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【時事評論2020】

「ゲーム理論」とは何か?

2020-09-24
  前項で「ゲーム理論」というものを持ち出したので、追加的にこの項で説明しておきたい。一般的、ないしは専門的な定義とは異なるものとなっているかもしれないが、ノム思想の中で取り上げるほどに重要な理論の一画をなしている。その概要は、事象を自然界や社会にとって有益な方向にもっていくためにとられる方法論であり、人間界の利得関係や人間の心理を用いてゲーム的に組み立てられる有益な方法論である、と説明しておこう。これを用いると、今まで法律主義的・公平論的に取られていた画一的な手法が、画期的で道理的なものに置き換えられる可能性が出てくる。以下にその事例を示そう。
 
  たとえば、スポーツの競技会(オリンピックのようなものを想定してもらいたい)のチケット代を、①販売地域によって格差を設ける・②競技の人気度によって格差を設ける、③席によって格差を設ける、などが可能になる。②や③についてはすでに行われているのかもしれない。だが①の販売地域によるチケット代金の格差にはどんな意味があるのだろうか。筆者は観戦する側の立場から考えるのであるが、東京で催される競技会を地方から参観するには旅費や宿泊費が掛ることから、これは不公平を生み出しており、それをチケット代の格差で公平にしようという意図がある。またオリンピックのような国家的行事の場合は全国からの参観者を募るという意味でも有意義である。だが地方で安いチケットを購入して東京で売るという不正が考えられる。その防止策は未来では可能であり、チケット購入者のデータが記録されることで不正は防止できる。未来世界では個人のプライベートな情報は最低限にしか秘匿されず、公的利益のためには個人データが参照可能となる。その個人データの保護についてはまた別に説明したい。チケットを大量に特定人物や特定組織が購入した場合、それは全て記録されて購入者が追跡できることから、不正は防止できることになる。これはIT時代の新方式であり、ゲーム理論に則った手法である。
 
  消費税についても画期的方法を編み出すことができるだろう。物品に一律に設けている消費税率を、富裕度に応じて変更することが可能かもしれない。たとえば年収1000万円以上、金融資産5000万円以上の人が物品を購入する場合は消費税率を20%とし、年収200万円以下で金融資産1000万円以下の人には無税とするというようなことも可能であろう。富を持つ人には社会に貢献してもらい、貧しい人には負担が少ない社会が望ましいと考えるからである。これもレジで国民番号を確認できる個人カード(マイナンバーカードに相当)を提示し、これをレジ掛りが認証機に掛けて、顔認証と指紋認証を同時に行えば、税率が瞬間的に決まってレジモニターに税率と支払い金額が表示される。税率が高いほど裕福なことを示していることになるから、買い物をする人も自尊心を満足させることができる。逆に貧しい人は引け目を感じることになるが、安く買えることによってやはり満足するであろう。
 
  このような方法で、ビッグデータ・個人情報を駆使して、これまで一律にしか設定できなかったものを、個人の状況に応じて変動させることができるようになる。未来世界は世界規模でのIT化が進んでおり、個人認証が確実になされ、それはPC利用においてもMD(モバイルデバイス:スマホのようなもの)利用においても確実になされるため、犯罪は激減する。そして同等性は排されて公平性が重んじられることになる。不公平に見えるかもしれないが、誰にも有益だと思わせるところにゲーム理論の有用性がある。「三方一両損」ではなく、「三方一両得」となるように政策・規定・料金を組み立てることが重要になる。それは人間心理を応用したゲームに学ぶことができるだろう。これは筆者の「一挙三得」という造語(造語参照)にも通じることであり、一つの政策
などが、誰かにとっては得であるが、誰かにとっては不利である、というようなことのないように、まんべんなく多くの人にとって利があるようにするのは至難の業と思われていたが、このゲーム理論を応用すればそれも可能になるだろう。
 
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