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【時事評論2020】

中国の動きに異変

2020-08-19
  最近の中国の動きを見ていると、明らかに先鋭的・攻撃的要素が無くなったように思われる。そのいくつかの兆候とその理由について考察してみたい。
 
1.8月18日:尖閣周辺の緊張回避/16日に禁漁明けとなった中国から漁船が大挙して押し寄せる懸念があったが、18日まで尖閣周辺での正当な操業は見られるが、領海内侵入はない。これは事前に侵入を禁止する通達を中国当局が出していたためである。
 
2.8月18日:中国側から河野防衛大臣との会談申し入れ/中国側から河野防衛大臣との会談が申し込まれ、河野は防衛相で中国の孔鉉佑駐日大使と会談した。日本側からは尖閣周辺での中国軍の活動が活発化していることへの懸念が伝えられ、日中の防衛協力を進める方針で一致した。
 
3.8月15日:米中貿易協議が中国側の事情で延期/米中両国が15日に予定していた閣僚級の貿易協議が延期された。新たな日程は未定という。延期の理由について、貿易協議の内容に関する問題が生じたわけではなく、中国側の事情によるものと言われる。
 
4.8月12日:香港警察は批判に軟化か?/香港だけでなく世界に衝撃を与えた周庭(アグネス・チョウ)の逮捕(10日)・りんご日報の創業者黎智英(ジミー・ライ)の逮捕(10日)と本社家宅捜索(10日)に対する市民の無言の抵抗(りんご日報の株価上昇・当紙を買い求めて列を作る市民・当紙を掲げる市民)に、当局は大規模な反対デモを恐れてか、12日未明に両者を保釈した。証拠確保のための逮捕か見せしめだった可能性もあり、今後本格的な逮捕に繋がるだろう。
 
5.8月5日:「北戴河会議」で軟化を模索か?/中国共産党の最高指導部と長老らは現在、河北省の避暑地で非公式・非公開の「北戴河(ほくたいが)会議」を5日頃から開いているとされる。基本的に年1回開かれなければならない中国共産党中央委員会全体会議(四中全会)が、昨年3月の三中全会以来、開かれていないのは習近平の政策に対して必ずしも合意が形成されていないとの見方もある。10月1日の建国70周年に向けて調整が図られているとの見方もある。だが最近の中国の動きからみて、強硬路線に水を差す長老らが軟化を進言している可能性も高い。
 
  以上のわずかな兆候はこれまでの強硬姿勢からは想像しにくいものであり、どうも北戴河会議がその発端になっているのではないかと筆者は直感で感じた。すなわち習近平の強引・強硬路線によって世界のあちこちに反発が出始め、それに対応して報復を仕掛けていたのではとても習近平一人による指令では処理できなくなり、行き詰まりを見せていたように見受けられる。そこに長老らが諭しを入れて軟化に転じたのではないだろうか。習近平の最近の動向が余り報道されていないこともこれを傍証しており、彼は困難に直面するとコロナの時もそうであったが、雲隠れする。ヒトラーが不可侵条約を破ってソ連に侵攻したとき、スターリンは別荘に籠って10日間何もできなかったと言われるが、それと同じ状況が生まれているのかもしれない(8.19「『独裁者 3人の狂気』を観ての感想 」参照)。だが習近平がトップの座を心配するような状況にはなく、戦略変更はないものの、少し立ち止まって様子を落ち着かせた方が賢明だと判断したようである。
 
  後日の9月7日、この筆者の見解は石平(せき・へい:帰化中国人評論家)の見解と一致するものであることが分かった。(20.9.7追記)

 
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