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【時事評論2021】

放射能問題は全くの虚構

2021-11-08
  世界が日本の福島原発放射能汚染水の放出問題に注目している。そしてその多くが無知による恐怖から来ているものと、政治的に利用しようという動きに集約される。中国・韓国は後者であり、慰安婦問題と同様、どんなに科学的に説明をしても納得するはずもない。その中で日本政府は国民に対しても世界に対しても、何も説明しないままに放出を決定してしまった。筆者は決定は正しいとしているが、その方法や手続きについては妥当だとは考えない。もっと事前に国民に安全性を流布しておくべきであったし、国際的にもIAEAを交えて狭い領域での試験放流を行い、それによって科学的データを集めておくべきであった。処理水が溜まり始めた事故直後からやっていれば、10年間のデータの蓄積が得られたはずである。科学者の無知愚鈍・政治家の愚昧を指摘したい(11.9予定「事象の予測と対策」)

  これまで放射能(放射性物質の意)に関する事故や人体実験を含む研究が盛んに行われてきた。それによって核種による被曝影響・放射線種による被曝影響などがある程度分かっている。だが日本で言えば原爆投下による放射線被害(明確なデータはない) や東海村事故、そしてアメリカ等によるビキニ環礁での水爆実験などでその被害が誇張され、福島でもいわゆる風評被害というものによって日本中が怯えたものの、放射線による死者は一人もいなかった。最大の放射線事故と言われるチェルノブイリやスリーマイル原発事故も風化してはいるが、その恐怖感は未だに残っている。放射能と聞くだけで日本にはアレルギー症状が出る状況であるが、誰も真剣に放射能について調べようとせず、メディアも正しい知識を伝えようとせず、恐怖だけを振り撒いている。その日本人の様子は世界中に伝わり、今では世界に放射能シンドロームという病気が流行ってしまっているようだ。だがこれらは確率的な議論からすれば、完全な虚構に陥っているとしか言えない。

  基本的なことから始めたいが、物質というものは宇宙に最初からあったわけではなく、宇宙誕生の途中で創られたものであり、現在はおよそ天然物質で89種、人工物質を入れると118種が知られ、それぞれに中性子数の異なる同位体がある。1つの元素で数種類の同位体があり、その中には不安定なために放射性を持つものがある。壊変という現象により徐々に安定なものに変わっていくが、その放射線を出す時間の長いものと短いものがあり、半減期でそれを表す。秒単位から数十万年という長期に亘る。問題になるのは勿論長期の半減期を持つ核種であり、特に知られているものとしてヨウ素131の8日間・セシウム137の30年・プルトニウム239の2万4千年・トリチウムの12年がある。

  今回問題となっているトリチウム(T:三重水素)は実際には水(三重水:HTO)の形になっており、体内のどこにでも移動する。トリチウムはβ崩壊して弱いエネルギーのβ線を出してヘリウム3(3He)に変わる。ヘリウムは不活性元素なので有害性は全く無い。トリチウムの有効半減期は12年とされており、体内で12年で半減していくと考えればよい。だが問題なのは、このトリチウムが生体内で蛋白質・糖・脂肪などの有機物に組み込まれ、有機結合型トリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)となり、トリチウム水とは異なった挙動をとることにある。結合したものによってトリチウム水よりも20~50倍も体内残留が長いとする報告もあるという。 

  ではベータ線は生物にどのような害をもたらすのか。放射線の生物学的効果を表すRBE(Relative Biological Effectiveness,生物学的効果比)は、ガンマ線は1であるが、トリチウムのベータ線は1ではなく、1~2の間という報告が多く、ガンマ線より影響が強いと言われる。動物実験や白血球実験からリンパ球に染色体異常を起こしたり、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されているという。トリチウムは他の放射性核種と違って、放射線を出すだけではなく化学構造式も変えてしまうため、塩基とDNAの分子構造が変化すれば細胞が損傷されることになる。エネルギーが低いから安全ということはなく、影響は確率的なものとなる。だが一部の科学者が懸念しているリスクは未知であるが故に誇張されており、一方軍事関連科学者らはこのリスクを過小評価、もしくは隠蔽しようという傾向があり、素人には真の意味での科学的議論が不可能になっている。

