【時事評論2021】
動物と人間の絶滅の危機
2021-05-07
動物絶滅の危機というと、人間以外の動物のことを想いうかべる人がほとんどではないかと想像される。だが非常に残念ながら、現代の生物環境は人間によって破壊されつつあり、そのあおりを受けてまるでブーメランのように人間の絶滅の可能性をも作り出している。恐ろしいことであるが、それを証明する幾つもの証拠がある。以下では「絶滅」という言葉が何を意味するのか、そしてそれはどのように地球上に起こってきたのか、ということを述べてみたい。どうしたら人間が絶滅の危機から救われるのか、という最大の関心事については、長くなるので別項で扱いたい。
環境保護に当たっている学者らの努力により、生物界の中の比較的目に触れやすい動物の絶滅状況を表す指標が作られている。絶滅生物数・絶滅危惧種の表である。ウイキペディアには近代以降137種が絶滅したと書かれており、報道では3万種が絶滅の危機に晒されているとしている。だがおかしなことに、人間はその中に入っていない。人間は絶滅するはずはないと考えているのか、指標が人間によって作られたために自分自身は棚の上に上げているのか、その理由は分からない。だがそうした視点が人間の傲慢から出ていることだけは間違いなさそうである。
生物が地球に発生してから40億年の時が経とうとしている。その間に生物は何度も大絶滅をしたとされている。それは地球規模の気候変動などが主な原因であったが、近い将来、人間の悪行(あくぎょう)によってその生物に生存の危機がもたらされようとしている。これはそれまでの原因とは全く異なるものであり、異質な原因である。また人類(ホモサピエンス)に視点を当てると、その誕生から予想される絶滅までの期間は数十万年そこそこに過ぎない。これは化石に残された証拠から推定される500〜1000万年という平均的な生物種の存続期間を考えると、少なくとも自然の状態での速度の10~50倍以上の速さでホモサピエンスが絶滅することを意味する。そこで、これまでの大絶滅についてその原因と結果を検証し、現在起こりつつある人間が原因となる生物の絶滅の危機がなぜ起こると予想されるのか、そしてその結果はどうなるのか、について自論を述べたいと思う。
最初に「絶滅」という言葉についてその意味を確認しておきたい。絶滅とは本来は一つの生物種の全ての個体が死ぬことによって、その種が絶えることを指すが、本論では必ずしもそれを意味しないで使うことにする。そこで改めて本論で使う場合の意味を再定義しておこうと思う。本論では「ある時点で存在する生物のかなりな部分が失われることを指し、必ずしも絶えることを意味しない」、という意味で使うが、それは一般的に使われている「大絶滅」という言葉がそのような意味で使われており、他に適切な言葉が見当たらないからである。もし強いて別な言葉を適用しようと思うなら、「生物の大喪失」という言葉が適切かもしれない。だがここでは敢えて旧来から使われている馴染んだ言葉を使うことにした。
歴史上地球では何度も大絶滅が起こっており、有史以前の地質時代と呼ばれている時代の中でも顕生代という生物が大型化してきた時代においては顕著であった。顕生代はさらに古生代・中生代・新生代に分けられ、そのそれぞれの代に起こった大絶滅によって生物の相が大きく変わったことでさらに細かい紀に分けられる。それでは過去の大絶滅においてはどの位の期間の間に絶滅が起こっているのであろうか。たとえば最も有名な6550万年前の白亜紀における恐竜類の大絶滅においても1年というような短い期間に絶滅が起こったのではなく、数百年という長い期間に絶滅したのであろうという説が最近は有力である。このときの絶滅はユカタン半島に衝突した隕石が原因ということは2010年に確定されたが、当初は核の冬に相当する気候大変動により恐竜が食物不足に陥って絶滅したと考えられ、それは数年内に起こっただろうと予測されていた。しかし化石からはどうしても数百年というかなり長い時間が掛かったと考えるようになった。
