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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

日本の閣僚が国民に対して嘘をついている

2020-06-23
  アメリカの元大統領補佐官であったボルトンが、明日出版する暴露本で2019年7月に日韓を訪問して駐留米軍経費の増額を要求していたことが分かった。22日にこれが分かったことで、ネット上にはこのニュースが数多く取り上げられ、23日には新聞に掲載された。どれもこの事実(?)が初めて報じられたことを示している。ノムもこれまで具体的に日本が経費増額を要求されたということを知らなかったが、韓国では大きな問題になっていたことだけは記憶にある。
 
  報道によると、日本側に対してボルトンは年間8550億円(80億ドル)を要求したという。これは現時点での負担額の約4.3倍に相当する。ボルトンはこれを谷内(やない)正太郎国家安全保障局長に伝えたとしている。もし谷内が安倍首相や菅(すが)官房長官に伝えていないとすればこれは官邸の機能不全であり、内閣不信任案が通る事案であろう。そのようなことがあり得るはずもなく、ボルトン自身か、内閣の誰かが嘘を付いていることになる。ノムとしては状況からみてボルトンの主張が正しいと観る。そして驚くべき事に、ボルトンがトランプに「両国が難色を示している」という報告をしたところ、トランプが「駐留軍全面撤退」を脅しとして使え、とボルトンに指示したというのである。国家存亡の重大危機を国民に知らせないという日本の政府の姿勢は、ここにきて絶望的であることが明白となった。
 
  問題は日本が当時このことを明らかにしなかっただけでなく、日本では経費増額が猶予されていたかのような印象を与えたこと、そして現在も菅義偉官房長官が、「そのような事実はない」と否定したことである。事の経緯を追及しなかったメディアにも大きな責任がある。もし政府が国民に嘘をついているとしたら、これは戦時における「大本営発表」と同じ構図であり、国民に不安を与えないためという理由は平時においては成り立たない。なぜ政府は国民に嘘をついてまでこのことを伏せなければならないのか?
 
  官房長官としてもし言ってはいけない事案だと判断したならば、「現時点での外交関係の機密から、このことについてはコメントできない」と答えればいいことであり、「事実はなかった」というあからさまな嘘をつく必要は無いはずである。以前から安倍首相も菅官房長官も誠実ではあるが役人的な対応しかしておらず、日本の明確な外交ビジョンを明らかにしてこなかった、ということを感じていたが、ここに至って国民を騙してまでアメリカに忖度するようなことでは、支持率が下がるのも無理はないと考えるようになった。
 
  追加記事であるが、2020年9月9日に、菅直人政権時代の前原誠司前国土交通相が、2010年9月7日に起こった中国漁船故意衝突事件の船長の釈放を指示したのは首相であったと告白した。理由について尋ねると、「APEC首脳会議に胡錦濤が来なくなる」と言ったというのだ。つまり外国リーダーに忖度したわけである。野党となった民主党らが安倍首相の「忖度問題」を追及したのは、自分達も同じことをしていることを棚に上げた「安倍下ろし」プロパガンダだったことがこれで証明された。当時の外務省幹部もこの事実をみとめたが、菅直人は「記憶にない」と取材に答えた。政治家の常套句である。政治家は基本的に嘘を付くのが商売であろうが、嘘を付かなくても済む政治というものもあり得ると思うのだが、甘いのだろうか?(20.9.9追記)

 
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