【時事評論2020】
中国軍が西太平洋進出
2020-04-11
前項記事でも述べたように、中国軍はコロナ禍の最中にも着々と世界制覇への動きを一歩も止めないどころか加速しているように見受けられる。日本の防衛研究所が10日に発表した日本周辺状況分析では、中国が勝手に定めた第2列島線を超えて西太平洋全域で軍事力を展開しようとしているという。昨年には台湾と断交したソロモン諸島やキリバスと外交関係を樹立し、パプアニューギニアやフィジーに大規模な経済支援を実施しており、これまで寄港すらできなかった地域に進出可能になった。
特にパラオが軍事行動においては橋頭保となることから、背後からグアムの米軍を狙い撃ちしようという戦略であることは火を見るよりも明らかである。東アジアでの中距離ミサイル軍拡競争が始まろうとしている。
コロナ禍の始まった今年1月から3月にかけて中国軍機の接近に対して自衛隊は152回もの緊急発進を実施し、今月8日には沖縄・尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船舶4隻が侵入した。侵入は今年6回目であり、前年同期比5割増しの延べ289隻となっている。4月2日には中国海警局船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させた。これらの現象を説明し得る唯一の考え方は、中国が着々と世界制覇を進めているということである。