人間が原因である絶滅の場合にはもっと短時間に絶滅が起こることが予想される。現にそのような著作が既に出版されており、『人類は80年で滅亡する』(2000年出版)というタイトルである。著者2名は著名な科学者である。炭酸ガス濃度の増加による窒息がその原因となるという仮説を基にしているが、その危機が到来するのにあと60年しかなく、しかも数十年というかなり短期間に全ての動物が死に至る影響(窒息死・餓死)を受けるため、これは巨大隕石(あるいは小惑星)衝突以上の短期間絶滅ということになる。さらに筆者はそれよりも早く大絶滅が起こることを予感した。それは第三次世界大戦に伴う核戦争の勃発によるものであり、大雑把な予測(筆者の35年ほど前の予言)では2020年前後にそれは起こるのではないかと危惧してきた。だが2019年に予想外のコロナ禍が起こり、これも人類に脅威を与えている。だが核戦争の方が決定的な危機であり、それにより地球に大規模な気候変動が起こり、およそ生物の30%が絶滅する可能性があると予想している。さらに2100年にはほぼ100%の動物が死に絶えるであろうが、適応進化した動物が現れる可能性はある。
生物の絶滅の原因については、環境の激変がほとんどであり、それを個別にみてみると、①氷期到来・②小惑星の衝突・③火山大爆発・④天敵生物の出現、が挙げられる。近い将来、これに⑤人類が発明した核兵器、を加えなければならなくなるであろう。各々(おのおの)について例を挙げると、
①氷期到来の最古の事例は24億〜22億年前に起こったヒューロニアン氷期が知られており、8億〜6億年前には大規模な氷河時代があった。だがこの氷期はエディアカラ生物群やバージェス動物群のような生物多様性を形成したと考えられているが、氷期後からカンブリア大爆発(多種の生物の同時誕生)までには3200万年を要した。このとき1200万年の間に、突如としてカンブリア大爆発と呼ばれる生物の多様化が起こる。短期間に脊椎動物をはじめとする今日見られる動物界のほとんどの門(分類学)が出そろった現象である。これはつぎのオルドビス紀にも引き継がれ、軟体動物や三葉虫のような節足動物、そして魚類が栄えた。その後アンデス-サハラ氷期があり、その直後に生物の大量絶滅(オルドビス紀末)が起こった。先カンブリア時代の終わりから現在までの顕生代においておよそ10回の絶滅が起きているが、これは最初の大絶滅と評価されている。
②小惑星の衝突の事例としては20億2300万年前の最古かつ最大の小惑星衝突が現在の南アフリカにあった。これによって南アフリカや金やダイヤモンドの資源に恵まれた。現在のカナダにはサドベリー・クレーターがあり、これが2番目に大きいとされる。5億4200万年前以降にメキシコのユカタン半島に落下した小惑星はチクシュルーブ・クレーター(恐竜絶滅の原因ともいわれている衝突)を残した。これは3番目の規模であるが、この頃には大型爬虫類が闊歩していたために生物の絶滅の規模からすれば最大の絶滅をもたらした。
③火山大爆発:プレートの陸地の下へのもぎり込みによる摩擦熱で岩石が溶け、部分的にマグマが生じる。それが地表に吹き出す現象が火山であるが、ときにはそのマグマ溜まりに地球内部のマグマが加わることがある。そうなると巨大噴火をもたらす。わかっている巨大噴火として7万4千年前にスマトラ島で起きた巨大噴火は当時の世界の人口を減少させたと言われている。535年に起こったクラカタウ巨大噴火(インドネシア付近)はインドネシアのカラタン文明を消滅させ、東ローマ帝国を衰退させ、ネズミを媒介とするペストの蔓延、イスラム教の誕生、蛮族によるヨーロッパ侵攻、中央アメリカのマヤ文明の崩壊、少なくとも四つの新しい地中海国家の誕生などに関連しているという。1883年にクラカタウが噴火したが、その噴煙は3~4万メートルにも達し、3万6千人が津波で亡くなった。これによって北半球全体の平均気温が0.5~0.8℃降下したという。日本では1884年(明治14年)に歴史的な大凶作がもたらされた。フィリピンのルソン島にあるピナトゥボ山は1991年に20世紀最大規模の大噴火を起こし、それにより地球の気温が約0.5℃下がり、オゾン層の破壊も著しく進んだ。巨大火山噴火は地域によっては10℃もの気温低下をもたらす「火山の冬」の原因となり得る。日本の富士山にもそのリスクがささやかれている。
