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【時の言葉】外出を控え、資源消費を減らそう(2022.6.20))

【時事評論2020】

全体主義の優位性

2020-04-09
  ここで言う「全体主義」とは、個人よりも全体(社会)を優先して考えるということを指し、「独裁主義」・「社会主義」はこれに近いが、その政治は独裁主義の場合トップただ一人のための政治であり、社会主義はイデオロギーのための政治であって、真に民のためにではない。全体主義は何のためという志向を指す意味はなく、ただその優先順位を明らかにする意味しかない
 
  よく独裁を全体主義と言い表して否定的に使われることが多いが、全体主義は決して否定的なものと見做すべきではなく、むしろ良い事例が多い。2020年9月8日には中国の習近平が、コロナ対策で成功したことを自慢し、「中国共産党の指導とわが国の社会主義制度の顕著な優位性を示している」と自画自賛した。だが中国の強硬な政治姿勢は2021年になってほころびを見せるようになる。だが全体主義には、囲碁で言えば、捨て石を用いて勝利する、というような戦法を考える余地がある(11.3「捨て駒論 」)世界が競争関係にある場合、この戦法は有用である。
 
  中国でコロナ禍に対処するために、命令一下大病院を10日ほどの工期で作ったという報道は、全体主義の良い面を顕著に表している。「火神山医院」は1月25日に着工し、2月2日に完成した。設計と用地選定を含めると恐らく1月初めには建設を計画しただろう。その決断と工期の短さは驚異的である。面積は約3.4万平方メートルで、1000台のベッドを収容できる。
 
  民主主義国では建設論議に1週間、用地選定と設計に1ヵ月、建設に3ヵ月は掛かり、合計4ヵ月以上を要する。全体主義ではその4分の1以下の時間でどんな問題にも対処できる。特に戦時にはその有効性が際立つことになり、どこの国も戦時や非常態勢時には独裁的権限が許されるものである。だが日本ではそれすら許されない。政権を執れば必ず独裁を取る共産党や立憲民主党などの野党が「独裁をもたらす」と反対している。おかしなことである。
 
  緊急時には道理主義や全体主義が優位である。そしてこれは平時であっても優位である。なぜ現代の人々が法律主義や個人主義に固執して、これらを疑おうとしないのかノムはいつも不思議に思っている。それは日本の場合戦後教育の結果なのであろうが、欧米では「自由・平等・友愛」というフランス革命以来のイデオロギーの幻想に未だに幻影を抱いているからであろう。
 
  過去や現在の全体主義は今日では評価されていない。それは人々を弾圧することが多かったし、現代でも変わっていないからである。だが人々という全体(社会)を最優先させる全体主義は本来最高に自然な仕組みであり、それが民自身の監督の下で行われれば最も進化した社会体制となるだろう。ノム思想ではそれを「真社会主義」と呼ぶ。そして人類は必ずやその叡智に辿り着くであろうと確信している。(21.11.6追記)

 
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