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【時事評論2021】

【時事短評】アメリカで民主主義の弱点が露呈

2021-10-24
  
米国で今、バイデン大統領の公的発言に対して、政府高官が冷や水を浴びせるかのように原則論で中国を擁護し(《アメリカ》10.22)、環境問題で世界を主導するとパリ協定に復帰したバイデン大統領の意思を無視するかのように、地元利益を優先する反グリーン革命派の民主党の1議員(ジョー・マンチン)が、温暖化対策法案の策定に反対し(10.24産経新聞記事)、そのたった1票の反対で法案は通らないという。もしこの法案が通らなければ、バイデンはCOP26(11.26開催)に空手で参加しなければならなくなり、温室効果ガス削減目標も空手形となってしまい、米国の威信と信頼性に大きな傷を作ってしまう。「米国の衰退の証拠」、という揶揄も浴びせられるだろう。

  世界の議会制民主主義は、それぞれの選挙区(小選挙区)から選ばれた地元利益優先型議員が少なくとも議会の半分位を占めるが、節度のない議員が一人でも党や政府の意向と異なる自己中心的な投票をすると、議会で与党と野党が拮抗している場合には与党案が通らない事態が発生する。これは議会制民主主義の弱点であり、本来ならこれをカバーするより良い制度があるはずだが、創意工夫のない議員どもは昔のスタイルをこの現代にまで延長して延々と繰り返している。筆者ならば、議案に対して与野党の投票が1%以内に接近したときは、その議案は国民投票に委ねる、と改革案を提出するだろう。そうすればより民意を反映することになり、民主主義の本意を実現することになる。未来世界では全てノムネット経由で市民の意見が国政に影響を与えることができ、この投票も全てノムネットで行われるため早ければ1分で(投票日時を決めておく)、国民全員の投票を期せば遅くとも1週間以内に決着が付くことになる。

  そして未来世界では議員の1票の重みは「事後評価」によってAIによって点数が付けられる。マンチン議員の投票は選挙区の意向を国家の大義より優先させたということで最も低い評価となるだろう。されに国益を損じたということになれば、さらに低い点(マイナスに相当)に引き下げられるだろう。そうした発言や投票に対する事後評価というシステムが現行の世界にはないため、個人も議員も利己主義的行動をすることで政治を不安定にさせてしまうのである。もし議員が大勢に反して自己の信念から大義に基づく投票をした場合、当初はその評価はかなり低くなる可能性があるが、後にその正しさが客観的に明らかになった場合には、最高点に引き上げられるだろう。こうして歴史が政治を評価するという大義も成り立つことになる。勇気と真摯な政治姿勢を持つ議員は、評価が低くなることを覚悟して自分の信義を貫くことができる。

  現代の議会制民主主義はそうした正義を実現するようにはなっておらず、ポピュリズムで終わってしまってその責任を誰も取ろうとはしない。こうした民主主義の欠点を補う手法を誰も考えようとしないということは、西欧白人社会が生み出した民主主義が世界で絶対普遍なものと見做されているからである。日本はより賢明な民主主義(日本型社会主義とも評される)を経験してきたことから、世界に先駆けて改革案を提示していくべきであり、そうした改革を学者なり政治家が率先してメディアに訴え、選挙民に訴えていくべきであろう。


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