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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

改革・改善の手法

2020-09-07
  物事を改革・改善していく努力は絶えず必要である。だがそれは急激・急速に行われてはならない。変化に人間が付いていくには時間が必要であり、急激・急速な変化は人々に混乱と困惑をもたらすからである。昔から「朝令暮改」が愚策とされたのはそのためである。改革・改善は人間の好奇心(知識欲)や向上心を満足させる効用がある。また改善は人々により幸福感をもたらす。だがそれが環境にとって悪化をもたらさないかどうかというところまで配慮しなければならない。
 
  未来世界では地球主義に立つため、人間の所為は全て環境にとって悪い作用を及ぼさないかどうかという観点から検証され直すべきである。その判断の基準は、①エネルギーの節約に繋がるか?・②化石燃料の使用は制限されているか?・③新たに生産されるものが環境を汚染しないか?・④利便性は向上するか?・⑤生産が伴う場合、それは省資源化に寄与できるか?・⑥変化に伴う労力は得られる結果による利得よりも小さいか?、等々があるだろう。
 
  人間の所為の中には、①生活に伴う行動(娯楽を含む)・②生活に必要な生産・③労働と奉仕・④統治のための政策立案・⑤生活のための政策立案・⑥教育(指導・啓蒙・更生を含む)・⑦医療、等々がある。特に現代で問題となっているのは医療であり、過剰な生命尊重主義によって無駄な医療が過度に施されている。これは医療技術の発達や生命科学の進歩によって医療費が無限に膨らみ続け、労働生産性を著しく低下させるという矛盾をもたらしている。上記ノム思想では人間の生命を延ばすことが地球にとってどうなのかを問うことから、必然的に無駄な医療は省略され、人間は自然死(病気によって死ぬこと)を最上の価値とするように変わるだろう。
 
  統治のためにIT技術を最大限に取り入れることは効率や所要エネルギーの観点から有用であろう。これは本来的には無駄な部分に入ることから、統治に要するエネルギー・人員・物資は最低限に抑えていく必要がある。すなわち未来世界は「小さな政府」に移行していくだろう。未来がそうなることで、人は個人の創造的・貢献的仕事に従事することになるだろう。
 
  現代の生活の不便はまだ数限りなくある。これをこうすればもっと良くなると思うことが山ほどある。それらを改善していくためには、①改善を指摘する人・②アイデアを取り上げる仕組み・③改善を執行できる組織(司法機関・役所・会社)・④改善に対する褒章(感謝状・格の向上)などが整備されなくてはならない。
  
  ここで重要なのが、改善すべき事が示されても、それをすぐに実現するのが良いかどうかの判断である。前述したように、人はしょっちゅう制度やモノが変化していては付いていけない。人が適応するだけの時間的余裕が必要である。そのため敢えて改革・改善を遅らせるということも必要になってくる。特に医療においては医学進歩をそのまま人々にすぐに応用することは絶対に避けなければならない。一人がその恩恵で助かったとすれば、国民全員がそれと同じ療法を望むようになるからである。どうしても助けたい人、助かった後に社会への貢献が期待できる人に特別治療として施す程度に限定すべきである。それを人々に納得させるには、「人格点制度」はどうしても必須となる(8.30「未来世界における人格点制度」参照)
 
  改革・改善を促進(実現させるかどうかは別)させるためには、人に動機付けを与えなければならない(ゲーム理論)。その点については、上記した④改善に対する褒章(感謝状・格の向上)が有効である。たとえ実現しなくても、アイデアを出しただけでも世の中を良くしようとしているその心がけを評価して、少なくとも人格点を引き上げるべきである。そういう仕組みがあれば、人は率先して改善を目指すことになる。生活環境だけでなく、自然環境もより良くなっていくであろう
 
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