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【時事評論2023】

国家の信頼関係

2023-11-08
  前項で人の信頼関係について取り上げたが、これを国家間の信頼関係に適用してみたら、現代の世界状況が一目瞭然になるのではないかと思った(11.6「人間の信頼関係」)。そこで国家の信頼の根拠や関係を表す指標になるものを探し、それを各国ごとに評価してみることにした。特定の国家との関係を示すものではなく、国家の法律体系・国家の外交関係・国民の民度、などから、国家の信頼度を評価するものにしたい。恐らくこれには、国家の歴史・民族・宗教などが関わってくると思われるが、それをどうやって組み込むかも問題になるだろう。難しいテーマであるが挑戦してみたい。

  国家という「主権を持つ人間の集団」が、お互いに信頼関係を築くというのは極めて難しいことである(20.12.26「主権論」)。前項の「人間の信頼関係」でも述べたように、「1.相互利益がなければならない・2.相互に信頼がなければならない・3.相互に尊敬の念がなければならない・4.関係は相補的でなければならない」、という原則が当てはまらないと、利害関係や歴史的経緯や宗教・思想の違いから、得てして対立的になることが多い。事実、戦争はこうした行き違いから生じてきた。だが戦争は余りにも犠牲が大きく、国土が荒廃して国家として衰弱してしまうことが多いことから、勝利を確信しなければ、国家は領土侵略を行わないものである。日本はその確信がないまま戦争に踏み込んだが、幸いなことに日本人の真面目さもあって、戦後急速に復興して、戦前よりも勢いを増した。ロシアは勝利を確信していたためにウクライナに侵略戦争に及んだが、あいにく核兵器が使えないという国際状況の中で、通常戦で苦戦している。

  戦争の原因は様々あり、ここではそれについて述べないが、ほとんどの国が平和裏に事を運ぼうと外交という手段で努力を重ねているのも事実である(21.7.4「戦争論」)。そこで重要なのが、国家が国際的にどれほど信頼を勝ち得ているかということになる。信頼関係を築くには長い年月が必要であり、短期間の見せかけの同盟(日独伊三国同盟・最近の露朝の急接近)は自ずと崩壊するものと決まっている。国家としてだけでなく、国民も相互に行き来して、信頼関係を築いていくことが重要となる。日本がトルコと友好国であると言われるのも、かなり昔にトルコの船が難破した際に、必死に日本の漁民が船員の命を救ったという経緯があるからであり、また日本が日露戦争に勝利したということにより、トルコ国民に日本国民への尊敬が著しく高まったと言われる。だが最近のトルコの動きは、日本から見ると非常にイスラムに偏った動きをしており、日本国内のトルコ系クルド人は大いに不安感を与えている。信頼関係が崩れなければ良いが、と思わざるを得ない。

  そこで、国家の信頼関係を「信頼度指数」で表してみたらよいのではないかと考えた。冒頭で述べたように、国家の信頼度を、①政府への信頼度・②経済の信頼度・③国際外交への信頼度・④国家体制への信頼度・⑤法律への信頼度・⑥国民の民度、の6点から評価してみることにした。評価しながら、必要な項目を増やすこともあるかもしれない。以下に各国の信頼度を評価した表を示す。

 《 国家の信頼度 》:リンクをクリックして、エクセルファイルをダウンロードして下さい。保存もできます。

考察1.結果として予想していたようなものになった。ノムの直観による評価の正しさが客観的に裏付けられることが必要であり、国際学者・政治学者・歴史学者などの批判を仰ぎたい。   
                     
考察2日本の評価はノムが日本人であるため、ひいき目な評価となっていると思われる。だが可能な限り、諸外国と比較しながら、客観的に評価したつもりである。戦後の日本は民主国家として再生に成功したが、日本赤軍などの世界的凶悪事件を起こしたりして、国際的に奇異な目で見られている節もある。だが、観光客がその目で日本を見てみれば、世界で最も平和で信頼できる国だということは分かるであろう。 
                           
考察3.専制主義・権威主義の国家については、「3.国際外交・4.国家体制・5.法律制度」でかなり厳しい評価をした。当該国としては憤懣やる方ない評価となっているだろう。
 
考察4.最も評価が難しかったのは国民の民度である。専制主義・権威主義国家では国民の声が封じられているため、正しい評価は極めて困難であり、諸外国での評判を基にせざるを得なかった。北朝鮮については北朝鮮の国内ニュース(外国が発信したもの)を参考にした。
                            
考察5.あいにく世界の中の一部の国しか評価できなかったが、比較のために、自由主義国と専制主義国をそれぞれ4ヵ国ずつ取り上げた。これをそれぞれ平均を取って表の中に示したが、有意な差となった。7.7と2.4では雲泥の差と言えよう。
                           
考察6.特に専制主義国の中の北朝鮮の評価0.7は著しく低く、もはや国家とは呼べないほど国民との乖離が激しいことを示しており、国際的にも最も危険な存在であることを示している。  
                          
考察7米国が相対的に低い結果になったのは、評価項目のせいもあると思われる。トランプ登場以来の米国は、国内的に非常に不安定になっており、国力に相応しい国際的評価は得ていない。特に資本主義やグローバリズムにより、後進国やイスラム国家からは嫌われていることが大きく響いたと思われる。   
                         
考察8ドイツが日本より高い評価になったのは、戦後のドイツがナチズムを克服して再生したことや、旧東ドイツを合併してからも経済的に躍進を続けたことが高い評価に繋がったと思われる。またウクライナ支援でも、日本より大きな軍事的支援をしていることが評価される。そしてドイツの国内ニュースで凶悪犯罪が滅多にないことも評価を高める理由の一つになっている。

(11.5起案・起筆・11.8終筆・掲載)


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