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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

科学を政治利用する日本共産党

2020-11-18
  共産党の志位委員長は4日の衆院予算委員会で、質問時間の全てを日本学術会議関連に費やし、コロナ対策や対中国政策など内外の重要課題はそっちのけであった。なぜ共産党がここまで執拗に食い下がろうとするのかという理由は明快であり、そもそも戦後まもなくの1948年12月に行われた初めての学術会議の会員選挙で、共産党公認候補14名のうち、6名が選ばれたからである。共産党はGHQ(連合国軍総司令部)主導で作られたこの組織に並々ならぬ熱意を示し、「日本の学術政策の方向を決定し、科学が植民地化するか否かの分かれ目となる」として、米国から独立するには科学が最も最適な武器になると考えた。科学には思想・体制は関係がないことから、これを主導していけば共産社会に持っていくことができると考えたのである。志位は10月29日には本会議で学術会議問題について、「わが国の法治主義への挑戦であり、学問の自由をはじめとする国民の基本的人権を侵害する極めて重大な問題だ」と見当違い、かつ支離滅裂な発言をしているが、彼が狂人でないとしたら、その言葉はそのまま彼に返したい。
 
  日本共産党が学術会議を利用し、科学を逆に思想・体制化する手段として用いることで、学問の自由が阻害されることは明白である。だが戦後まもなくの当時の共産党にはそのような疑問を持つ余地はなく、全ての合法的手段を用いて共産主義の優越性を国民に訴えるためには、科学を用いるのが最善の戦略であると固く信じていたのである。まもなくそれはソ連に於いて証明され、科学の分野のごく一部でアメリカを追い抜いて共産主義体制の優越性を示した。それがスプートニク1号による宇宙開発であった。だがスプートニク2号ではイヌを乗せて地球を周回したのであるが、メス犬「ライカ」が実際は打ち上げ後4日目にはキャビン内の温度の上昇で既に死んでいたことは秘された。スプートニク2号は大気圏再突入が不可能な設計だったため、ライカは最初から死ぬ運命にあったため、1958年4月14日にスプートニク2号が大気圏再突入の際に崩壊した際に、「ライカは打ち上げから10日後に薬入りの餌を与えられて安楽死させられた」、と発表されていた。だが事実は上記の通りであり、ソ連は科学の分野で体制の優位性を示すためにをついたのである(11.17「嘘発見の心理学」参照)
 
  またソ連は労働者階級出身と喧伝してガガーリンを人類最初の宇宙飛行士として採用したが、その前に2度も飛行に失敗したことも秘されていた。ガガーリンの打ち上げの際には失敗を恐れてソ連当局はこの打上げを秘密にした。そして成功したので世界に発表したのである。ガガーリンは自分が体制のために利用されたと感じて、後にアルコールでその不満を癒そうとし、結局アル中になった。ソ連は彼の存在がうとましくなり、突然の事故死はあらかじめ陰謀されたものだと同僚が証言している。このように共産主義は体制の優位性のためには科学を客観的に報じず、失敗はすべて隠蔽するという特性を持っている。中国は武漢コロナを隠蔽し、今またこれを諸外国の方が先だったとする説を研究者発表という形で世界に発信し、自らの失敗を覆い隠そうとしている(【時事通信】《中国》11.16記事参照)
 
  日本共産党の主張する「科学の自由と独立」という概念には真実は何もない。彼らは当初から今日に至るまで徹底的に日本学術会議に介入して政治問題化してきた(10.10「再度、日本学術会議の非を問う」・「再々度、日本学術会議を暴く」)第1回の選挙で選ばれた上記共産党公認6人のうち3人が、政治闘争のために間もなく就任辞退を申し出た。そして1949年1月の衆院選に共産党から立候補した。共産党はある意味でこの3名に「箔をつける」ために日本学術会議を利用したにすぎない。共産党系のこの学者もまた、自身の学問の自由よりも共産主義運動を優先した。日本共産党はこの選挙で28名の当選者を出しているが、その中にこの3名が含まれるかは知らない。
 
  従前から日本学術会議は問題が多かった。政府の仕事もほとんどしていないことからその存在意義すら問われた。自民党内には「政府の一機関としての使命から逸脱して、今や日本共産党のリモコンの下に、科学を革命に奉仕させようと懸命になっている」・「日共ならびにシンパと見られる会員の数は着実に伸びており、現代の第8期会員は80人を超えている」という意見があり、1971年には自民党内閣部会が改革を進めようとしたが共産党の猛烈な反発に遇った。自民党内では学術会議のことを、「科学なき”赤い巨塔”」と呼ぶそうである。さまざまな情報を突き合わせてみると、共産党がこの組織を政府内の傘下の組織と見做していることは明らかであり、それを改革しようとした菅首相に対する敵愾心は尋常なものではない。「学術会議への執着は共産党の伝統的姿勢と言える」と産経新聞の原川貴郎記者も書いている。
 
  それにしても許せないのは、たかが合法的に推薦を拒否されただけの話であるのに、学問の自由の侵害という詭弁を使い、10月1日に「赤旗」に問題提起して政治問題化したのは共産党である(10.3「日本学術会議の人選の任命権問題」参照)。議員として日本の国民を代表しているはずであるのに、本来論ずべきコロナ禍や外交をおろそかにして些末な事柄を1ヵ月以上も追及しているというのは税金の無駄使いそのものと言えよう(9.9「野党不要論」参照)。彼らの教条主義的・自己保身的行動によって、国民の間に日本学術会議の本当の姿が明らかになったのはとても良いことであった。そして「問題になるくらいなら民営化した方が国際基準からしても妥当」だという意見が出てきて、政府もその方向で検討を始めているのはなおのこと結構なことである。いわば共産党の問題指摘と追及はヤブヘビとなった観がある。
 
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