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【時事評論2021】

未来世界の良いニュースと悪いニュース(1809文字)

2021-01-10
  前回、日本の新聞の中の良いニュースと悪いニュースを判断してどちらが多いかを比較した(1.6「日本の新聞記事の良いニュースと悪いニュース」参照)。その結果ほんのわずか良いニュースの方が多いことが分かったが、もし新聞が良いニュースばかりを掲載したとしたら、人々の心はどう変わるかということに興味がある。人間が情報により脳を制御しているのだと考えると、良い情報が良い人間(善人)を創る可能性は大きいだろう。

  最近10歳前後の子らが天才的才能を見せているのが番組として流行っているようで、『博士ちゃん』というテレビ朝日の番組でも取り上げている。11歳の少年である大塚連は学者顔負けの仮説まで披露した。とても信じられないほどの知的レベルの高さである。モノではなく精神の遺産というような概念を重視したその考え方には圧倒された。そのような子らがどこからどういう風に知識・情報を得たのかは分からないが、ネット情報が大いに活用されていることは間違いないだろう。

  もし未来世界に犯罪や国際紛争が無くなり、思想が統一されて科学的裏付けのある論説が中心になるならば、情報はかなり人間の本能から出てくる悪い要素よりも、知的産物としての良い要素を多く含むようになり、人々はそれに感化・洗脳されて良い思考をするようになるだろう。それが人間の動物的本能である生存本能・生殖本能をどこまで制御できるようになるかで犯罪の多少が決まるような気がする。

  筆者としては未来世界の情報を人間にとって善導するものを多く提供し、疑念や不満を与えるような情報を少なくすることで社会を善なる方向に持っていくことができると確信している。それはかつて古代の生活様式を保っていたアフリカのある部族の中には、盗むという概念が無かったというような話を聞いたことがあるが、状況論的に考えれば、人間を取り巻く状況や情報が健全であればあるほど、人間はそれに感化されて健全になっていくというのはごく自然に受け入れられる考え方であろうと思われる。

  これは人間の動物本能である生存本能と生殖本能を環境情報がどこまで善なる方向に改善できるかという問題である。環境情報の中に新聞などのメディア情報・ネット情報・家庭環境の情報、そして個人的経験などがあり、そこにある程度の秩序と健全性があれば、人間は自ずと健全な精神の持ち主になっていくであろう。事実多くの偉人は幼少の頃に厳しい躾けの中でそれを学び、不屈の精神を自ら涵養していったことで偉大なことを成し遂げる精神的基盤を築いた。逆にヒトラーはヒトラーユーゲントを育てて自分の信奉者に仕立て上げたが、青少年期の影響は一生残ることを証明した。筆者はどちらかと言えば人間に対して「性悪説」を取るが、それは人間から生存本能と生殖本能を取り除くことが不可能だからである。だがそれを制御することは可能であると考えており、100%の制御はできないが、90%以上の制御は可能だと考える

  残り10%の制御不能な部分が残るにしても、それをより良い方向に向けさせれば、犯罪に結びつかないようにすることはできるのではないだろうか。その意味で生存本能を犯罪に結びつけないためには人々に最低限の生活環境を与える社会作りを考えなければならない。また争いとなる競争を排除する社会を創らなければならない。さらに生殖本能を誰でも満足させられるような社会的施設を創らなければならない。そうした考え方に立てば、これまでの常識を覆すような全く新しい世界観というものが開けてくるであろう。これらはノム思想に合致する考え方であり、システム(人間社会)の恒常性を重視した考え方でもある。

  未来世界では新聞・テレビ・ネットなどのメディアの情報を制御することになるであろう。それは決して社会の不都合な部分の情報を隠すということではない。また権力の横暴があったとした場合、それを率先して取り上げる方向に行くであろう。だが権力というものが過去・現在のように決して悪の巣窟のような捉え方はされなくなっており、権力を持つ賢人らは尊崇されるようになっていると考えられる。昔でも善政が行われたときは国民は指導者を尊崇したものである。情報の制御というものはかなり難しい課題を抱えている。悪を矯めて善を薦めるという制御でなければならず、そのための手法は微に入り細に入って配慮が必要なものになるだろう。その詳細について今後も検討を続けていきたい。


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