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【時事評論2020】

中国が牙を剥き始めた

2020-04-22
  非民主主義体制であり、独裁体制とも言われる中国世界で最も異質な国家である。それは世界制覇を真面目に目論んでいる超大国だからである。世界はおかしなことに、その中国を資格に疑義があるにも拘らず2001年にWTOに加盟させ、超大国となる基盤を与えてしまった。そして今や、軍事力はアメリカに及ばずとも、世界支配力(サイバー・AI・宇宙・電磁戦能力)はアメリカを凌いだと思われる。
 
  中国は香港・マカオという特別行政区を持ち、台湾を自国領土と主張し一国二制度を主張している。75年に亘り実質独立国として運営してきた国家を属国扱いするという現実を無視した主張(「一つの中国」)を世界に押し付けており、世界はその無理筋な主張を経済的理由から認めてきた。世界史を観てもこれほど異様なことはないだろう。だがその不条理に対して果然と挑戦を始めた人たちがいる。
 
  まずアメリカのトランプ大統領がその先鞭をつけた。だがその動機が卑しい。自国第一主義に基づく対等競争の主張だからである。世界正義のための対等競争の主張ならば世界も納得できるが、トランプの利己主義に基づく政策には全面的に賛成はできない。トランプの強引で一方的な政策(米中貿易戦争)により、アメリカは保護主義どころか孤立主義に陥った。そして次に立ち上がったのが香港である。香港は一国二制度を保証されているはずであったが、それを反故にされようとしている。今やイギリス時代の民主主義は崩壊寸前である。
 
  中国は国際的ルールをことごとく踏みにじってきた。南沙諸島の領有権問題で国際裁判所が出した裁定を「紙くず」とし、香港政府の事実上の憲法に相当する基本法を「解釈変更」という名目で一方的に変更しようとしている。香港は香港マカオ事務弁公室・香港連絡弁公室を通して中国の支配下にあり、「法」は中国の意向でどうとも解釈可能となった。
 
  香港基本法22条は「中国政府所属の各部門は、香港特別行政区が管理する事務に干渉できない」と定めている。つまり香港は中国からの干渉を受けないということだ。だが4月17日になって香港マカオ事務弁公室と香港連絡弁公室は、「中国政府を代表して香港の重大な問題について監督権を行使できる」と宣言し、22条の制約を受けないと主張し始めた。つまり中国が直接合法的に香港の問題に介入する道が開かれた。
 
  これに続いて4月18日には香港の民主派幹部ら少なくとも15人が一斉に逮捕された。重要人物ばかりを狙い撃ちした観がある。民主党元主席・体制批判紙の創業者・元立法院議員などである。ウイルス禍の最中で民主派がデモを自粛している時を狙ったと思われるが、上記した法の一方的変更の直後に取られた当局の行動は、全て仕組まれたものであった中国はいよいよその牙を剥きだし始めたと言っていいだろう。

 
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