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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

国格評価ランキング・改訂版

2020-10-18
  前回、9月28日に作成した「国格評価」では、多少の違和感もあった(9.28「国家の品格(国格)を試算してみた」参照)。アメリカが不当に低く評価されていると感じたからである。また表を作成する上で、データが不十分なところもあった。今回、[幸福度]については「世界幸福度ランキング:WHR」というものを引用してそのままの数値を使いたことである程度の客観性を補い、また[外形]の副項目である、[国土面積]・[人口]・[経済規模]の3つの項目については、実際の数値を用いて相対化したものを用いたので評価がより正確なものになったと思う。
 
  また筆者の評価自体を見直して、妥当ではないと思われたものについては評価を改めた。その結果、アメリカは正当な評価に近づいたが、やはり僅差で日本が一番という結果は変わらなかった。未来世界を想定した価値観に最も近い国家は日本であるという確信を裏付けたものになった。アメリカはトランプ大統領以前の時代であったならばもっと高得点を得たはずだが、彼のために世界が当惑し、国内に分断を生じて本来の高得点をかなり低くしてしまっている。日本は運よく僅差で1位になったが、日本の国民は必ずしもそれを実感はしていない。幸福度ランキングが60位に近い所にあるというのがその証拠である。だがこれは多分、国家が国民にそのことを説明したり、愛国心を涵養したりすることが極めて少なく、また国民も幸せを客観的に感じることが少ないという国民性もあり、メディアが野党の不条理な難癖などにより国家を追及するような記事ばかりを報じていることも大きな要因であろうと思う。だが実際のデータは日本国民が如何に恵まれた状況にあるかということを裏付けている。
 
  このところ、世界ランキングというものが注目を浴びているとともに、他国の評価を気にする時代になったと思われる。特に日本人はそのことに関心が強い。だがランキングが上位に入っているからといってそれを自慢するような卑しさはない。それは世界がグローバル化した結果、競争という観点から各国とも「自分第一」・「ランキング重視」というように変化してきた結果であろう。筆者からすれば極めて不健全で忌まわしい状況であるが、コロナ禍で対外的な交流がストップしてしまったことで、なおさら自分の国が世界のどの位置にいるのだろうかということを考えてみる切っ掛けにもなったかもしれない。筆者の試みは未来という基準によるランキングであり、他のランキングとは趣が全くことなるが、それもまた一興であろう。
 
  他にも、たとえば人口比当たりの警官・兵士の数などを用いれば、恐らく日本の平和度が如何に高いかが裏付けられるであろう。興味深いことに、ちょうど10月18日にオーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所が、全く別の視点から世界の国家のパワーランキング「2020年パワーインデックス」を発表した。これは、「軍事力」・「回復力」・「防衛ネットワーク」・「経済力」・「外交影響力」・「今後の動向」など、8種の項目で評価したものらしい。ちなみにその結果を示すと、1位:アメリカ・2位:中国・3位:日本・4位:インド・5位:ロシア・6位:オーストラリア・7位:韓国・8位:シンガポール・9位:タイ・10位:マレーシア、と続く。現時点での評価として妥当だと思う反面、首を傾げる順位もあり、筆者のランキングと比べてみると興味深い。いずれにしても視点が最も重要であり、筆者のそれは未来を見据えての評価であるから、それはそれなりに意義があると思っている。評価項目などは今後の課題にするとして、とりあえず今回の結果を参照していただければ幸いである。
 
  結果の表を見たくない人のために、以下にG20の各国のランキングと評価点を20位まで上げてみたい。な
お評価点は満点を10点としており、差を見るために小数点以下2桁まで表示した。
1位:日本(7.92)・2位:アメリカ(7.90)・3位:カナダ(7.46)・4位:EU26ヵ国(7.34)・5位:フランス(7.02)・6位:オーストラリア(7.01)・7位:イギリス(6.78)・8位:ドイツ(6.61)・9位:インド(6.19)・10位:イタリア(6.13)・11位:インドネシア(6.04)・12位:サウジアラビア(5.86)・13位:中国(5.49)・14位:メキシコ(5.39)・15位:韓国(5.27)・16位:ブラジル(5.20)・17位:ロシア(4.55)・18位:トルコ(4.44)・19位:南アフリカ(4.43)・20位:アルゼンチン(4.22)、であった。
 
  大雑把に講評すれば、日本が資源もない小さな島国でありながら高得点を得たということは、予想してはいたものの驚きを禁じ得ない。現代の評価という視点であってもかなり高い得点を得たであろうことは間違いない。未来基準の評価でも日本はある意味では見本的な存在である。だが改善しなければならない点は数多くあり、特に愛国心の涵養や人生を楽しむということについては国家的課題であると言っても差し支えないと思う。つまり恵まれた状況を素直に喜ぶという気持ちが大切であると感じている。現代の日本人は余りにも真面目過ぎて、そのことを味わう余裕も無くして働いているというのが実情であろう。それは人間として非常に不幸な事であると思うし、それが社会的現象として現れてきてもいる。コロナ禍もあって、人間同士のコミュニケーションの不足が最大の問題となりつつある。かつての日本人にはあり得なかったような孤独感が現代日本に生まれつつある。純朴で明るかった無邪気な日本人はどこに行ってしまったのだろうか。
 
  せめて日本人が幸福度ランキングにおいても世界で1、2を争うようでなければおかしいのである。その意味で今回の結果は大きな課題を日本に突きつけたような気がする。もっと日本人は自分に誇りをもつべきであるし、愛すべき人達を多く持つべきである。そうすれば、如何に自分が恵まれた環境にいるかということを改めて感じることができるだろう。そんなことを考えつつ、また、「評価」という課題の範囲をさらに広げていきたいと考えた。
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