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【時事評論2021】

未来世界の「四権分立」

2021-03-29
  現代は三権分立と呼ばれる民主主義が主流だと言われるが、近年では実質的独裁制に近づきつつある国が多くなってきており、アメリカでさえも最高裁の死刑判断がトランプの匙加減で2020年から2年間ほど一気に増えたりした。韓国では歴代大統領の顔ぶれによって司法が左右されてきた。日本でも尖閣諸島で捕まえた中国の違法漁船の船長を、当時の民主党の意向で釈放してしまった。民主主義だからといって三権分立が守られていると信じられるほど世の中は甘くない。筆者はこの不条理を解決するためには国民の直接評価システムが欠かせないと従前から考えてきたが、そのシステムを四権分立と称してきた。すなわち、新たに加わったのが国民の評価権である。以下にその趣旨を説明したい。

  三権を立法・行政・司法だとすれば、これは完全に独立している存在ではない。社会というシステムはこれらの機能が分かれてはいるものの、相互に関係していることは明らかである。行政というものを内閣(行政府)と地方行政府にはっきり分けることはできないし、立法も政府提議のものと議員提議のものがあり、日本は議員立法はごく少ないそうだ。相互依存の仕組みである限り、分立という言い方が正しいのかどうか、そもそもここから疑問が湧いてしまうのであるが、仕組みがどうであれ、国民の満足のいく行政が行われればそれで良いのである。その満足度を計る指標がないため、現在は国民には選挙以外の公的権力執行手段がない。

  もし国民の満足度が反映されるように、国民が全ての事柄に良し悪しを判断して評価できるようになれば、それは政治や教育、福祉などの行政にまで、国民の意向が大きな力を持つことになる。それを第4の権力と筆者は考える。その権力は決定権を持たない、評価に基づく、評価から生ずる権力である。それを「権力」と呼ぶことが適切かどうかは筆者には判断できない。学問的には問題があるのかもしれない。だがそれが力に相当するものであるならば、決定権を持たない権力と見做しても良いのではないかと考える。方法は現代および未来のIT技術を応用したものになる。たとえば、毎日の生活の中で良いと思ったものを「良」、良くないと思ったものを「不良」、悪いと思ったものを「悪」と判断し、それをMD(モバイルデバイス:スマホのようなもの)からすぐさま発信できるシステムである。

  評価対象は、①新聞記事・②人物(政治家等)・③テレビ番組・④製品・⑤行政・⑥法律、等全てに亘る。MDを記事にかざせばQRコードでその記事全体の評価、さらに記事の部分を撮影すればその部分の評価、記者名を撮影すればその記者の評価が可能になる。製品の場合も同様に、コード読み取りにより、評価項目が表示されるので、①価格・②性能・③使い勝手・④デザイン・⑤耐用性、などから評価項目を選択して、10点満点で評価することができる。要は手間が掛からない評価システムであることが最も重要なポイントである。

  この考え方は、ノム思想の評価主義から出てくるものであり、他にもいろいろな評価対象があり、それらを選択できるようになっている。この技術は即時アンケート・即時選挙・即時国民投票にも応用することができる。未来世界はネット社会となっているため、国民全てがこのMDを所有して評価権を行使することができる。未来世界の権利は基本的には義務を果たして得られるものであるが、評価権だけは無条件に与えるべき権利であろう。

  この四権分立が実現すれば、政治家は偉そうに踏ん反り返ってはいられなくなるだろう。普段から人の目による評価が為されることで、不正はできなくなると思われる。だが評価権というものには責任も伴うことから、評価した人はその責任を問われることになる。いい加減な評価や、嘘・偽りに基づく評価、などは評価者が特定されていることから、その人格点に影響する。その評価が適切かどうかは人間が判断するのではなく、総合AIが総合的視点から判断することになる。その人の人格点を基に、人倫・常識・状況から判断されることになるだろう。これには人手を介さないことから効率的であり、経費も最小限のもので済むことになる。


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