【時事評論2021】
未来世界の経済における「相対比按分」の考え方
2021-03-30
未来世界における災害支援の在り方について考えていたとき、その諸費用の按分という考え方を思いついた。たとえば災害を受けなかった圧倒的多数の国民から、相応の支援金を徴収しようという考え方である。これは日本では3.11東日本大震災の折、「復興税」という形で実施している。未来世界では災害地の復興のために土地を復興計画に沿って国家が自由にすることができるが、その被災地の地権者の権利を代替地において按分して提供することが考えられる。この考え方を拡張していくと、未来世界の連邦予算というものを世界民がどのくらいの割合で負担すべきか、また連邦予算というものがどの程度の規模になるだろうか、というような試算が、現代を例にとって相対比から計算できるだろう。これら相対的な考え方を「相対比按分」と称し、これを適用した事例をこれから試していきたいと考えるようになった。
本項では簡単に、この考え方の根拠や妥当性について検証してみたい。将来起こり得る事象についてシミュレーションするときに、経済的視点が最大重要になることは言うまでもない。二宮尊徳が語ったとされる「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という至言は、彼の600にも上ると言われる復興計画の考え方の基本であった。彼はすぐにそれを実行に移しているため、経済的試算は当時の状況を反映させて考えられたに違いない。だが筆者が考えているのは未来における計画のシミュレーションであり、その場合未来経済がどうなっているかが不明なために、シミュレーションのし様がないことになってしまう。そこで暫定的に現代の状況下での経済でのコストを相対比で考え、それを未来の状況に適用するという方法しかないと思われる。
たとえば現代の土地計画面積を100という全体を表す数値にした場合、それぞれの区画面積は相対比で考えれば良い。それを未来に適用する場合にも、ほぼ同じ比率を用いることができるだろう。3.11東日本大震災の復興予算は2021年3月時点で38兆円となっているようだが、この総額を100として、各地区への割り当てなどを考えれば、それはいつでも絶対額に換算可能である。全体を100として考えるやり方は、部分の比率がそのまま数字で表せるため、非常に理解し易いし計画し易い。特に未来計画の場合にはこうしたやり方が誰にも分かりやすいと考える。未来世界では現代とは価値基準や法体系が異なるため、未来世界での計画ではこれらの新基準に沿って部分への割り当てが決まる。それさえ決めておけば、その時の経済状況を当てはめれば比例計算から容易に絶対額が決められるということになる。
事例として「連邦予算」というものを想定してその構成要素と予算按分を考えてみよう。連邦予算として考えられるのは以下のような項目である。
1.連邦本部・支部の建物の建設費と維持費
2.連邦活動の維持費と連邦公務員の人件費
3.各国配属連邦公務員(外務員)の人件費
4.連邦軍の建物・施設・設備・兵器費用と維持費
5.連邦軍の兵員の人件費
6.各国配属連邦軍の総費用(4.と5.と同じ)
さらに連邦組織を考えると以下のような構成となる。
1.本部(総統・連邦議員・事務職員)
2.情報統括部(部長・以下職員 )
3.資源統括部(〃 )・資源配給部(〃 )
4.世界経済統括部(〃 )
5.各国統括部(〃 )
6.連邦軍(司令長官・参謀・各部隊長・兵員)
このうち6.連邦軍の総予算を考えてみよう。これは現代の諸国の軍事予算の割合を参考にする。全世界の軍事予算の総予算に対する割合の平均値を知らないが、米・中・日の現状や小国の事情からすると、おおよそ5%と考えれば妥当だと思われる(米国は15%以上)。全世界の国家予算の平均値が分からないので、GDPランキング100位のラトビアのGDPが300億ユーロ(約4兆円)であることから、平均軍事予算を0.2兆円と仮定し、200ヵ国合計で40兆円と試算した。これは世界上位15ヵ国の軍事予算合計が170兆円であることから、試算自体に開きが大きすぎる。後者を参考に世界の軍事予算を200兆円とし、これをそのまま未来に引き継ぐとすると、連邦軍予算を200兆円以下にすべきだということになる。筆者の想定では日本が米国に支払っている駐日米軍経費の思いやり予算が0.6兆円であることを考えると200兆円は過大であり、50兆円で十分賄えると思われる。これは全世界の軍事予算を75%削減することに相当する。
データが素人ゆえに不足しており、連邦組織自体の運営・維持費がどの位必要なのか、皆目見当がつかない。日本の租税歳入は63兆円だそうだが、そのうち国家運営費が何%に相当するのかも不明である。人件費比率を15%と仮定し、保全費比率を10%と仮定して運営・維持費比率を25%とすれば、日本の場合16兆円と試算した。日本政府並の連邦政府であるとすれば、連邦組織維持予算は20兆円程度で賄えるかもしれない。これを基に世界民一人当たりから徴収する連邦租税平均は年間2600円程度となる。最貧国では100円程度で済むだろう。これは国力(国家予算・国防予算)から相対比按分して計算した結果であり、国民にはほとんど負担にならない連邦税を設定できそうであることが分かった。詳細な計算は専門家にお願いしたい。
災害復興ということにこの考え方を当てはめてみよう。これは総枠で考えたいが、東日本大震災では復興予算を38兆円と見込んでおり、これを被災国10%、その他世界90%の応分負担で考えると、日本は3.8兆円、世界は34.2兆円を負担することになる。世界各国平均では1710億円となるが、最貧国では恐らく10億円程度となるだろう。最貧国にとっては相当な負担になる可能性もあり、そのときには連邦は減額または猶予を与えることができる。その分を引き受けた国には国格を引き上げることで名誉を与える。
経済全体については複雑なので省略するが、同様な考え方を適用していけば、自給自足体制への転換がスムーズに進められるであろう。このような世界全体を1つの運命共同体として考えて、それぞれの独立国家が応分の責任を果たすことで協働世界が実現されることが最善であると思われる。それは概念的には共生社会の実現ということに繋がり、同時に自給自足原則を追及することにも繋がってくる。