、そのためには多少の民族移動が必要になるだろう。それを5世代を掛けて行うと定めれば、同化原理によってその要望も無くなっていくと思われる(2.26「民族大移動」)。だが現実にはアメリカで、3世代から4世代目の黒人やヒスパニックが、未だに人種差別に晒されている。この問題は簡単には解決は難しいと思われる。その点で日本の政策は海外から評価されており、最近では多民族国家になりつつあるスウェーデンから称賛されている。なぜならスウェーデンで最近、人種問題で暴動が頻発しているからである。

  3.の共生思想の普及は日本の歴史が参考になるだろう。日本人は縄文時代の倭人と呼ばれた時代から1万年を掛けて共生を実践してきた。中国・朝鮮半島からの難民も受け入れた。ユダヤ民族でさえ受け入れたと推察される。そして出来上がった日本人という原型は、これまで単一民族と考えられてきたほどに、共同社会を作る事に成功した。アメリカではやはり多民族国家を目指したが、現在に至るまで黒人やヒスパニックの迫害や経済格差があり、成功しているとは言えない。日本が朝鮮を併合した際には、朝鮮人を日本国民と同等にするという政策が行われた。便宜的に創氏改名が行われたが、強制ではなかった。だが朝鮮民族の「怨念」体質のために、形の上では成功したが、敗戦によって韓国・北朝鮮が独立したあとは、最悪の状況となっている。民族間に怨念というものが存在する限り、和合・協調は不可能であり、最大の問題となっている。だがこれは、ノム思想の普及によって解決が可能なものである(20.9.7「ノム思想(ノアイズム)とは何か?」)

  4.の科学技術の扱いについては、人間界から悪しき競争というものを無くすことで制御可能となるだろう(20.9.7「人間は「競争」、および「競争心」を克服できるか?」・20.9.16「競争はいつ芽生え、何をもたらしたか?」・21.1.7「制御思想」・21.1.31「良い競争と悪い競争」)。だがもう既に人間は地球の耐久力の限界を超えた活動を行ってしまったために、こうした努力が重ねられたとしてもある程度の災厄は覚悟しなければならない。

  5.として結論をまとめているが、日本が鎖国をしていた徳川時代には日本は他国に対して侵略もせず、庶民文化が最高に高められ、江戸の人口は100万という世界最大にまで繁栄したことから考えても、鎖国状況は善であることが分かる。ただ現代は昔と同じ状況ではないため、未来世界を江戸時代に近い状況に持っていくしか方法はない。そのためには、未来世界では、①貿易による経済競争を無くす・②資源は適当な手法で各国に分配・③環境資源は分配を原則として禁止(森林・牧畜・食糧)・④世界旅行は禁止(視察・調査などでの必要は許可制) というようにしていかなければならない。また世界民は可能な限り所属したい国家を選択できるようにし、各国とも自給自足原則に従うため技術の使用を制御しなければならなくなるであろう(21.1.7「制御思想」)。それはまさに、江戸時代を模倣するようなものになるであろう。


TOPへ戻る