【時事評論2025】
世界連邦の大義
2025-09-17
ノムが未来世界に誕生すると考える世界連邦には大義がある。それはノムの考える「大義・中義・小義」の考え方に基づいて考えた場合であるが、世の多くの人の賛同を得られるものと確信している(23.3.30「大義・中義・小義論」)。ただ多くの人は誰も未来世界に世界連邦が誕生するとは考えておらず、それは夢物語であると思っているだろう。だが歴史を振り返ってみると、人間の組織というものや、国家というものは、成長するに従って拡大を遂げてきたということに誤りは無いだろう。最初は集落から始まり、それが部族という形に進展し、さらに部族同士の争いによって強い集団が弱い集団を呑み込む形で拡大していった。そしてある程度の大きさになったところで、国家という体裁を整えるようになった。現在はまだ人間界は諸国家からなる混合体制にあるが、自己組織化の原理からすると、それもまた強い国家によって集合させられ、1つの世界連邦へとまとめられると想像するのは理に適っている。こうした考え方により、世界連邦の可能性は十分大きいとノムは考えているが、その世界連邦にはどのような大義があるのか、ということについて今回は考えてみた。
国家の領土拡大という現象は、正しい一面もあるが、近代の帝国主義が崩れ去ったという事実をみると、必ずしも一方的に進んできた現象ではないことが分かる。それはノムの考え方の中で、自己組織化とともに自己崩壊化についても述べていることから、時に組織は肥大化の故に崩壊することもあることをノムは認めている(21.6.9「自己組織化と自己崩壊化」)。これは企業組織にも当てはまり、組織が大きくなり過ぎた場合、その制御が効かなくなって、ついに崩壊するということは、経済界ではよく知られていることである。その場合、大手企業自体が倒産することもあるが、分社化や他社との統合化で生き残りを図る場合もある。単に赤字になったから倒産するというわけではなく、赤字体質を生み出したのが組織の肥大化にある場合が多いと思われる。国営企業はその典型であり、国家の庇護の下、経営努力が為されずに、体質的に赤字を生み出すことになる。国家がそれを支えている間は持つが、ついには国家自体が赤字になる場合もあり、その場合は国家は国営企業を潰しに掛る。中国はまさにそのような瀬戸際に立たされていると言えるだろう(25.9.9「中国を支えている犯罪組織の上納金」)。
国家の崩壊と領土の縮小については、戦前の帝国主義を観れば明らかである。大英帝国・ロシア帝国・大日本帝国など、あまたの帝国主義を採った国々は第二次世界大戦でその領土を縮小した。日本は敗戦という痛手を被ったが、幸いなことに米ソの対立の中で最小限度の領土縮小で済み、天皇制も維持された。それは米国に感謝しなければならないことである。最も領土を縮小したのは英国かもしれない。多くの植民地が独立したからである。フォークランド諸島は未だに英国の保護国となっているが、珍しいことである。フランスはまだ世界に植民地の痕跡を残しているが、それはそれらが独立するには小さすぎたことにある。ある程度の領土を持つ植民地はほとんどが独立していった。ドイツはナチ政権で奪った領土をすべて失い、おまけにベルリンが米ソ対立で分割された。朝鮮も米中対立の中で韓国と北朝鮮に分断された。日本はかろうじて分断を免れた。
逆に統合の事例を挙げてみよう。EUがその典型的事例であるが、弱体化した欧州各国は、ロシアや中国という大きな領土を持つ脅威国に対抗するため、経済的な連携と移動の自由を求めて連合した。だが国家予算などはまだ統一されておらず、中途半端な連合の形を取っている。EUの主要国はNATOという軍事同盟でロシアに対抗している。最近ではロシアと北朝鮮が軍事同盟を結んだが、その内実は実に姑息なものであり、血盟関係にあった中国を慌てさせるものであった。中・露・朝はつい最近、米国に対抗して上海協力機構(SCO)の強化を誇るために、檀上でうわべの協力関係を装ったが、所詮呉越同舟の体を成している。
ロシアは戦前の繁栄を再び再現しようと、プーチンが抱いた妄想によってウクライナに侵攻した(22.3.23「ヒトラーのポーランド侵攻とプーチンのウクライナ侵攻の類似点」・22.3.25「プーチンの軍力と核戦力」・22.8.4「プーチンのノボロシア妄想」)。これは大戦終結まで有効だった帝国主義の復活ということになる。ナチズムの再来と言ってよい。既にベラルーシを懐柔しているが、続いてポーランドなどのバルト三国に侵攻することはほぼ必然となっており、その兆候が最近出ている。米国にもその兆候が表れており、トランプはカナダの併合を口にし、グリーンランドの買収をほのめかしている。アイスランドにも触手を伸ばそうとしているとノムは見ている。これらを手に入れることは、アメリカが中国と覇権を争っている北極圏での力を獲得することになるからだ。中国は言わずとも分かるように、既に戦後にチベットや内モンゴルを併合した。その触手をアイスランドに向けており、またインドを脅かすかのように、真珠の首飾りと呼ばれる沿海支配を試みている。既に南シナ海は事実上の中国領海となりつつある。
世界の3大大国がこうした領土領海拡大に動いているということは、第三次世界大戦を予期させるものである。それぞれが引く構えを見せておらず、より鮮明に領土拡大を志向している。衝突は避けられない。それは各国に「主権」というものが認められている以上、避けられないことである(20.12.26「主権論」)。ノムは第三次世界大戦は避けられないと予言しているが、それは事象の状況論からの結論だからである(21.1.18「状況理論」)。
第三次世界大戦の結果についてはノムは予想できていない。恐らく勝利国と敗戦国というものは明確ではなく、人類の文明の崩壊という危機に遭遇することになるだろう(24.2.27「文明の同時崩壊」)。だが人類が滅亡するという事態には至らないため、そこから世界が復興する過程で、新たな思想が生まれ、世界を統一しようという機運が生まれると期待している(20.9.7「ノム思想とは何か?」)。そうなるためには世界の統一に大義がなければならないだろう。以下にその要点をまとめてみたい。
《 世界統一の大義 》
1.自然界の進化は、組織の合従連衡を示唆している。
2.人間界から戦争を無くすには、国家が世界連邦というより大きな組織に組み入れられる必要がある。
3.世界が統一されるということは、自己組織化という自然界の原理に沿っている。
4.個の欲望と要求は組織の破綻をもたらし、全体の制御のみによって人類の生存の可能性が開ける。
5.人間組織の統治の安定のためには、全体が1つにまとまる必要がある。
世界連邦の可能性については既に述べているので重複は避けたい(21.3.28「世界連邦の可能性」)。 以上に述べたことから、世界連邦形成は歴史的必然性に基づいており、大義を改めて説く必要もないのだが、世界連邦という概念が無い人のために、大義について述べた。そうしたものが実現するのを我々の時代に確認することはできない。恐らく数十年以上先のことになるからである。それまでに人類は大災厄を経験することになる。ノムはそれが2020年頃に起こると予測していたが、それはまずコロナ禍という形で表れた。これはウイルスとの戦いになったが、今度は人間同士の戦いである第三次世界大戦と言う形で訪れるだろう(22.6.30「人類史から観た第三次世界大戦の必然性」)。そしてそれが起こらなかったとした場合にも、人間活動が生み出したCO2によって、人間が窒息死する可能性もある(20.11.23「地球温暖化と動物の窒息死の問題」)。それらを経験した後、人間は未来世界形成に向けて新たな一歩を踏み出すことになる。
(9.16起案・起筆・9.17終筆・掲載2:10)