④天敵生物の出現という観点からみて、多くの生物にとって最後の天敵とされる人間が及ぼした影響を取り上げることにする。11回目に当たる現代の大絶滅(そのほとんどが人間が原因)は、ほぼ産業革命(イギリスでは1760年)以来始まっていると考えられるのでその期間は260年であり、1998年の当時の70%の生物学者でさえ、まさに現在という時点において大量絶滅が起こっていると見ている。これは人類が引き起こしている生物圏の破壊によって起こっている現象であり、地球生命体ガイアにとって癌細胞的存在である人類は、これから100年の間に、地球上の半分の種を絶滅させるのではないかと予想しているのである。国際自然保護連合は「レッドリスト」として、毎年絶滅に瀕している種を発表しているが、こうした調査の多くは大量絶滅が進行していることを明らかに示しているといわれる。三畳紀末の大絶滅では76%の生物が絶滅したと推定されており、白亜紀末には70%が絶滅したと言われているが、今世紀、人類のせいで50%の生物が絶滅し、炭酸ガス濃度増加によりほとんどの動物が死に絶えることにより、合計すればおそらく70%以上の生物が絶滅することになるであろう。これはまさに大絶滅という事態に他ならない。現在のウイルスによる人間への攻撃のみがこれを阻止してくれる救世主となるのかもしれない(2.18「人間はウイルスとの共生を考えなければならない 」・3.13「人類はウイルスと戦争すべきではない 」参照)。
事象は視点によって全く違った様相を呈する。人間側からみれば生物界の頂点に立って最高の繁栄を遂げたが故に、ウイルスが当面最大の敵であり、忌まわしいものに見える(20.3.14「人類の本当の敵はウイルスか? 」参照)。だが地球という生命体(ガイア)からみれば、異常に繁殖し過ぎた人類を、適当な数にまで減らしてくれるウイルスは、ガイアの発熱を抑えてくれる救世主に思えるだろう(20.3.31「ウイルスの戦略」参照)。こうした視点の違いを筆者は「人間の傲慢」と見る。自然界では自然の摂理が最大の価値を持つが、人間界では人間の繁栄にしか価値を置いていない。近年やっと人間が科学的知識を得たことで、地球温暖化というガイヤの発熱病を知ったが、それに対処する術(地球を治療する方法)を人間はまだ手に入れていない。果たして自然(宇宙を含む人間界以外の世界)と人間とどちらが優位に立っているかを考えれば、人間はもう少し賢明に、謙虚に振る舞わなければならないことを知るべきなのである(20.12.1「自然の叡智と人間の叡智」参照)。
最初に「絶滅」という言葉についてその意味を確認しておきたい。絶滅とは本来は一つの生物種の全ての個体が死ぬことによって、その種が絶えることを指すが、本論では必ずしもそれを意味しないで使うことにする。そこで改めて本論で使う場合の意味を再定義しておこうと思う。本論では「ある時点で存在する生物のかなりな部分が失われることを指し、必ずしも絶えることを意味しない」、という意味で使うが、それは一般的に使われている「大絶滅」という言葉がそのような意味で使われており、他に適切な言葉が見当たらないからである。もし強いて別な言葉を適用しようと思うなら、「生物の大喪失」という言葉が適切かもしれない。だがここでは敢えて旧来から使われている馴染んだ言葉を使うことにした。
