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【時事評論2020】

再々度、日本学術会議を暴く(10.16・10.24・10.28追記)

2020-10-10
  本項に3度も同じテーマの記事を載せるというのは本意ではないし、紙面の無駄だと思うのだが、次から次へと日本学術会議の体たらくと権威主義、もっと言えば堕落が明らかになるにつれ、メディアが大騒ぎしていることもあって、その実態をさらに明らかにしておくことは意味があると考えた。そしてそれは前回の記事でも触れたように、メディアの問題でもある。
 
  作家・評論家である百田尚樹が、メディアの傾向をその記事タイトルと本数から分かるとした。朝日新聞の記事のタイトルは、「学術会議人事 学問の自由 脅かす暴挙」・「学術会議人事 説得力ない首相の説明」・「学術会議問題 論点すり替え 目に余る」のようであり、毎日新聞は、「学術会議6氏任命せず 看過できない政治介入だ」・「学術会議巡る首相発言 これでは説明にならない」・「学術会議人事と菅首相 理由示せないなら撤回を」のようであり、 読売新聞は「学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る」のようであり、産経新聞は「日本学術会議 人事を機に抜本改革せよ」ということであった。これを百田は、「大雑把に言えば「許せない! 撤回せよ!」を連発する朝日・毎日に対して、「いい機会だから日本学術会議をどうにかせよ」の産経、「まあちょっと落ち着いて」の読売、というところだろうか」と結んでいる。
 
  メディアには主流と亜流、そして異端がある。筆者は主流のメディアからは何があったかを学び(最近はそれすら主流では分からない)、亜流からは異論を学ぶ。異論はしばしばフリージャーナリストの寄稿として語られる。そして異端の中から筆者に近い意見を見出すと大喜びする。異端ははっきり立場が分かるし、その主張も明快である。時にはそのような記事が主流メディアに載ればどんなに国民も分かりやすいだろうと思うことが度々ある。つまり異端の意見というものがしばしば事の本質を捉えていることが多いということである。ノムのこのサイトは「超異端」であることを自認しているが、このサイトほど事の真相、もっと言えば、事象の本質を解き明かしているサイトは世界のどこにもないことを確信している。
 
  そんな亜流、もしくは異端とされるニュースサイトの1つを最近見つけた。「Japan In depth」というサイトであり、安倍宏行(64歳)というフリージャーナリストが2013年頃から立ち上げたものであるようだ。彼は慶応大学で経済を学び、フジテレビに入社して2002年9月から『ニュースJAPAN』のメインキャスターを担当。その後2005年4月より慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師を務め、2007年4月よりフジテレビ寄付講座「特殊研究I・II」を担当した。2013年9月フジテレビを退社し、株式会社安倍宏行を設立し、ウェブメディア「Japan In-depth」を立ち上げ編集長に就任した。毎月、千葉県県議会議員の水野友貴とともに「政治経済勉強会」を開催していたというから、相当な勉強家であるようだ。彼の経歴からも分かるように、このサイトは右寄りで政府寄りであるようだが、その記事は題名からも分かるように、事の深層をえぐっており、読み応えがある。
 
  その「Japan In-depth」に古森義久(79歳:ジャーナリスト・麗澤大学特別教授:産経新聞出身)が『日本学術会議メンバー9割超は首相任命ではない』という記事を寄稿した。その要点をまとめると、学術会議の会員は一般会員(6年任期で再任不可)210人と連帯会員(再選可能)2000余名から成り、現在の総勢は2210人となっている。連帯会員は非常勤であるが公費が支払われ、公務員身分である。勿論大学などの研究機関との兼職が可能である。つまり仕事をしてもしなくても給与は支払われる。しかも後任を事実上個人的に指名できるため、いつまで経っても学術会議の学問的進展や拡大は望めない。つまり一般会員は上層部を成し、連帯会員は半永久的な存在となっている。この2210名、及び組織維持のための事務職員の給料として、年間10億円の大部分が税金から支払われていることになる。古森も筆者と同様、学術会議の民営化を求めている
 
  日本学術会議の現在の会長を務める梶田隆章についても調べてみた。彼は埼玉大学理学部から東大大学院でノーベル賞研究者の小柴研究室で学び、博士号を取得。ニュートリノ研究の第一人者だと言われている。2015年にカナダの学者と共にノーベル物理学賞を受賞。2016年に東京大学特別栄誉教授、2017年に東京大学卓越教授という名誉称号を得、同年から日本学術会議会員となり、2020年に会長に選出された。順調な出世をしてきている。温厚で怒った姿を見せたことがなく、指導教官の小柴昌俊によると、謙虚かつ控えめで、学生時代は議論ではあまり活発に発言しなかったが、実験には熱心だったという。だが引っ掛かるところが1つあり、それは2017年度より朝日賞選考委員を務めていることである。これは朝日新聞社、並びに(公益)財団法人朝日新聞文化財団が創設した賞であり、当然朝日新聞の意向が入っている。つまり彼の思想的背景は左翼的であるということを示唆しているだろう。朝日新聞は天下に知られた反日・亡国新聞であり、嘘の記事を指摘されながら長年にわたって垂れ流し続けて日本人の誇りを傷つけてきた。いまでも慰安婦問題では先頭を走っている。筆者が梶田の立場であったなら、絶対に朝日に関連する選考委員などは引き受けないであろう。
 
