【時事評論2025】
人道主義は基本的に卑小な「人間ファースト主義」
2025-07-30
このところ、イスラエルによるガザにおける餓死問題が大きく取り上げられている。いずれの記事の論調も、イスラエルのやっていることはホロコーストと同様であり、国際的な人道支援が必要だということで一致している。だがノムの考えでは、自己制御できない人間集団は滅びるのが当然であり、ましてハマスというテロ集団が支配するガザ地区は、イスラエルによって併合されるか、国連が委任統治するしかないと考えており、性急で理の無いパレスチナ国家樹立を主張するフランス・英国などの西欧諸国の人道主義に立った論を支持することはできない。人道主義は基本的に卑小な「人間ファースト主義」に基づいていると考えるからである。以下では、ノムの主張の根拠を示したい。
生命が溢れる地球の自然界では、人間の異常な繁殖とその横暴な破壊力によって、地球史上に記録される大絶滅がもたらされている。それは人間にはほとんど影響をもたらしていないため、隠れた絶滅となっている。だが今でも既に目に見えるようになってきた異常気象は、最終的には地球温暖化によって人間を地下生活に追いやることになり、さらにはCO2増加がもたらす呼吸への影響で、酸素を必要とする動物は生きていけなくなるだろう(22.9.26「地下生活へのいざない」)。ノムの予想では2080年頃には、CO2濃度は4%前後になり、人間は活動できなくなる(20.11.23「地球温暖化と動物窒息死の問題」)。すなわち生産活動が出来なくなることで、歴史上かつてない大飢餓が訪れることになる。原因は過剰な人口とその活動にある。
人間の人口が劇的に減るか、人類の活動が大きく変化して省エネにもっていけるかで、この状況を変えることができる。こうした観点に立てば、ガザでの飢餓はある意味でパレスチナ人の自業自得によるものであり、もしハマスが大規模攻撃をイスラエルに対して行わなかったら、続けて迫害の下に置かれることにはなるが、飢餓は起こらなかったであろう。人類史からすれば、ガザでの大規模飢餓は天災によるものと同様、自然界と人限界の人口調節機能の一端であると理解されるようになるだろう。戦争に人道主義を持ち出すこと自体が無意味なことであり、既にガザで亡くなった6万人余を遥かに超える数十万人がウクライナやロシアで亡くなっている。メディアは死者の数を強調して人道主義を展開することを止め、淡々と人間の悪行の歴史としての記録を残していくだけにすべきである。
そもそもノムは、自然界の生存競争は人間界に於いても働いていると考える。それは経済競争や軍備拡張競争に表れているが、一方で人間らしい相互扶助としての支援も行われている。そして人間は、他者を支援することで、戦争などの罪過の贖罪をしている。それは矛盾する行動だが、どちらも人間の本能に基づいており、根源的なものであるため非難しても意味が無いことである。問題は、人間に戦争を防ぐ能力が無いのかというと、歴史を見ればそうした断定はできないことが分かる。ノムはしばしば日本の江戸時代の天下泰平を事例に取り上げるが、この時代には武士道によって規律が守られており、武士と平民の間には協調が主であり、弾圧は無かった。武器である刀を所持していたサムライが、それを使って犯罪に及ぶということもほとんど無かった。天災による飢餓の時期を除いて、人々が安定と平和を享受できた時代であった。そしてこの時代は鎖国によって250年余も続いたのである。
現代でそうした状況を再現するには、江戸時代から学んだ幾つかの教訓を取り入れることが必要だろう。1.精神的支柱を確立すること(武士道の代わりにノム思想を推奨したい)(20.9.1「武士道精神とは何か?」・22.4.24「未来世界の精神文明と自己実現」)・2.貿易・人流・情報流を制限すること(21.1.7「制御思想」・22.6.3「貿易論」・24.4.30「情報論」・24.5.8「人流と物流」)・3.重大な罪を犯したものは自主的に切腹するか、人間界から追放されるべきである(24.7.29「人間界追放」)・4.階級は無くなるため、武器はすべて没収し、政府の管理の下に置く(未来的には連邦政府の管轄下に置かれる)(21.10.6「武器と武力」)・5.経済活動に制限を設け、利益再配分の原則に立つ(22.5.31「利益再配分と利益最適配分」)・6.人格点の低い人や組織への支援はしない(20.8.30「未来世界における人格点制度」)、等々である。
これらの考え方に基づけば、努力しない人・正しい判断が出来ない人などに対しては、社会は支援をしないということになる。パレスチナの人々はハマスのイスラエルへの大規模攻撃という快挙に諸手を挙げて喜んだ。この時点でパレスチナの人々はハマスと同罪になった(24.1.15「ハマスにとってパレスチナ人の血は革命の燃料」)。そしてその後、パレスチナ人は戦時中であるにもかかわらず、せっせと子づくりに励んで人口を増やした。「パレスチナファースト」主義に毒されて、現実を見る目を失った。一部でハマスに反対するデモが起きたが、こうした理性に戻った人はごくわずかである。戦時であるため良心のある人と憎悪にまみれた人を区別することはできない。パレスチナ人全体が負うべき運命である(20.11.7「運命論」)。
「人の命が第一」という人道主義に基づく「人間ファースト主義」は既に破綻しつつある。このイデオロギーは地球温暖化をもたらし、人類全体を滅亡させようとしている。かたや人間は、家禽にウイルスが感染すると、その集団を全滅させる。なぜパレスチナ人全体を全滅させるのが悪なのかを説明するには、人道主義が用いられる。だが「地球環境保全が第一」と考えれば、ガザの飢餓による人口減少は喜ばしいこととさえ受け取られるだろう。人間がそう考えないのは、視点が自己中心的になっているためである(23.10.14「イスラエルとハマスのどちらに大義があるか?」・24.12.15「大義の考え方」)。自分よりも国家、国家よりも世界、世界よりも地球、というように、価値基準を高めていくことで、視点は大きく変わる。そして損得や名誉心を振り捨てて和平を求めるという方向に向かうのが最善であるだろう。
未来世界ではこの考え方を究極の方向に向かわせる。そして国家の利益を放棄し、国家の名誉をも放棄して人類として大同団結し、世界連邦を形成する。これは自己組織化という自然界の原理に基づく歴史的過程の最後の場面であり、これによって人類は何百万年も続けてきた闘争から解放される(21.6.9「自己組織化」)。人道主義という言葉は死語になり、人間ファースト主義という考え方も退けられるだろう。人間界は自然界と共存して地球環境をより安定的なものに改変していくだろう(20.10.12「環境創造思想」)。そのためには、人間界も大きな犠牲を払わなければならない。人命尊重ではなく、人間生命第一主義でもなく、「米国ファースト」でもなく、「人間ファースト」でもない「大義」が優先される時代となる。大義とは、上記したように、「自分よりも国家、国家よりも世界、世界よりも地球」という視点を持つことである(24.12.15「大義の考え方」 )。
(7.30起案・起筆・終筆・掲載15:05)