歴史上地球では何度も大絶滅が起こっており、有史以前の地質時代と呼ばれている時代の中でも顕生代という生物が大型化してきた時代においては顕著であった。顕生代はさらに古生代・中生代・新生代に分けられ、そのそれぞれの代に起こった大絶滅によって生物の相が大きく変わったことでさらに細かい紀に分けられる。それでは過去の大絶滅においてはどの位の期間の間に絶滅が起こっているのであろうか。たとえば最も有名な6550万年前の白亜紀における恐竜類の大絶滅においても1年というような短い期間に絶滅が起こったのではなく、数百年という長い期間に絶滅したのであろうという説が最近は有力である。このときの絶滅はユカタン半島に衝突した隕石が原因ということは2010年に確定されたが、当初は核の冬に相当する気候大変動により恐竜が食物不足に陥って絶滅したと考えられ、それは数年内に起こっただろうと予測されていた。しかし化石からはどうしても数百年というかなり長い時間が掛かったと考えるようになった。
人間が原因である絶滅の場合にはもっと短時間に絶滅が起こることが予想される。現にそのような著作が既に出版されており、『人類は80年で滅亡する』(2000年出版)というタイトルである。著者2名は著名な科学者である。炭酸ガス濃度の増加による窒息がその原因となるという仮説を基にしているが、その危機が到来するのにあと60年しかなく、しかも数十年というかなり短期間に全ての動物が死に至る影響(窒息死・餓死)を受けるため、これは巨大隕石(あるいは小惑星)衝突以上の短期間絶滅ということになる。さらに筆者はそれよりも早く大絶滅が起こることを予感した。それは第三次世界大戦に伴う核戦争の勃発によるものであり、大雑把な予測(筆者の35年ほど前の予言)では2020年前後にそれは起こるのではないかと危惧してきた。だが2019年に予想外のコロナ禍が起こり、これも人類に脅威を与えている。だが核戦争の方が決定的な危機であり、それにより地球に大規模な気候変動が起こり、およそ生物の30%が絶滅する可能性があると予想している。さらに2100年にはほぼ100%の動物が死に絶えるであろうが、適応進化した動物が現れる可能性はある。
生物の絶滅の原因については、環境の激変がほとんどであり、それを個別にみてみると、①氷期到来・②小惑星の衝突・③火山大爆発・④天敵生物の出現、が挙げられる。近い将来、これに⑤人類が発明した核兵器、を加えなければならなくなるであろう。各々(おのおの)について例を挙げると、
①氷期到来の最古の事例は24億〜22億年前に起こったヒューロニアン氷期が知られており、8億〜6億年前には大規模な氷河時代があった。だがこの氷期はエディアカラ生物群やバージェス動物群のような生物多様性を形成したと考えられているが、氷期後からカンブリア大爆発(多種の生物の同時誕生)までには3200万年を要した。このとき1200万年の間に、突如としてカンブリア大爆発と呼ばれる生物の多様化が起こる。短期間に脊椎動物をはじめとする今日見られる動物界のほとんどの門(分類学)が出そろった現象である。これはつぎのオルドビス紀にも引き継がれ、軟体動物や三葉虫のような節足動物、そして魚類が栄えた。その後アンデス-サハラ氷期があり、その直後に生物の大量絶滅(オルドビス紀末)が起こった。先カンブリア時代の終わりから現在までの顕生代においておよそ10回の絶滅が起きているが、これは最初の大絶滅と評価されている。
②小惑星の衝突の事例としては20億2300万年前の最古かつ最大の小惑星衝突が現在の南アフリカにあった。これによって南アフリカや金やダイヤモンドの資源に恵まれた。現在のカナダにはサドベリー・クレーターがあり、これが2番目に大きいとされる。5億4200万年前以降にメキシコのユカタン半島に落下した小惑星はチクシュルーブ・クレーター(恐竜絶滅の原因ともいわれている衝突)を残した。これは3番目の規模であるが、この頃には大型爬虫類が闊歩していたために生物の絶滅の規模からすれば最大の絶滅をもたらした。