  どこで探した記事か忘れてしまったが、日本学術会議が2007年に答申をしたのを最後に、2013年に提言をしただけで、その後政府の仕事を全くしてこなかったという無為無策に対し問われたとき、「政府から何も聞かれなかったから」という答弁をしたとのことである。これは驚くべき事であり、少なくとも2007年から見ても13年間、何も仕事を果たさずに130億円という税金を自らのポケットに入れていたということを意味する。まるで詐欺師のようである。こんな組織は、前回の記事でも述べたことだが、国にとっては「不要」である。これまでに得た税金を返してくれと国民としては言いたい。(10.16 追記)
 
  続報となるが、10月24日に産経新聞が『産経抄』で日本学術会議の誕生秘話に触れていた。1991(H3)年9月2日の日経新聞によると、「当時の連合国軍総司令部(GHQ)が戦後民主化政策の一環として、『学問の平和的利用』を目的に学会有志に設立を呼び掛けた」ようである。その後学術会議自身が「軍事研究拒否」を宣言したのは占領政策をそのまま継続してきたと言われても仕方のないことであり、学問の自由を全く無視してむしろ制限をしてきた。それは左派にとって「平和憲法」擁護の手段でもあった。産経抄の筆者は過去のスクラップからこれらのことを探し出したようである。敬服したい。その中には、『研究者の国会』・『学術会議は閉鎖的』・『登録却下の学会が公開質問状を提出』と言う記事もあった。最後の記事は1997年5月19日の朝日新聞記事である。現在と同じ問題を朝日は当時から問題にしてきたということが分かる。さらに産経抄は時代を遡って調べたらしい。おもしろいことに、左翼と言われる毎日新聞が1971年3月26日の記事で、「設置の目的から本来中立であるべき同会議の会員の多くが共産党などのシンパで占められ・・」と批判していることである。
 
  産経新聞は10月23日、民間の保守系シンクタンク「国家基本問題研究所」による、「日本学術会議は廃止しせよ」との意見広告を掲載した。産経抄もコラムで「任命権者である首相のチェックや干渉がけしからんというのであれば、なぜ民間組織への移行を図らないのか不思議でならない」と疑問を呈し、国基研の広告を「傾聴すべき見解であろう」と賛同しているようだ。筆者も全面的に常識を以てこれらの意見に賛同する
 
  元都知事の舛添要一が久々にツイッターに学術会議反対論を展開した。元東大助教授時代の経験を振り返り、「役に立たなかった」・「長老支配の苔むした組織など、新進気鋭の若い学者には無用の長物」と持論を展開している。「首相は優秀な学者に個別に意見を聞けばよいし、政治的発言は各学者が個別に行えばよい。税金の無駄遣いだ」と筆者と同じ意見を指摘した。正論である。
 
   学術会議が政治的発言を繰り返してきたことも明らかになった。政治学者などもいることから意見はそれぞれあろうが、学術会議として政治的発言をするのは中立的とは言えず、偏向の誹りを免れない。まして学問の自由を唱えるならば、学術会議としての政治的見解は表明すべきではない。1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発している。1963年5月に学術会議(当時の会長は朝永振一郎)は、アメリカ原子力潜水艦日本寄港の反対声明を出している。これも学問とは何の縁もないことであり、ましてや学問の自由とは関係がない。むしろ「学問の不自由の声明」であると言えよう。だが朝永会長は「この声明は政府への勧告を一歩すすめた形のものである」として政府の苦言を受け入れなかった。そのような学術会議を朝日新聞は1974年6月27日に擁護して、「学術会議は、研究者の選挙によって選ばれ、時の政治勢力に左右されず、科学的判断に基づいて発言するところに存在意義がある」と書いている。だがそれは嘘であったようである。いつごろからか判然としないが、現在は研究者の指名で後任が決まっている。しかも科学的判断ではなく、イデオロギーによって発言が行われている。学術会議は左翼の集まりだという評判は政府からだけでなく、会員らからも上がっている。東京教育大と筑波大で学長を務めた三輪知雄は、1970年に著した『赤い巨塔「学者の国会」日本学術会議の内幕』と題する著書を時事問題研究所から出版しているが、学術会議のことを、「大学自治と称するカーテンによって閉鎖された特殊社会であり、そこを職場とする教師たちにはお坊ちゃん的な甘さがあり、独りよがりの色合いが濃く、またおしなべて反権力的である。このような環境は進歩的左翼の育つ絶好の場であって、学術会議はおもにこのようなところから送り出された人たちから成り立っている」と批判している。
  学術会議は1980年代前半にも「核戦争の危機と核兵器廃絶」に関する声明を発表している。これなども政治的・イデオロギー的見解に過ぎない。2015年に防衛装備庁が「安全保障技術研究推進制度」をスタートすると、「大学と“軍”の共同研究になる」と批判した。これを受けて2017年、学術会議は改めて「軍事目的のための研究を行わない旨の声明」を出した。こうなると国賊者であり、税金を出してこのような国賊を養っている政府の見識が疑われるようになった。この頃から政府内でも学術会議に対する懐疑論から議論が始まったようである。菅首相は思いついたように改革に乗り出したのではない。その下敷きとして数年に亘る政府内の議論があったのである(10.10「再々度、日本学術会議を暴く(10.16・10.24追記)」・10.28「船底の摩擦抵抗を減らすのがなぜ軍事研究なのか?」参照)
 
  ネットに任用されなかった6学者の氏名が出ていた。記録のためにもここに遺す。
1.芦名定道:京都大学大学院教授/キリスト教学者
2.宇野重規:東大教授/政治学者(政治思想史・政治哲学)
3.岡田正則:早稲田大学教授/法学者(行政法)
4.小澤隆一:慈恵医大教授/法学者(憲法)
5.加藤陽子:東大大学院教授/歴史学者(日本近代史)
6.松宮孝明:立命館大大学院教授/法学者(刑法)     以上    

 
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