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【時事評論2021】

AI兵器の脅威・中国のドローン偵察攻撃機(22.11.7追記)

2021-09-22
  AI兵器の脅威については既に書いている(7.12「戦争の技術革命・AI兵器の登場 」)最近中国が尖閣諸島周辺海域でドローン偵察攻撃機を多用しようとしている気配がある。もしこれがAI兵器として使われた場合、無人であるが故に攻撃は機械の故障の結果であったという言い訳もできることになり、これまでの戦闘や戦争の常識を塗り替えることになるであろう。今回は中国の動きと絡み合わせて、日本の防衛について考えてみたい。

  7月11日から12日にかけて、アデン湾で日英米蘭4ヵ国による海賊対処共同訓練が実施された。 英国の空母「クイーン・エリザベス」を主艦とする空母打撃群にはオランダのフリゲート艦も参加している。この艦隊が共同訓練および日本来航のために太平洋を日本に向けて航行中、早速中国は偵察行動を開始した。8月始めには中国の商(シャン)級原子力潜水艦2隻によって追尾されたと英メディアが報じた。 8月26日には中国は無人偵察・攻撃機「TB−001偵察/攻撃型無人機」を用いて東シナ海から沖縄本島と宮古島の間を通過し、沖縄南方で活動した。防衛省が公表した航跡では、沖縄南方において「ボックス(四角)パターン」の飛行を行っており、これは情報収集を行うための典型的な行動様式である。当日沖縄南方において英空母クイーン・エリザベスを中心とした、日英米蘭共同訓練が実施されており、これらの情報収集を行ったものとみられる。防衛省公表では「推定」とされているが、公表された写真を見る限り中国「Tengen Technology」社の双発機である「TB-001スコーピオン」に酷似しており、ほぼ間違いないと考えられる。

  軍事専門誌「JANES  Defense News」によると、この中国のドローン偵察攻撃機は全長11m、翼長20m、3.2トンのペイロードを持ち、35時間の運用が可能な大型の無人機である。最高高度は9500m、300km/h以上の速力で飛行する。防衛省が導入予定であるRQ-4グローバル・ホークが全長13.5m、翼長35.4mであるのと比較すると、形状は似ており、やや小型ではあるものの、3倍のペイロード(搭載物)を持つ。今回の写真では確認出来なかったが、爆弾やミサイルを搭載し、攻撃機としての任務を遂行することも可能である。2022年11月7日の「Record China」の報道によると、同11月8日に開催される第14回中国航空ショーにおいて、「翼竜型」と称される一連のドローンが公開された。「翼竜」シリーズは2012年に第1回中国航空ショーに初めて登場して以降、中国のドローン産業の代名詞的な存在となっている。その後の10年間、「翼竜」シリーズは発展ペースが速く、種類が多く、用途が広く、任務遂行力が高いといった特徴を示し、軍民両分野で全面的に成果を上げ、海外進出を果たし、世界へ羽ばたいたという。上記した「TB-001」はその1つであると思われる。NHKの2022年11月7日の報道では、「翼竜3」は航続距離1万キロ・ペイロード3トンの性能を持つという。

  領空侵犯に対する一連の流れを無人機に当てはめた場合、どうなるであろうか。まず無線による警告であるが、これは無人機に対し行っても意味はない。無人機を運用している人間に警告するとしても、誰が運用しているか不明であり、その連絡先が分かるかという話になると非現実的である。次に領空に近接又は領空を侵犯した場合の警告射撃も意味をなさない。そして最も危惧されるのは、無人機の領空侵犯が意図的なものか、故障か、それともサイバー攻撃によって乗っ取られているのか区別がつかないということである。一方で、無人機であるため、撃墜に対する心理的抵抗感はないことも指摘できる。

  中国は南シナ海に向けて「空母キラー」とも呼ばれる中距離弾道ミサイルの実験を行った。この実験は2020年8月にも行われ、航行中の船を標的にしていたことについて中国軍関係筋と米軍高官が認めたという。これに対抗し得る軍艦搭載ミサイル防衛システムがあるのかどうかは不明だ。イージス艦があればある程度の対抗措置が可能かもしれないが、空母自体にそうした機能があるのかさえ軍事機密から分からない。もし空母が一撃でやられてしまえば、ほとんどなす術が無くなるのではないだろうか。

  問題はドローン兵器がAI機能を持ち、AI判断で敵と見做したターゲットを攻撃する可能性が出てきたことにある。アメリカがアフガン撤退のどさくさの中で、民家の駐車場に止まっていた車をターゲットにドローン攻撃を仕掛けたが、これは誤爆であった可能性が指摘されている。その情報をもたらしたのが何度も指摘している女性の国家情報長官のアブリル・ヘインズであったとしたならば、彼女のもたらした情報の誤りが今、米国の威信を傷つけていることにバイデンは早く気づき、すぐにも更迭すべきであろう(9.19「米国の自由主義に見る危うさ 」)。同様に中国も、習近平の顔色をうかがうような取り巻きがもたらす情報には極めて強いバイアスが掛っていることになり、判断を誤る危険性が高まる。すなわち偶発戦争がAIドローン兵器によってもたらされる可能性が新たに出てきたということになる。

  中国のドローン偵察攻撃機がAIを搭載しているのかどうかは分からない。だがAI判断に切り替え可能になっている可能性はあるだろう。そうした事態は技術の進歩から当然予想されることであり、それは西欧でも開発されている可能性は十分にある。双方がAIに判断を任せた場合、偶発戦争はAI同士の判断によって起こることになる。これらは善悪の問題ではなく、技術革新の必然的過程であり、その結果第三次世界大戦がある日突発的に起こる可能性については何度もノムは警鐘してきた。それはどんなに注意しても避けられないことであり、ノムはそれを人類の生存本能と大脳本能がもたらした運命だと受け止めている。現在の日本は、これらのことが起こることを想定して備えをしなければならない時だと考えるのである。最善の選択は、未来世界の到来を予測して、先手を打って地下への移住計画を練ることにあり、その技術開発を世界に先駆けて進めるべきであろう

  日本は非核三原則を掲げた世界唯一の国でもあり、それが妥当かどうかは議論の余地はまだ残されているが、どちらにしても中国と核兵器開発競争をするのは無理な話であり、そうであるならいっそ非核三原則を逆手に取って、それを優位性に変えるしかない。国内に溜まったプルトニウムは核大国に高値で売るくらいの戦略があってもいい。そして核兵器開発に掛けるつもりで、その資金を地下都市計画に注ぐべきであろう。それは核戦争になっても役立つし、核戦争後のサバイバル戦国時代になっても役立つ。さらに未来の田園都市計画を推進する基盤となるであろう。

  かつて米ソ冷戦時代に「核シェルター」というものが流行った。だがノムの提唱するものは「環境シェルター」と銘打っている。それは環境の激変(異常気象・核の冬など)に対抗し得る未来の人類の棲家である。それは都市全体に及んで「田園都市」となるであろう。すなわち地上は緑で溢れ、人間活動はアリのように地下に根拠を置くことになる。それは壮大な計画であり、諸々の解決しておかなければならない問題を抱えている。日本がその先進国になることをノムとしては未来への希望として願わざるを得ないのである。





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