③火山大爆発:プレートの陸地の下へのもぎり込みによる摩擦熱で岩石が溶け、部分的にマグマが生じる。それが地表に吹き出す現象が火山であるが、ときにはそのマグマ溜まりに地球内部のマグマが加わることがある。そうなると巨大噴火をもたらす。わかっている巨大噴火として7万4千年前にスマトラ島で起きた巨大噴火は当時の世界の人口を減少させたと言われている。535年に起こったクラカタウ巨大噴火(インドネシア付近)はインドネシアのカラタン文明を消滅させ、東ローマ帝国を衰退させ、ネズミを媒介とするペストの蔓延、イスラム教の誕生、蛮族によるヨーロッパ侵攻、中央アメリカのマヤ文明の崩壊、少なくとも四つの新しい地中海国家の誕生などに関連しているという。1883年にクラカタウが噴火したが、その噴煙は3~4万メートルにも達し、3万6千人が津波で亡くなった。これによって北半球全体の平均気温が0.5~0.8℃降下したという。日本では1884年(明治14年)に歴史的な大凶作がもたらされた。フィリピンのルソン島にあるピナトゥボ山は1991年に20世紀最大規模の大噴火を起こし、それにより地球の気温が約0.5℃下がり、オゾン層の破壊も著しく進んだ。巨大火山噴火は地域によっては10℃もの気温低下をもたらす「火山の冬」の原因となり得る。日本の富士山にもそのリスクがささやかれている。
④天敵生物の出現という観点からみて、多くの生物にとって最後の天敵とされる人間が及ぼした影響を取り上げることにする。11回目に当たる現代の大絶滅(そのほとんどが人間が原因)は、ほぼ産業革命(イギリスでは1760年)以来始まっていると考えられるのでその期間は260年であり、1998年の当時の70%の生物学者でさえ、まさに現在という時点において大量絶滅が起こっていると見ている。これは人類が引き起こしている生物圏の破壊によって起こっている現象であり、地球生命体ガイアにとって癌細胞的存在である人類は、これから100年の間に、地球上の半分の種を絶滅させるのではないかと予想しているのである。国際自然保護連合は「レッドリスト」として、毎年絶滅に瀕している種を発表しているが、こうした調査の多くは大量絶滅が進行していることを明らかに示しているといわれる。三畳紀末の大絶滅では76%の生物が絶滅したと推定されており、白亜紀末には70%が絶滅したと言われているが、今世紀、人類のせいで50%の生物が絶滅し、炭酸ガス濃度増加によりほとんどの動物が死に絶えることにより、合計すればおそらく70%以上の生物が絶滅することになるであろう。これはまさに大絶滅という事態に他ならない。現在のウイルスによる人間への攻撃のみがこれを阻止してくれる救世主となるのかもしれない(2.18「人間はウイルスとの共生を考えなければならない 」・3.13「人類はウイルスと戦争すべきではない 」参照)。
事象は視点によって全く違った様相を呈する。人間側からみれば生物界の頂点に立って最高の繁栄を遂げたが故に、ウイルスが当面最大の敵であり、忌まわしいものに見える(20.3.14「人類の本当の敵はウイルスか? 」参照)。だが地球という生命体(ガイア)からみれば、異常に繁殖し過ぎた人類を、適当な数にまで減らしてくれるウイルスは、ガイアの発熱を抑えてくれる救世主に思えるだろう(20.3.31「ウイルスの戦略」参照)。こうした視点の違いを筆者は「人間の傲慢」と見る。自然界では自然の摂理が最大の価値を持つが、人間界では人間の繁栄にしか価値を置いていない。近年やっと人間が科学的知識を得たことで、地球温暖化というガイヤの発熱病を知ったが、それに対処する術(地球を治療する方法)を人間はまだ手に入れていない。果たして自然(宇宙を含む人間界以外の世界)と人間とどちらが優位に立っているかを考えれば、人間はもう少し賢明に、謙虚に振る舞わなければならないことを知るべきなのである(20.12.1「自然の叡智と人間の叡智」参照)。