  筆者は化学を学んだとはいえ素人の立場から、1948年以来の人工的な核種の増大とその量の増量を考えた上で、その影響の功罪を両方とも考えるべきだと主張している。医学的実験ではしばしば極端な濃度の放射能を用いて影響を報告しているが、それは人間に食塩を1kg与えて殺すのと似ている。濃度によって功罪は異なり、薬は微量の毒が良い効果をもたらしていることを思い出すべきであろう。事実放射線は微量では新陳代謝を向上し、免疫力を強化していると考えられる事例が多く報告されている。これをホルミシス効果と呼ぶが、それについて今回議論された形跡は全くない。筆者は学者の言うことや論文をその意味で信用しない(5.17「科学者の予測と素人の予測 」)。論文というものは限定された条件の中で起こったことの報告であり、自然界で我々が日常的に影響を受けている環境条件とは全く異なるからである。最も良いのは、60年以上に亘って繰り広げられてきた放射能事故・災害を検証してみることであろう。それによって、人々が大騒ぎしているほどには死者は少なく、また放射能による生物進化の速度の促進という目に見えない効果も併せて評価すべきであろう。

  人類の誕生を数百万年前と考えるか、十万年前ほどに考えるかによって多少異なるが、この間に宇宙からもたらされた放射能の量は多分ごくわずかであろう。ということは地球全体で見たかぎり、元々あった放射性元素の放射能はほとんど無くなっていておかしくない。逆に言えば、現在の自然放射能レベルから逆算すると、過去の時代にはもっと放射線レベルは高かったに違いないのである。そのような環境の中で生物は進化を遂げてきた。筆者はホモサピエンスが誕生したのは、アフリカの大地溝帯というかつて放射能の高かったと想像する地域で進化が起こったためであると考えている。また近年の研究で哺乳類が誕生したのはウイルスによるものだということが分かってきた。だが進化における放射線がもたらすDNAの変化(突然変異)の重要性が無くなったわけではない。進化は多数の個体の犠牲を伴う。それは仕方のないことであって受け入れるべき自然の摂理である(5.3「自然の摂理 」)放射能による問題もそうした人類進化のレベルから俯瞰すれば、多少の犠牲があるのは当然のことであり、自然のことだと容認する心構えが必要なのである。この問題を政治化して世界に不安定をもたらしている国々こそ、人類に真の危機を招いているというのが実情なのだということに、人々は気が付かなければならない。

  特に韓国の中傷・誹謗に言及したい。韓国は自分の国の原発から大量のトリチウムを海洋に放出していながら、そのことには全く触れずに政治的中傷の意図から日本を攻撃している。それは正に政治的プロパガンダと化している。その根拠とするものは何も無く、単に放射能に対する無知な国民の恐怖心を煽っているだけである。韓国には科学者がいないのではないかと思わせるほど、その非科学性は極端なものになっている。また中国の態度もこれを政治的に利用しようという意図があるようであり、科学的に問題がないものを敢えて問題化しようとしている節がある。だが韓国程無知ではなく、また非科学的中傷も行ってはいないようだ。その意味で中国の場合はまだ日本として許せる範囲の「懸念」に留まっているが、韓国の場合はまともな議論にもならず、とても外交的に許容できるものではない。他の論でも提起しているが、不信感をもろにぶつけてくる国、76年も前のことを蒸し返して問題化しようとしている国とは、経済以外の外交分野・軍事分野での協力はできない。速やかに韓国との外交関係を断つべきであろう。日本政府は既にこれを密かに実行しているようであり、新任の駐日韓国大使とは面談すらしていない。日本としては面と向かって拒絶はしていないが、すでに韓国を拒否していることは間違いないだろう。GSOMIA問題でも向こうから拒否してきた経緯があることから、こちらからお断りすることに躊躇すべきではない。

  以上の論から、放射能問題では瞬間的な大被曝の問題と、長期的な低被曝の問題を明確に区別することが必要である。そしてそれらを全て確率論的に論ずべきである。特に長期的な低被曝は自然界にある現象であり、人間などの生物は宇宙線や大地の放射性物質、海水中の天然トリチウムなどからの自然被曝をしており、それによって反って健康が支えられている可能性の方が大きいということを認めるべきであろう。わざわざ放射線の高いラジウム温泉や玉川温泉の岩盤から出る放射能を求めて湯治に通う人もおり、放射線健康機器も販売されているという事実を、もっと科学者は謙虚に認めるべきであり、深く調査すべきである。世界が原発から出るトリチウムを河川や海洋に放出しているのは厳然とした事実であり、世界はこれを日本の問題としてではなく、科学の問題として研究すべきである。筆者の科学的直観からすれば、放射能は有益でこそあれ、恐れるものではない


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