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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

報復国家・中国への不安と恐怖

2020-06-26
  近年の中国の報復戦略は余りにも度が過ぎており、世界各国に不安と恐怖を与えている。
 
  日本に対しては、2010年9月7日に尖閣諸島海域で中国漁船が日本の巡視船に体当たりする事件が起きたが、中国人船長を逮捕したことに対して中国はレアアース(希少金属)輸出を事実上停止した。結局日本は圧力に負けて船長を超法規的に釈放し、中国に送還した。情けない話であり、世界は大和魂はどこに行ったと嘆いたかもしれない。
  2010年のノーベル平和賞が中国の民主活動家の劉暁波に決まった際には、10月にノルウェーにある欧州各国の大使館に授賞式に参列しないように要請し、ノルウェーからのサケの輸入を制限する報復に出た。ノーベル平和賞を決定する機関がノルウェーにあるからと言って、報復する相手を間違えている。
  2016年7月8日に韓国のパク・クネ大統領が在韓米軍にTHAAD(ミサイル防衛システム)を配備することを決定したと発表した途端、韓国に対する「禁韓令」(韓国への団体旅行商品の販売中止を国内旅行会社に命じた)で制裁を実施した。どうも中国の報復癖はこの頃から始まったように見える
  2016年11月末にダライ・ラマ14世がモンゴルを公式訪問した際には、モンゴルの主要輸出品である鉱物に高関税を課し、決まっていた元借款を凍結するなど厳しい制裁を発動した。
  2018年にはファーウェイ幹部をアメリカの要請でカナダ当局が逮捕したということに対して、すぐさま2人の在中国カナダ人を容疑不明で拘束し、カナダの裁判所がファーウェイに不利な判断を示した2020年6月19日には、このカナダ人を起訴した。
  2020年には4月にオーストラリアがコロナ禍の中立的調査を求めたことに対して、再三に亘って輸入を制限する恫喝をした上で、5月12日にはオーストラリアからの食肉輸入停止、5月19日にはオーストラリア産大麦に対して5年間の反ダンピング(不当廉売)関税を課した。それでも言う事を聞かないとみると、6月19日までに大規模なオーストラリアの広範な教育・産業に対してサイバー攻撃を仕掛けた。
 
  こうした報復は当該国の国民にとって記憶に残る反発を呼び起こし、いわば敵を大量に作り出したようなものである。それが回りまわって自分に返ってくるということを中国は全く考慮していない。どうしてそのような傲慢な態度がとれるのか不思議である。それが独裁国家の宿痾と言えばそれまでだが、どうも中国は追い詰められているのではないかとノムは推察する。経済などの全てのデータが秘匿・改竄されているので詳しいことは分からないが、報道官の口調などから感じ取れるのである。
 
  中国から一帯一路絡みで巨額の投資を受けて順風であるかのように見えた後進・貧困国は、中国からの投資に陰りが見えるようになって慌てた。約束の事業が頓挫してしまっているからである。そして中国の投資の意図が経済的支配にあると気付き始めた。だがとても返済できるような額ではないため、途方に暮れているのが実情ではないだろうか。そして支援を受けてきたと思っていたそれら後進・貧困国は、近いうちに中国から上記と同様な恫喝を受けることになるだろう。それは不安から恐怖へと変わる節目となるだろう。

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