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【時事評論2020】

日本の議員の質の低下と未来の議員の在り方

2020-10-22
  前項において、日本の野党議員の質の低下を嘆いた。その根本原因は選挙制度そのものにある。日本ではこれまで与党・野党を問わず、知名度の高い人物を各政党とも候補に推し立ててきた。中には芸人もいたし、テレビ司会者もいた。名が売れていれば誰でも良かったという雰囲気があった。また議員として力のある人物を推すという傾向も強い。この場合「力がある」というのは、金権力が強いことをしばしば意味する。現在も裁判中の河井克行前法務大臣とその妻河井案里は自民党所属であり、与党である自民党がこのような不始末を仕出かす人物を推したことも大きな問題である。
 
  河井議員は慶應義塾大学法学部政治学科卒業であり、根っからの政治家である。いつ頃から金権政治に染まったのかは不明であるが、その手口からすると相当前からその傾向があったに違いない。それを自民党が見抜けなかったのは、政党自体が自浄作用を持たないことを示唆している。2016年には河井は「安倍晋三総理を支える5人衆」に挙げられていた。首相補佐官であったことから法相に抜擢されたようだ。確かに能力はあるようだが、清廉潔白な安倍元首相がなぜこの男の人物を見抜けなかったのか残念でならない。しかも河井夫妻は不正が明らかになったにも拘らず、証拠隠滅を図ったり、虚言を重ねるなど悪質度が極めて高い(9.24「開き直りの確信犯には極刑を与えるべき(9.25・10.19追記)」・10.4「政治にカネは必要ない」参照)。
 
  では選挙において清廉潔白な人物を確実に選び出すことは可能なのであろうか。それは現代でもある程度は可能であろう。それを実現するにはメディアの協力が必要である。立候補者の履歴などを客観的に報ずるだけでなく、その人物像を冷静に描くことが必要になるかもしれない。それ自体がまた新たな不正を生み出す元になりかねないが、新聞社の命運を掛けて人物評をするべきである。メディアが選挙に介入するという恐れは十分にあるが、それは時間の経過とともに国民が判断することであり、メディアが正しく人物像を描いているならば、徐々にそのメディアは信用を勝ち得ていくであろう。つまりこのことに関しては、「自然淘汰」の原理を適用するのが良いと思われる。朝日新聞が慰安婦問題をでっち上げて新聞としての評価を著しく落としたように、メディアの不正はいずれ明らかになるものである。
 
  だが未来世界でははるかに優れた方法を取り得る。それはこのコラムでもしばしば取り上げてきた「賢人政治」が可能になるからである。賢人は幼少の頃から選抜され、能力だけでなく、「滅私奉公」、すなわち私欲を捨てて公に仕えるという姿勢を持つ子がその候補になっていく。次々に篩い落とされ、最終的には1万人に1人の割合で賢人候補が選ばれる。さらにこの中から試練を与えられて生き残った者が10万人に1人の割合で賢人となるであろう(10.19「賢人を今から作るために「賢童」を育てよう」参照)。賢人の人格点は90点以上であることを必須の条件として考えている(8.30「未来世界における人格点制度」・9.27「世界のトップリーダーの人格点(10.2追記)」)。彼にはそもそも私欲がなく、大志と使命だけがある。それは自分に対する自負心とも言えるようなもので支えられている。周囲の人々は彼の失敗や挫折を許しながら彼の成長を見守り評価する。その集大成が賢人なのである。賢人に政策の失敗はあり得ても、私欲による失敗はほとんど起こり得ないだろう。人間であるからその弱さに負けることもあるかもしれないが、それは極めて低い確率となる。
 
  実際の数字で考えてみよう。現在の国会議員は衆参合わせて710人であるが、これを一院制にして100人に絞る。日本の現在の人口から賢人の数は1300人となるので、その全てが立候補したと考えると(実際にはあり得ない)、約13人の賢人のうち国会議員になれるのは1人となる。地方議員は現在全国に約3万人いるそうだが、これも1/5程度にして6000人としていいだろう。賢人だけでは足りないので賢人補を賢人の数の100倍とすると、[ 賢人+賢人補=131300人 ]となる。これらの人々は国会議員・地方議員・大手会社社長・大学等教育研究機関のトップとなる。もし賢人らの数が足らなければ、その都度候補の中から賢人補を補えば良い。国民は争って賢人になるよう努力し、また賢人を尊崇の念で敬愛するだろう。それは日本中・世界中で精神的より処を持つことになり、天皇制を持たない国においても、国の精神的支柱となるだろう。
 
  選挙に立候補できるのはこの賢人資格を持つ人だけと定めれば、国民は安心して選挙に臨むことができることになる。選挙投票の仕方については以前の項で考察した(8.21「選挙投票の方法」参照)。自分の信頼する候補者が当選した場合には、支持した人はその議員を注視し、絶えず評価する義務を負わされる。その評価は議員の評価とともに自分にも撥ね返り、自分の人格点に影響する。もし議員が不正を働いた場合には、支持してくれた人々全てに人格点のマイナスが及ぶことになり、議員は生きていくのも困難になるだろう。彼は生涯その重荷を背負うことになる。当然のことだが、明らかな不正の場合には、議員・賢人の資格を失い、公民としての権利も全て失うことでゼロからの再出発を余儀なくされ、さらにその上で刑法に定める刑罰を負うことになる。賢人が議員という資格を与えられた場合、脅されても、誘惑があっても、頑として正義を全うするような行動を取るであろう
 
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